更新日: 2021.07.01 19:17
SYNTIUM LMcorsa吉本大樹が語るGRスープラ初年度の奮闘と、“最近の若手”河野駿佑
だが、各車のピット戦略が分かれた第2スティント、4輪交換を選択したSYNTIUM LMcorsaは順位を下げてしまう。周囲の戦略が把握できないままステアリングを握っていた吉本は、リアライズ日産自動車大学校 GT-Rの攻略にやや時間を要してしまった。
「向こうも(第1戦優勝分のサクセス)ウエイトがつらい状態だったとは思うんですが、どうしてもストレートは速い。そうこうしてるうちに後ろから11号車(GAINER TANAX GT-R)が来てしまい、これにも前にいかれてしまったら相当やっかいだな、と」
「一度ヘアピン(アドバン・コーナー)でアウトから抜きに行って外に押し出されたんですけど、そのあとしばらくしてから最終でインに入りました。これは11号車に前に行かれないように、という意味もありました」
吉本は1(TGR)コーナーのアウト〜コカ・コーラコーナーのイン側で、リアライズをオーバーテイク。この『ゲイナーに抜かれずに、リアライズを抜く』というミッションを遂行できたことが、最終スティントに向けたポジション取りという意味で、大きかった。
それだけではない。第1スティントに河野が抜きあぐねたBRZを、吉本はピットイン直前に攻略している。
「61号車は2回目のピットで2輪交換という可能性もあると思っていたので、もう絶対に前に出た状態でピットに入らないといけない、そう思ってました」
再び河野がステアリングを握った第3スティント、吉本はピットから戦況を見守った。
「トップの52号車(埼玉トヨペットGB GR Supra GT)にも、最終ラップ付近では追いつくだろう、というペースでした。結局彼らはいなくなったけど、後ろから来ていた61号車も、落ち着いて走ってくれれば大丈夫だろうな、と。まぁ、ドキドキでしたけど(笑)。でも、守り切って、すごくカッコいいレースをしてくれて良かった」
吉本とチームは2019年の第6戦オートポリスでも勝利を挙げている。しかし、「あのときは運が9割。天気と残り周回数と、スリックでいくという決断をしたのが大きかった。だけど今回はチームワークも素晴らしかったですし、タイヤのパフォーマンスもすごく良かった。自分たちの力で勝ち取ったという感じはします」。
とはいえ、埼玉トヨペットの脱落による勝利であったことは少々心残りであり、吉本大樹はフィニッシュ直後にも「ガチンコで52号車やほかの強豪チームにもに勝てるようにしたい」と口にしていた。
「彼らも1年間クルマを開発して今があるので、いきなりそこに追いつくというのはなかなか簡単ではない。また、ブリヂストンさんに関してはダメなときというのが極端に少なく、ベースのレベルがすごく高い。クルマの差というよりも、タイヤの差もすごく出てくると思います」
今後カギとなるのが、暑い時期のレースにおけるタイヤを含めたパフォーマンスと、サクセスウエイトとの付き合い方だ。SUGOはタイヤテストで走行しているが、その他のサーキットでは今年のパッケージで走行経験がないという。
「SUGOのテストではウエイト積んで走ったんですけど、重さを感じました。最終コーナー、登っていかないです」
「鈴鹿は悪くないんじゃないかという印象があります。加速と直線スピードが重要なもてぎは、苦手とする部類のような気もします。ただ、ブレーキはいいですし、良い意味でそのあたりを裏切ってくれるパフォーマンスを出せたらいいですね」
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