更新日: 2021.04.10 23:29
“攻めた”戦略のGT-Rが背負う不安と、勢力増すGRスープラ勢に漂う余裕【GT300予選あと読み】
一方、ポールポジションこそ奪われたものの予選Q1の両組で上位を独占したGRスープラ勢からは、決勝を比較的楽観視する声も聞こえてきている。
0.087差でポールポジションを逃した埼玉トヨペットGB GR Supra GTの吉田広樹は、「予選だけでなく、レースで使えるタイヤを選びたいと思って午前中から走りました。どちらかというとレースで戦える方のタイヤは選べています。その状態で予選がこのポジション(2番手)につけましたし、流れとしてはいいですね」と語る。
「ゲイナーさんもKONDO RACINGさんもチャンピオンを獲っているチームですし、もちろん甘くは見ていません。ただクルマ的には、たとえば曲がりくねったセクター3などは、僕らのマシン(GRスープラ)にアドバンテージがあると思っているので、あとはレースで“強く”戦えたらなと思っています」
埼玉トヨペットGB GR Supra GTについては、公式テストの際にロングランで圧倒的なペースを見せつけており、ライバルたちもその安定性を警戒。予選後のパドックでは「あそこは絶対、決勝でぶっちぎるはず」という声もあった。
だが吉田は「今朝はタイヤを選ぶことに集中していたので、ほとんどロングできていないんですよ」という。
「テストの状態ではロングにはすごい自信があったんですが、今週末は少し暑いのが心配で。実際、あのときとは少しフィーリングが違う感覚もあり……ちょっとドキドキしています」
今回のレースではブルテンにより、レース中のドライバー交代時にタイヤ4本の交換が義務付けられており、埼玉トヨペットGB GR Supra GTが得意とするタイヤ無交換作戦を繰り出すことはできない。「(交換義務付けの)影響がないとは言えない」(吉田)が、予選までを見る限り、適切なタイヤを選択することはできているようだ。
スープラ勢では、3月末の富士公式テストにおいてシェイクダウンにも関わらずセッショントップタイムをマークした、たかのこの湯 GR Supra GTが、2回目の走行機会となる岡山でも引き続き速さを見せ、予選5番手に食い込んだ。
「Q1で堤(優威)さんがトップタイムを出してくれたので、クルマのポテンシャルがあるのは分かっていました」と予選Q2を担当した三宅淳詞。
テストは富士の2日間しかできておらず、ほとんどぶっつけ本番状態ゆえ、ドライバーのマシンへの習熟もまだ進行中、という面もあるようだ。
「スープラはRC Fと違ってクイックなクルマ。クイックではあるんですが、フォーミュラではなく重たい分、慣性がついてしまうと“フォーミュラのようでいてそうじゃない、ハコ車っぽさ”が出る。僕はまだ、そこに手こずっているんです」と三宅は明かす。
「自分のできる範囲ではアタックをまとめましたが、もうちょっとその部分をコントロールすることができるようなれば、まだ上にいけると思います」
ただ、決勝に向けてはこちらも自信はある様子。
「富士でもここでもロングランは良いです。上位は実績のあるベテラン勢ばかりですが、自分たちもクルマのポテンシャルは負けていないので、決勝でも落ち着いてミスなくレースすれば、(もっと上位に)いけるんじゃないかと思っています」(三宅)
スープラ勢ではSYNTIUM LMcorsa GR Supra GTも予選6番手に入る活躍を見せており、3台でタイヤメーカーも分かれるなか、決勝でのポテンシャルにも注目が集まる。
果たして明日の決勝はGT-R vs GRスープラという構図となるのか、あるいはほかのマシンが食い込んでくるのか。新時代GT300の戦いから目が離せなくなりそうだ。