更新日: 2021.07.18 23:56
muta Racing INGING 2021スーパーGT第4戦もてぎ 決勝レポート
SUPER GT
第4戦
MOTEGI GT 300KM RACE
ツインリンクもてぎ
決勝:7月18日
天候:晴れ
コース状況:ドライ
決勝:優勝
2021年SUPER GTシリーズ第4戦は、7月18日にツインリンクもてぎにおいて決勝レースが行われた。前日同様真夏の太陽が照りつける暑い一日となったが、朝早くからファンがサーキットへ詰めかけ、2日間で計2万人が灼熱のレースを思い思いに楽しんだ。そしてその熱心なファンの前でmuta Racing Lotus MCは素晴らしいレースを展開することとなった。
この日は昼前の11時35分から20分間のウォームアップ走行が行われ、加藤がコースインして阪口に交代。走り込んだタイヤながらトップタイムから0秒481の8番手につけ、決勝での追い上げに期待がかかった。レースは早めにピットインするのか、スタートドライバーの加藤が長めに引っ張るのか、タイヤ交換をするのか、さまざまな作戦が考えられるところだった。
気温33度、路面温度51度とグリッドにいるだけで汗が吹き出るようなコンディション。13時16分、決勝レースはスタートを切った。17番手スタートの加藤は、3周目には16位、4周目には15位、さらに8周目には14位、12周目には13位、17周目には12位と面白いように順位を上げていった。20周目から早めのピットインを済ませるチームが現れたが、加藤はそのままコースに残りライバルたちのほとんどがピットインを済ませた28周目にはついにトップに躍り出た。
加藤はそのままコースにとどまりギリギリの周回数までレースを引っ張る形で周回を重ねていった。ピットを遅らせることは、給油量が少なくて済み燃料補給の時間が短縮できる。またラップタイムが落ちなければタイヤ無交換作戦を採り、ピット作業の短縮もできる。
リミットの40周までピットインを待つ予定だったが、1台の車両が火災を起こしストップした映像がモニターに流れた瞬間、ピットから加藤にピットインの無線が飛んだ。加藤は38周目にピットイン。その直後にFCY(フルコースイエロー)となり、全車両は速度を80km/hに落とし、追い越し禁止、ピットレーンは進入禁止となった。
ドライバーは加藤から阪口に交代し給油。そしてタイヤ交換を行わずコースへ送り出した。FCYは4分間実施されたが、他車両がスロー走行となっている間にピット作業も終了し、クラストップを守ってのコースインとなった。
40周の時点で2位の11号車GT-Rとの差は10.2秒。しかしラップペースは相手の方が速く、翌周には8.4秒差まで詰められた。しかしここで最終コーナーにストップした車両を回収するために2回目のFCYとなり2台の差は変わらぬまま、残り17周ほどトップを守ることができるのか?
48周目にはその差は1秒を切るが、阪口は簡単にはトップの座を譲らない。50周目には0.105秒差と横に並びかけられるが、阪口も粘りトップを死守。やがて11号車GT-Rに52号車GRスープラが追いつき、3台によるトップ争いとなったが、阪口はトップを譲ることなく最後は後続を引き離してトップチェッカー。今年新体制となったチームが初優勝を飾った。
加藤は昨年の第2戦以来1年ぶりの優勝で、阪口はこれがSUPER GTシリーズのうれしい初優勝となった。またチームはベストメカニック賞である『ZFアワード』を受賞しうれしさが倍増した。順延されている第3戦は8月21〜22日に鈴鹿サーキットにおいて開催される予定。
加藤寛規
「うれしいとしか言いようがありません。新しい体制、タイヤ、チームメイト、ここまでうまくシンクロしていませんでしたが、レースのインターバルが2か月空いたことで、チームはクルマを見てくれて、僕はセッティングを考える時間ができました。そして今週それを試すことができて良い方向にいきました」
「暑さでブレーキもきついのですが、ADVICSのブレーキのおかげもあり勝てました。また阪口選手の初優勝に寄与できたこともうれしいです。予選17位だったので、普通に走ったら無理です。タイヤ無交換は視野に入れてスタートしていましたが、残り25周だったしここまでいったらギャンブルだということでタイヤ無交換でした」
阪口良平
「こんなこともあるんだというレースです。このレースは厳しい戦いになると思っていましたが、公式練習から感触が良く、ブレーキも良くなっていました。レースは加藤さんのラップタイムも良く、周回を引っ張ってもらいました。交代してすぐにピックアップがついたのですが、すぐに取れましたし、全部が良い方向にいきました」
「GT-Rに追いつかれたときにミラーで動きを確認したら、こちらの方がトラクションが優っていましたし、レイトブレーキもできるので抜かれないかなと思いました。表彰台に登ったり、記者会見に出れるとは思っていなかったので、初優勝は嬉しいです」
渡邊信太郎チーフエンジニア
「もてぎで勝てるとは思っていなかったので、本当にうまくいったと思います。決勝前のウォームアップでも使い込んだタイヤでトップ10にいましたしこれは上位にいけるのではと感じました。加藤さんも順位を上げていったので、今日は抜くレース展開になり抜けるところまで行こうということで、早めにピットインする作戦はなくなりました。そしてFCYやSCになるタイミングまでピットインは待とうということになりました」
「速いクルマは4台ほどいて、タイヤ交換をすると4〜5番手まで落ちるし、そこから追い抜くことは難しいので、無交換を選びました。次にストレートを通過する時に『BOX』(ピットイン)のサインを出す準備をしていましたが、クルマが燃えているということで急遽加藤さんに入ってもらいました。5〜6秒遅かったらピットインできなかったと思います。最後はどの車両もタイヤが磨耗していたので逃げ切れるとは思いましたが、いろんな要素が絡んで良い結果につながったと思います」