apr プレスリリース

 決勝当日のオートポリスは、午前中こそどんよりした天気となっていたが、20分間のウォームアップが終わると、雲の切れ間から強い日差しが注がれるように。まるで2年ぶりのスーパーGTを大歓迎するファンたちの、熱い想いが伝わったかのようだ。そのウォームアップでは中山選手が1分44秒675を、そしてラスト5分を担当した嵯峨選手も1分44秒957をマークして、『#31 TOYOTA GR SPORT PRIUS PHV apr GT』はトップ。決勝も大いに期待された。

 なお、気温は16度と予選より上がった一方で、路面温度は19度と逆に下がっていた。今回もスタートを担当したのは中山選手。2周のフォーメイションラップの後、グリーンシグナルの点灯と同時に鋭くダッシュ。オープニングラップこそ、2番手の車両に激しく詰め寄られるも、以降はじわりじわりと差を広げていく。

 3周目にはファステストラップとなる、1分44秒481をも記し、『#31 TOYOTA GR SPORT PRIUS PHV apr GT』はトップを走ることで、GT500クラスとの最初の遭遇もスムーズにいって、ほぼ3秒のマージンを作るまでとなっていたのだが……。そんな矢先にGT300クラスでアクシデントが発生。FCYからすぐセーフティカー(SC)導入に切り替えられる。

 せっかく築いたマージンを失うも、16周目のリスタート後は再び何事もなかったかのように、差を広げていった中山選手。だが、18周目に総合トップの車両からタイヤが脱落、さらにまたGT300クラスでアクシデントが発生し、再びSCが導入される羽目に。5周にも及んだことで、すでにドライバー交代可能な周回にも達していたことから、ピットからはリスタート直後の交代も提案されるも、中山選手はマージンを作ってから交代した方がいいと判断、ピットもそれを受け入れることに。

 リスタートが切られた23周目、24周目に多くの車両がピットに滑り込むも、中山選手は29周目までコースにステイ。そして目論見は的中する。代わってコースに戻った嵯峨選手の前を走るのは、まだドライバー交代を行なっていない車両のみ。事実上の2番手の車両も徐々に引き離し、全車がピットに入った後は、もちろん『#31 TOYOTA GR SPORT PRIUS PHV apr GT』がトップに立っていた。

 嵯峨選手も32周目には1分44秒715をマークし、決勝で他に1分44秒台を記していたのはひとりだけだから、圧倒のポテンシャルが理解できるというもの。終盤はペースを抑える余裕さえ見せていたと思われたが、実はタイヤのピックアップに苦しんでいて、後続との差がみるみる縮まる状況であった。

 なんとか逃げ切り、FRに改められて3年目の『#31 TOYOTA GR SPORT PRIUS PHV apr GT』が、初表彰台を初優勝とし、チームにとっては嵯峨選手と中山雄一選手が組んでいた、2016年第4戦SUGO以来となる、5年ぶりの優勝を飾ることとなった。

 次なる戦いは、2週間後の11月6〜7日にツインリンクもてぎで繰り広げられる。初めて32kgのサクセスウエイトを積むこととなるが、引き続きの活躍を期待していただきたい。

■決勝後コメント
嵯峨宏紀選手

「最後に勝ってから何年も経ってしまったので、今はすごく嬉しいですし、FRに変わってから、なかなか結果が残せなくて、開発も兼ねている身としては忸怩たる思いだったんですけど、こうやって勝つことができてホッとしています。今までやってきたことが、間違いじゃなかったというのも強く感じていますし……。こういった形で最高にいい結果を出せて、チームを始め、スポンサーの皆さんとブリヂストンさん、トヨタのスタッフも含めて感謝しきれないし、『ありがとう!!』って言葉しかないです」

「実は決勝に向けて心配していたネガな部分も起きていて、スティント後半ではピックアップの問題が生じ、最初にパパッと44秒台が出たんですけど、ピックアップが出始めてからはどんどんタイムが落ちていって、最後は
50秒台まで。なので、なんとか逃げきれて良かったです。こういう勝った時こそなんですけど、なんで今回勝ったのか再検証します。もてぎに向けて、なんで良かったのか理由を見つけておかないと、また元の状態にも戻りかねないので。しっかりミーティングして、準備していきたいと思います」

中山友貴選手

「2年ぶりの開催ということもあって、非常に楽しみにしてオートポリスに入りましたが、まさかポールを獲って、優勝できるとは夢にも思っていませんでした。今シーズンずっと苦労してきていたんですが、直前にテストを行ったことでクルマの戦闘力が上がった部分で、少し期待はしていましたが、優勝できるとは思わなかったので、嬉しいのとチームのみなさんに感謝しています」

「僕のスティント2回もSCが出て、後ろとのギャップを広げていた最中だったので、少し心配する部分はあったんですが、自分のペースも良かったから2回ともリスタートでギャップ築き直せたので、そこは非常に良かったと思います。
2回目のSC後に入ろうという提案もあったんですけど、マージンがないままピットに入ってしまうと、嵯峨選手のスティントが厳しくなってしまうのと、せっかくギャップが作れる展開を使わないともったいないと思ったので、自分の方からリスタートの後に何周か引っ張って交代させて欲しいと言ったら、受け入れてくれたし、結果的にもうまくいきました」

「2週間後のもてぎに向けては、自分たちのクルマは得意じゃないという印象が少しあるんですけど、今回のレースで流れもいいものがありますし、チームの意識も上がっているので、少しでもポイントを取って、その後の富士へもいい弾みをつけたいと思っています」

金曽裕人監督

「ありがとうございます。勝てるまでこんなに時間がかかったのに、応援してくれるファンの皆様、サプライヤーの皆様、スポンサーの皆様に感謝しかありません。でも、やっと走れる位置に戻ってきましたが、僕らはノーウエイトで勝っただけで、まわりはフルウエイト、この違いは想像以上に大きな要因です」

「今まで作ってきたクルマで、優勝できなかったマシンは一台もなかった中で、さすがにFRプリウスPHVはダメかもと諦めかけたことも正直ありました。それが今回の初優勝! コンストラクターとして安堵しております。苦労は報われて先が見えてくると信じ、今後のモータースポーツ界のため、環境のためにもハイブリッドレーシングカーがスーパーGTには必要だという精神が伝わっていただければ幸いです」

「このレースを通じてハイブリッドと、シャシー側のハードウエアはまだまだ詰めていかないとダメだと、強く感じてもいます。ここからみんなウエイトが減っていく中、ノーウエイトになった時のディスアドバンテージは他車に比べて依然大きいですから。そんなに簡単な事ではないのですが、残り2戦も全力を尽くしaprらしさを出していきたいと思います」

2021スーパーGT第6戦オートポリス GT300クラス優勝のTOYOTA GR SPORT PRIUS PHV apr GT(中山友貴/金曽裕人監督/嵯峨宏紀)
2021スーパーGT第6戦オートポリス GT300クラス優勝のTOYOTA GR SPORT PRIUS PHV apr GT(中山友貴/金曽裕人監督/嵯峨宏紀)

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