更新日: 2021.09.01 07:11
快適性が抜群に向上! SUBARU新型トランポの中、お見せします【井口&山内のBRZコラム Vol.4】
ただ、決勝が始まると、懸念が想定以上に顕著に出てしまったというか……。山ちゃんの走りをSUBARU On-Tubeのオンボード映像で見ていると、もう2周目の後半くらいから修正舵がかなり増えてきているのが分かり、「これはもう、リヤが落ちたな」と。
すぐにセーフティカーが入ったので、タイヤが冷えたら復活するかと思いきや、フロントだけ復活したみたいで、リヤのグリップ感はそのまま。余計にフロントも入るし、トップをキープするのは難しくなってしまったそうです。
ロングランの感触はソフト側のタイヤ方が良かったので、僕の後半スティントもソフトでいくことにしました。また、トラックポジションを優先するため、これまで鈴鹿のBRZでは定番だったリヤ2輪交換にトライすることになりました。
最初の数周、リヤ2輪交換の場合は後輪が新しいのでアンダーステアがいつも強くなるのですが、今回はその度合いがとても大きかった。そしてリヤが落ち始めたら一気にバランスが逆転しオーバーステアに苦しむという、ネガな部分がすべてハマってしまうようなスティントになりました。
無交換だったフロントタイヤの摩耗も厳しく、残り5〜6周はコースにいるのが精一杯の状況。前もちゃんと見えないくらいバイブレーションがひどく、オーバーステアと格闘していたので腕もパンパンになってしまいました……。
予選で前に行けるようにするという、今回の選択は間違っていなかったと思います。ただ、新型車両になって間違いなくシャキっとはしているんですが、なんとなくクルマの剛性とか硬さに対して“逃げ場”がないというか、タイヤに依存してしまっている感覚があるよね、というのは山ちゃんとずっと話しているんです。
今回試した“しなやかな方向”では、よりクルマの動きが感じられるようになったし、それでも一発のタイムはあそこまで出せた。予選での感覚は、今年一番良かったと思います。あとは決勝に向けて、やわらかく・しなやかにする方向をどこまで、どうやっていくか。レース後チームとは、たとえば一気にスプリングのレートを落としてみる、みたいなことも必要かもしれないという話はしました。
苦戦はしていますが、予選の一発の速さがあったりと、まだまだ希望の光はあるので、チームと一緒になって、“決勝に強いクルマづくり”にトライを続けていきたいと思っています。引き続き応援のほど、よろしくお願いします!
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さて、話はガラリと変わりますが、今回は今シーズンからマシンとともに新型に生まれ変わった、僕らのトランポを紹介しましょう。
残念ながらファンの皆さんはまだ近くで見ることができずにいるかと思うので、少しでも僕らの戦いの“臨場感”を感じてもらえれば嬉しいです。まぁ、写真はちょっとユルめですが(笑)。