更新日: 2021.05.05 11:49
TOYOTA GAZOO Racing 2021スーパーGT第2戦富士 レースレポート
スーパーGT第2戦富士 たかのこのホテル FUJI GT 500km RACE
フルコースイエローが3度もでる波乱のレース。
大嶋/山下組GRスープラが2位、平川/阪口組が3位
GT300クラスでは吉本/河野組GRスープラが初勝利
スーパーGTの第2戦が富士スピードウェイで500kmの長丁場で行われ、フルコースイエロー(FCY)が3度もでる波乱のレースで、サクセスウエイトをはねのけた大嶋和也/山下健太組 ENEOS X PRIME GR Supra14号車が2位、平川亮/阪口晴南組 KeePer TOM’S GR Supra37号車が3位で2台が表彰台を獲得。GT300クラスも終盤まで僅差のバトルとなりましたが、吉本大樹/河野駿佑組 SYNTIUM LMcorsa GR Supra GT 60号車が勝利を飾りました。
スーパーGT第2戦『たかのこのホテル FUJI GT 500km RACE』が5月3日(月)、4日(火)の両日、静岡県の富士スピードウェイで開催されました。昨年は開幕が遅れ、レース距離も短縮されたこともあり、恒例だったゴールデンウィーク中の富士大会、そして500kmレースの開催は2年ぶりとなります。
今大会よりコース上でのアクシデントに対する安全対策として、これまでのセーフティカーに加え、FCYが初めて導入されます。FCY導入時は、コースを走行する全車両の速度が80km/hに制限。このFCY導入により、よりエキサイティングなレースとなることが予想されます。
前戦の開幕戦岡山大会では、GRスープラがトップ4を独占する速さを見せ圧勝しました。前戦の結果によりサクセスウエイトが課せられますが、500kmという長丁場のレースということもあり、トヨタ勢にとってホームコースである富士での活躍に期待がかかりました。
今大会も新型コロナウイルス感染症の拡大防止策を十分に配慮した上での開催となりましたが、富士スピードウェイは2日間にわたって好天に恵まれ、イベント広場では、新型のGR 86とスバルBRZが並べて展示され注目を集めるなど、待ちに待ったファンの皆様が本格モータースポーツシーズンの到来を満喫したイベントとなりました。
■予選
3日(月)午後2時半よりノックアウト方式の予選が行われました。この日は朝から好天に恵まれましたが、午後になってやや雲がかかり、気温16度、路面温度24度のコンディション。
Q1は、まずZENT CERUMO GR Supra38号車を駆る石浦宏明が1分27秒台に入れると、各車が僅差でこのタイムを塗り替えていく展開に。チェッカーが振られた直後にフィニッシュラインを通過した山下の14号車が、最大40kgのサクセスウエイトをはねのけてのトップタイムをマーク。そして開幕戦で山下との激戦を繰り広げた坪井翔のau TOM’S GR Supra36号車がこちらも30kgのサクセスウエイトにも関わらず3番手で続きました。
4番手に平川の37号車、タイムを更新した石浦は5番手。国本雄資のWedsSport ADVAN GR Supra19号車が6番手、中山雄一のDENSO KOBELCO SARD GR Supra39号車が7番手に入り、上位8台によるQ2へと、GRスープラは6台全車が進出を決めました。
Q2では、まず38号車の立川祐路がQ1でのトップタイムを上回る好タイムをマークしトップに。しかし、午前中の公式練習走行でトップタイムをマークし好調な19号車を駆る宮田莉朋が、コースレコードタイムにコンマ1秒まで迫る1分26秒台に入れてトップを奪いました。
立川はさらにタイムを更新しましたが、19号車には届かず。ライバルが最後に宮田のタイムに1000分の3秒差まで詰め寄りましたが、19号車のトップは変わらず、19号車が2016年の第6戦ブリーラム(タイ)大会以来5年ぶりとなるポールポジションを獲得しました。宮田にとってはGT500クラスで初めてのポールポジション獲得です。
38号車が3番手、関口雄飛がアタックした36号車が4番手、今大会もシリーズエントリーのサッシャ・フェネストラズが入国制限により欠場のため、代役で阪口晴南がドライブした37号車が5番手、14号車の大嶋は6番手、39号車のヘイキ・コバライネンが8番手につけ、決勝レースに臨むこととなりました。
GT300クラスでは、Q1を2クラスに分けて実施。A組では埼玉トヨペットGB GR Supra GT 52号車の吉田広樹が4番手、TOYOTA GR SPORT PRIUS PHV apr GT 31号車の中山裕貴が5番手に入り、Q2へと進出。TOYOTA GR SPORT PRIUS PHV apr GT 30号車の織戸学は、Q2進出ラインの8番手と僅か0.054秒差の9番手、たかのこの湯 GR Supra GT 244号車の三宅淳詞も、コンマ2秒ほど及ばず僅差のQ1で敗退となりました。
B組では60号車の河野がトップタイム。K-tunes RC F GT3 96号車の新田守男が7番手でQ2へ進出。前戦に続き今大会もシリーズエントリーのナタポン・ホートンカムの代役としてarto RC F GT3 35号車をドライブするジュリアーノ・アレジは後半タイム更新できず11番手でQ2進出を逃しました。
Q2では吉本がアタックした60号車が3番手、川合孝汰の52号車が4番手につけ、GRスープラが2列目グリッドに並ぶことに。嵯峨宏紀の31号車は10番手、GT500クラスに代役参戦している阪口晴南に代わり96号車をドライブする平良響は13番手となりました。
■決勝
4日(火)は雲ひとつ無い好天に恵まれ、気温21度、路面温度35度で、やや暑さも感じるコンディションとなりました。午後2時半、2周のフォーメーションラップに続き、500km、110周という長丁場で競われる決勝レースのスタートが切られました。
ポールスタートの19号車宮田はスタートでやや遅れ、3ワイドでTGRコーナー(1コーナー)へと進入。石浦の38号車が一旦2番手へと浮上しますが、2コーナーで坪井の36号車がこれをかわし、2番手へ。1周目を終えた時点で36号車坪井が2番手、38号車石浦が3番手、37号車平川が4番手、14号車山下が5番手、19号車宮田が6番手。コバライネンの39号車は10番手へと順位を落としました。
3周目にエンジンブロー車両があり、セーフティカーが導入。7周目に再スタートが切られると、このチャンスに2番手の36号車坪井が抜群の再スタートでトップと並び、2コーナーで首位を奪いました。その後方では、3番手の38号車石浦に、4番手の14号車山下が迫り、16周目のダンロップコーナーに2台が並走して進入、このバトルを制した14号車山下が3番手にポジションを上げました。
38号車石浦はその後ペースが落ち、21周目には37号車の平川が先行。そして、31周目には最終コーナーを立ち上がったところで、38号車の左リヤタイヤが脱落。38号車は3輪のままピットへと向かいましたが、ダメージが大きくそのままリタイア。コース上に脱落したタイヤを排除するため、スーパーGTとして初めてのFCYが導入されました。
30周台後半になり各車1度目のドライバー交代と給油、タイヤ交換のためにピットイン。FCY直前のタイミングでピットインし順位を上げた車両に続き、関口へと代わった36号車が2番手、大嶋の14号車が3番手、阪口の37号車が6番手、国本の19号車が9番手、中山雄一の39号車が10番手で中盤戦に入りました。
48周目にこの日2度目のFCYが導入され、再スタート時には首位と2番手の36号車は15秒ほどの差がありましたが、36号車の関口は、60周を過ぎたあたりから猛追を開始し、首位との差を詰めていきました。76周目を終えたところで36号車はピットイン。ここで若干タイムをロスし、3番手へと後退。しかし、交代した坪井も追い上げを見せ、2番手の車両に食らいつくと、88周目のストレートでパスし、2番手へと浮上しました。
1秒差で首位を追っていた坪井の36号車でしたが、97周目に3度目のFCYが出され、99周目にFCYが解除された直後にスローダウン。残り12周でコース脇に車両を停めることとなってしまいました。その直後、首位を走行していた車両が、黄旗追い越しのペナルティを科され後退。これで中盤までのトップ2台がいなくなり、14号車が2番手、37号車が4番手で、前車との僅差のバトルとなりました。
14号車の山下は再三にわたって首位の車両を攻めますが、追い抜くまでには到らず。このトップ2台のバトルの間に、後半ハイペースで追い上げた37号車の平川が3番手との差を一気に詰め、残り3周となったストレートで前の車両をパス。3位表彰台圏内へと順位を上げました。
500kmもの長丁場のバトルにもかかわらず、トップ4台が2秒以内という団子状態でファイナルラップへ突入。14号車の山下、37号車の平川は最後まで激戦を繰り広げましたが、逆転には至らず、14号車が2位、37号車が3位でチェッカー。2台のGRスープラが表彰台を獲得しました。この結果、14号車はランキング首位の座をキープしました。苦戦しながらも粘りの走りを見せた39号車が6位、19号車が7位フィニッシュとなりました。
GT300クラスでは、3番手スタートの60号車が2番手へと上がり、首位争いを展開。4番手スタートの52号車は序盤トップ5圏内につけると、最初のピットインでタイヤ無交換作戦を採り、トップへと浮上。10番手スタートの31号車は8番手まで順位を上げましたが、トラブルに見舞われピットイン。長い修復を余儀なくされてしまいました。
川合が中盤を担当した52号車はライバルよりも早めにピットへ向かい、逆にピットを引っ張った60号車は吉本が着実にポジションアップ。全車が2度目のピットを終えた時点で、吉田の52号車は首位をキープ、河野へと代わった60号車は3番手に上がると、前を行くライバルとの激しい2番手争いを展開。82周目についにこれをパスし、GRスープラのワン・ツー体制となりました。
しかし、残り8周となったところでトップを走行していた52号車は突然のスローダウン。駆動系のトラブルでまさかの戦線離脱。これで首位に立った60号車は、後続2台との三つ巴の首位争いとなりましたが、河野が見事逃げ切り、トップチェッカー。今季より乗り換えたGRスープラでの初勝利、そして河野にとっても自身スーパーGTでの初表彰台かつ初優勝を成し遂げました。
■コメント
WAKO’S 4CR GR Supra 14号車 大嶋和也
「本当は第1スティントから、僕らが選んでいたタイヤがもうちょっと炸裂する予定で、ガンガン追い上げていく展開をイメージしていたのですが、ヤマケン(山下健太)が思いのほかトップについていけなかったのが意外でした。36号車のほうが速かったので、僕もタイヤを変えて行ったのですが、ほかのみんな同様に真ん中のスティントはグリップがかなり低く全然タイムが出なくてかなり苦しみました。原因は分かりませんが、みんな同じくらいのタイムだったらしいので、コンディションのせいなのかなと思います」
「今日の結果については、元々2連勝する気でいたので悔しい気持ちもありますが、第1スティント、第2スティントを終えた時点では、表彰台に行ければ良いかなという展開だったので、最後ラッキーもあってこの位置に来られて、ランキングトップをキープできたのは上出来だと思います。次戦以降はさらにサクセスウエイトが厳しくなりますが、とにかくミスをせず、ポイントを取りこぼさないようにしっかり頑張っていきます」
WAKO’S 4CR GR Supra 14号車 山下健太
「自分の最初のスティントは、走り出しからペースも良かったし、周りと違うタイヤを選んだのが良い感じだったので、2台か3台くらい抜いて、第2、第3スティントに期待が持てるかな、という感じでした。しかし、第2スティントは大嶋先輩が違うタイヤを履いて、それがあまり良くなさそうだったので、第3スティントはそれとも違う、今週末初めて履くタイヤで行きました」
「前3台が争っていたのもあるんですが、徐々に追いつくことができて、3台抜ければ格好良いなと思ったんですが、それほどの余力は無くて、どちらかというとどんどんズルズルになってしまいました。最終ラップはトップよりも後ろの平川君を抑えて、という形で終わってしまいました。結果として開幕戦優勝、今回2位という結果を聞くと悪くないなという感じもしますが、今後はサクセスウエイトがすごく重くなるので、相当キツくなると思いますが、タイトルを目指して頑張ります」