LMcorsa 2021スーパーGT第5戦SUGO 決勝レポート
S-GT2021 Rd5 SUGO Final
LMcorsa REPORT
#60 SYNTIUM LMcorsa GR Supra GT
決勝レースでも優れたパフォーマンスを発揮し表彰台圏内を走行するが
62周目に不運なアクシデントに巻き込まれ順位を落とす
それでも粘り強く走り5位でフィニッシュしポイントを積み重ねた
気象データ
気温:28度、路面温度:43度(スタート時)
2019年9月以来のスポーツランドSUGOでの開催となったAUTOBACS SUPER GT第5戦『SUGO GT 300km RACE』。昨日の9月11日(土)には公式練習と予選が行なわれ、12日(日)の13時半から決勝レースが実施された。
開幕戦から3週間前に終えた第4戦までに23ポイントを積み重ねてきたLMcorsaは、69kgのサクセスウエイト(ウエイトハンデ)をSYNTIUM LMcorsa GR Supra GTに搭載してスポーツランドSUGO戦に挑むこととなった。約70kgのウエイトハンデがどのような影響を及ぼすか未知数だったが、予選Q1を3番手で突破。スターティンググリッドを決める予選Q2でも3位となり、決勝レースはセカンドローからのスタートとなった。第3戦、第4戦ともに予選で下位に沈んだことがポイントを取りこぼす要因だったため、今戦の決勝レースは上位での争いが期待された。
迎えた決勝日の12日は朝からサーキットに強い日差しが照り付け、午前中から気温が25℃を超える夏日となる。決勝レースの前のウォームアップ走行は予定通りの12時10分から20分間で実施され、吉本大樹選手と河野駿佑選手の両ドライバーがマシンの最終チェックを行なった。
スポーツランドSUGOは1周の距離が約3.5kmと短くコース幅も狭いため、荒れた決勝レースになることが多い。気温28℃、路面温度43℃という9月にしては過酷な条件の中で300kmの決勝レースはスタートを切った。
SYNTIUM LMcorsa GR Supra GTのスタートドライバーを務めたのは吉本選手で、3番手のポジションを守ってオープニングラップを終える。だが、2周目に入ると順位を上げてきたNSX GT3にストレートでパスされて4番手に後退。序盤はトップ3を射程圏内で追従し、5番手以降とのマージンも保ちつつ走行していた。それでも、10周を超えるとタイヤのグリップがやや低下してきて後続からのプレッシャーが厳しくなる。
決勝レースは83周(GT500マシン)で競われたため、1人のドライバーが1/3以上の周回を走行する必要があるという規定を考えると、ピットストップのタイミングはGT300の場合には25周目以降となる。吉本選手は巧みなドライビングで25周目まで4番手のポジションをキープし続けた。後半のスティントを考えるとタイヤ摩耗が進んでいるとはいえできる限りピットインのタイミングは伸ばしたかった。だが、ラップタイムが落ち込んだためチームは27周目に吉本選手をピットに呼び戻す。
上位陣では2番目に早いタイミングでのピットインとなったLMcorsaは、ミスなく4本のタイヤ交換と給油を実施して河野選手をコースに送り出す。まだ決勝レースは約1/3が消化した段階だったため、約50周のロングスティントが河野選手には残されていた。23番手でコースに復帰した河野選手は、1分21秒台の好タイムで周回を重ねていく。30周を超えると徐々に上位陣がピットストップを行なっていき、35周目には16番手、40周目には11番手まで順位を挽回していく。
レースが折り返しを過ぎた44周目にGT500のマシンから出火したためセーフティカーが導入される。セーフティカーは7周を先導し、51周目にレースはリスタートする。54周目にはGT300クラスの28台が規定のピットストップを終えると、SYNTIUM LMcorsa GR Supra GTは4番手となっていた。すると、この54周目に3番手を走行していたAMG GT3がタイヤトラブルで後退し、表彰台圏内までポジションを上げることに成功。4番手とのギャップは3.5秒ほどあったが、まだ20周以上を残していて終盤の熾烈な戦いが想定された。
プレッシャーの掛かる状況だったが、河野選手は好タイムで周回を続けて表彰台でのフィニッシュが見え始めていた。しかし62周目の1コーナーで、前を走る周回遅れの2台のマシンが接触。1台がコース上でスピンしたため河野選手はグラベルに出てクラッシュを避ける。このアクシデントによって3台のマシンがSYNTIUM LMcorsa GR Supra GTの横を抜けていき6番手に後退してしまう。
マシンにダメージはなかったが、タイヤの表面が汚れてしまいタイムを落とすことになる。70周を過ぎるとタイヤそのもののパフォーマンスも低下していき、先行しているマシンとの差を詰めることは難しくなった。このままのポジションでチェッカーかと思った77周目に先行していたマシンにトラブルが起き、SYNTIUM LMcorsa GR Supra GTは78周目に5位でゴールとなった。
2人のドライバーの頑張りとチームワークによって表彰台でのフィニッシュが見えていただけに残念な結果だが、5位で6ポイントを積み重ねることとなった。シリーズランキングは5位のままだがトップとの差が少し詰まり、シリーズは残り3戦の終盤戦を迎える。
●コメント
飯田章監督
「決勝レースは想像した通りの気候で、我々の履いたタイヤだと厳しい戦いになると思っていました。それでも2人のドライバー、チームともにミスなく確実な仕事をしてくれて持っているパフォーマンスは発揮できたはずです。河野選手のスティントでのアクシデントがなければ、タラレバですがさらに上位に入れたかもしれません。ただ、これもレースの展開のひとつなので受け入れるしかないです。残り3戦はさらに白熱した争いになっていくと思うので、今回のようにミスなく着実にポイントを積み重ねていきたいです」
吉本大樹選手
「決勝レースは予選で使ったタイヤを履いて前半のスティントを担当しました。後半のスティントが長くなるとタイヤのライフを含めて心配だったため、できる限り引っ張ろうと思っていました。しかし、20周を超えたあたりからグリップ感が乏しくなったので27周目にピットに入りました。河野選手には厳しいロングスティントとなってしまいましたが、頑張って走ってくれました。3位が見えていただけにアクシデントに巻き込まれたのは残念ですが、ポイントは積み重ねられました。次戦もしぶとく粘ってポイントランキングを上げられればと思っています」
河野駿佑選手
「決勝レースは後半のスティントを担当し3番手まで順位を上げられました。しかし、終盤で直前を走行していた周回遅れの2台のマシンが接触して、それを避けるためにグラベルに出てしまい順位を落としてしまいました。表彰台でのフィニッシュが可能だと思っていただけにレース直後は悔しさがこみ上げてきました。それでも冷静に考えるとチームは完璧なピット作業を行なってくれたし、アクシデントはあったものの最低限の仕事はできたと思っています。次戦はさらにサクセスウエイトがさらに重たくなるので簡単ではないですが、結果を残していきたいです」