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投稿日: 2021.11.03 00:06

GOODSMILE RACING & Team UKYO 2021スーパーGT第6戦オートポリス レースレポート


スーパーGT | GOODSMILE RACING & Team UKYO 2021スーパーGT第6戦オートポリス レースレポート

GOODSMILE RACING & TeamUKYO

■2021 AUTOBACS SUPER GT Round6
AUTOPOLIS GT 300km RACE

■DATA
会期:2021年10月23日~24日
場所:AUTOPOLIS(大分県)
観客:予選6,500人、決勝10,300人、合計16,800 人
予選:19位
決勝:6位
獲得ポイント:5Pt
シリーズ順位:10位(25Pt)

 SUPER GT 2021年シーズンもいよいよ終盤。2年ぶりの開催となった九州ラウンド、第6戦オートポリスが10月23日(土)、24日(日)に開催された。

 レースウィーク直前の水曜日に阿蘇山で大きめの噴火が発生し、一時は開催そのものが危ぶまれたが、幸い阿蘇山の北西に位置するオートポリスにはこの噴火による火山灰などの影響が大きく出なかったため、予定どおりの開催となった。

 今レースでMercedes-AMG GT3に課せられたBoP(バランス・オブ・パフォーマンス)は重量調整が前戦から10kg追加の45kgとなり、これによって車両総重量は1330kgに。さらに成績に応じて搭載されるサクセスウエイト(=SW/旧称ウエイトハンデ)は60kgで、相変わらずクラス最重量級車両だ。

 シリーズの規定により次戦はSWが半減、最終戦ではSW無しの”ノーウエイト勝負”となるため、今ラウンドが1年で最も重い状態での戦いとなる。

【10月23日(土)】公式練習、公式予選

天候:晴れ
コース:ドライ
気温/路面温度:
Q1開始時14℃/26℃
Q1終了時14℃/24℃
Q2開始時13℃/26℃

 土曜午前の公式練習は快晴の下でスタートした。オートポリスはSUPER GTで使用される他のトラックと比較して、レーシングカーが走行する機会が少ない為、他コースよりも路面にラバーが乗っていない。また、大会中止には至らなかったまでも、阿蘇山からの火山灰が多少はコースに落ちているため、チームはコースオープン後すぐにはマシンを出さず15分ほどピットで待機し、他車の走行により路面コンディションが改善するのを待った。

 まずは片岡選手がステアリングを握り、4号車グッドスマイル 初音ミク AMGはコースへと飛び出していった。セッション開始時点で気温12℃、路面温度19℃と肌寒いコンディションもあってライバルたちのタイヤも温まりきっていないのか、15分待機した割に路面改善は期待ほど進んでいなかった。そんな中で持ち込みタイヤとセットアップの確認作業を進めていく。

 しかし7周を走行したところで55号車(ARTA NSX GT3)がコースオフしたことにより赤旗が出され走行が中断される。さらに再開直後には18号車(UPGARAGE NSX GT3)がコースサイドにマシンを止めたことで再び赤旗中断。これにより、走行時間が10分間延長される措置が取られた。

 そんな状況の中、片岡選手は1分44秒254の自己ベストを記録した後、満タン状態のバランスまで確認して、谷口選手へとステアリングを引き継いだ。谷口選手はロングランに向けたデータを得る為、連続周回に向かった。計測開始早々に2周連続で1分46秒台を記録したが、直後に再び18号車がストップし、このセッション3度目の赤旗中断となってしまった。セッションが残り8分で再開されると、谷口選手は最終周で1分44秒388の自己ベストを記録しピットに戻った。

 セッションを通じての4号車グッドスマイル 初音ミク AMGのベストラップは片岡選手の1分44秒254でクラス11番手。この結果を受けて午後の予選に向けた策を練ることとなった。

 公式練習が遅れた影響で、公式予選Q1は15分遅れの午後1時55分からスタートとなった。今回もA組B組に分けられたQ1で4号車はA組で出走する。路面温度は26℃、Q1アタッカーを託された片岡選手は、ピットレーン出口オープンと同時にコースへと飛び出していく。

 慎重にタイヤへの熱入れを進め、グリップ発動を確認した片岡選手は計測3周目で1分44秒258と、コントロールライン通過時点で5番手のタイムをマークする。しかし「公式練習の中断で予選用タイヤの温まりがちゃんと確認できてなくて、その分でちょっと予選のパフォーマンスが出し切れない感じはあった」と、これ以上のタイム更新はならず。後続のライバル車両が次々とタイムアップを果たしたことで、チェッカー掲出時点でQ1A組10番手まで落ち、Q2進出はならなかった。Q1B組の結果と合わせ、翌日の決勝は19番グリッドからの追い上げを期すこととなった。

グッドスマイル 初音ミク AMG
グッドスマイル 初音ミク AMG

グッドスマイル 初音ミク AMG
グッドスマイル 初音ミク AMG

【10月24日(日)】決勝

天候:晴れ
コース:ドライ
気温/路面温度:
スタート前(13:25):13℃/21℃
中盤(14:25):13℃/22℃
終盤(15:00):12℃/19℃
終了(15:45):13℃/18℃

 上空には前日よりわずかに雲が出たものの、朝から概ね好天。午後12時10分からのウォームアップ走行で9周を走行した片岡選手は1分45秒979を記録。そのまま午後1時30分からの65周300km勝負に向け、ローリングスタートからのサバイバルに挑む……はずだった。

 しかし、この走行直後にギヤシフトに関わるマシントラブルが発覚した4号車グッドスマイル 初音ミク AMGは、グリッドに向かう為、ピットを離れなければならない時間までに修復作業を終えることができず、規定によりまさかのピットスタートに。

 幸いスタート時刻までに修復は完了し、レースを戦うことは可能となるも、最後尾からのスタートとなった。ここでチームは急遽作戦を変更。レーススタートと同時にタイヤをハードに履き替えてからスタートする事を決断し、その後の展開次第で交換本数を削減してピット作業時間削減を狙う作戦を採用した。

 気温は13℃、路面温度19℃とほぼ前日同様の気候の中、決勝がスタートする。2周のフォーメーションラップを経て、GT300クラスの隊列が猛然とコントロールラインを通過していくのをピットロードエンドで見届けた片岡選手は、出口のシグナルがグリーンに変わると同時にクラッチミート。最後尾からレースをスタートした。

 コース上の全車両の最後尾ということもあり、4周目には早くもGT500の先頭集団に追いつかれてしまうが、片岡選手は7周目までにGT300の集団に追いつくと、まずは8周目の3コーナーで244号車(たかのこの湯 GR Supra GT)をオーバーテイク。さらに前を狙っていたところで目の前の48号車(植毛ケーズフロンティア GT-R)が22号車(アールキューズ AMG GT3)と接触し、22号車が第2ヘアピンで大きくクラッシュ。4号車はその直後を走行していたが、クラッシュ現場の横をギリギリですり抜け無事だった。そのまま最終コーナーで9号車もオーバーテイクし、ポジションを25番手まで上げる。そこで、22号車回収の為、全車80km/h規制となるFCY(フルコースイエロー)が発令され、コース上に散らばったパーツ回収のためそのままセーフティカー(SC)導入が宣言される。

 11周目、ホームストレートでクラス別に隊列を整えた後、15周目からレースが再開される。前方車両とのギャップがリセットされた状態からのリスタートのおかげで再開直後に7号車(Studie PLUS BMW)、続くラップで25号車(HOPPY Porsche)、35号車(arto RC F GT3)も仕留め、17周目には21番手までポジションを回復。しかしここで、35号車(arto RC F GT3)と接触した48号車がバランスを崩してクラッシュした事により早くも2度目のSC導入となる。

 このSC中にドライバー最低義務周回数のレース距離3分の1を超えた為、リスタート直後にミニマムで飛び込むことを決めたチームは、23周目にレースが再開されるとすぐさま片岡選手をピットロードへ向かわせた。

 前半スティントを通じ、SC先導走行ばかりで「ある意味、タイヤとガソリンはすごくセーブすることに成功した」という片岡選手の言葉も受け、チームはリヤ2輪のみを交換して作業時間を短縮すると、谷口選手を19番手でコースへ送り出す。

 谷口選手は走行開始直後に1分47秒363、28周目には1分47秒227と、このレースでの自己ベストを記録しつつ前を追い、次々とオーバーテイクを重ね、ライバルのルーティンピットインもあって、周回を経るごとにみるみるポジションを上げていった。

 40周を前に9号車(PACIFIC NAC CARGUY Ferrari)、60号車(SYNTIUM LMcorsa GR Supra GT)、そして18号車(UPGARAGE NSX GT3)もパスし、谷口選手はついにトップ10のポイント入賞圏内まで這い上がってきた。

 さらに21号車(Hitotsuyama Audi R8 LMS)も仕留めた4号車は、ピット作業を引っ張っていた360号車(RUNUP RIVAUX GT-R)が同周回で入ったことで8番手へ。ここから約8秒前を行く65号車(LEON PYRAMID AMG)を追い詰めていく。

 予選でグリッド上位を占めたライバル勢は、このオートポリスの路面に翻弄され、タイヤのグリップ低下やピックアップの症状でみるみるとラップタイムを落としていた。そんな中、ハードタイヤを選択していた4号車グッドスマイル 初音ミク AMGと谷口選手は1分48秒台で安定したレースペースを刻み、瞬く間に65号車との間合いを縮めると、47周目にはMercedes-AMG GT3対決を制して7番手へ。

 更に前を行く10号車(GAINER TANAX with IMPUL GT-R)も55周目の第2ヘアピンで捉え6位に。残り周回数が少ないことからさらなるポジションアップとはならず、谷口選手は61周目にそのまま6位でレースをフィニッシュした。

 抜きにくい特性のオートポリスで、ピットスタートから実に23台抜きを決めるオーバーテイクショーを繰り広げ、快心のレースを走り抜いた谷口・片岡両選手。これで5ポイントを獲得しランキングでもトップ10に返り咲いた。次戦、ウエイト半減の第7戦ツインリンクもてぎでも、魅せ場盛りだくさんのレースを期待したい。

片岡龍也と片山右京監督
片岡龍也と片山右京監督

■ チーム関係者コメント

安藝貴範代表
この週末は土曜の練習走行を上手く活かせなかった、というのが大きいですね。決勝で使うタイヤの確認はそれなりに出来て自信は持っていましたが、予選の確認が充分に出来なかった。おまけに決勝前に不具合が出てしまい急遽作戦を変更しました。リヤ2本交換ならフロントは少なくとも温まっているし、アウトラップも含めトータルで稼げるはずと考えての判断でしたが、あとは他車のタイヤが落ちてくれるかどうか。本当ならセーフティカーが出た際に『給油だけ、タイヤ交換だけ』などスプラッシュピットインが出来ていれば、あと10秒ぐらいは稼げた。それが出来ていれば表彰台争いも出来ていたかもな、と。いずれにせよ、予選で前にいけないと大量得点ができないですし、レースをもっとデジタルに、正確に進められるように。機材、エンジニア、さまざまな工夫をしていきたいですね。

片山右京監督
本当に難しい週末でした。練習走行の感触は悪くなくて、Q1で読みを間違えてまさかの「やっちゃった~」に。路面状況が良くなってバランスが悪くなり、アンダーが強くなってタイムが出ず、Q1通過が出来なかった。さらにギヤの調子が悪くグリッドからスタートも出来ず。だったらタイヤも変えて、硬い方でペースを作って、と。セーフティカー中に作業をしていればさらに上があったかもとか、欲を言えばキリがないけれど、良かったのか悪かったのか、今回は全然わからなかったのが本音です。結果として今回はいろいろうまく行きましたが、予選1発のタイムが出ないという根本的な課題は解決してないですし、今後はウエイト半減に気温も低下と、どんどん我々には厳しい条件の方に行く。苦しい戦いが続きますね。

谷口信輝選手
本来ならGT-Rを抜くのも全然無理な話だけれど、このサーキットはグレイニングやピックアップでタイヤがとんでもなく落ちてくる。僕らも本来ならソフトでスタートして、僕がハードでロングを……というのがベーシックプランだけれど、トラブルでピットスタートになったことで残っているハードを選択した。そのハードタイヤがむちゃくちゃポテンシャル高いってわけじゃないけど、幸いグレイニングとピックアップがあまり出なかったから、並のペースで走れた。トップの車みたいに1分44~45秒なんて出るわけもなく。休憩に入ったウサギをカメが追い越したというだけですね。それでも前戦は3番手を走っていて残念なパンクがあったから、とりあえず今回はそのストレスが少しだけ解消出来たかな。

片岡龍也選手
今回は突如、ピットスタートとなってしまいましたが、じゃあしょうがないということで、タイヤをロングで実績のある方に交換してスタートする作戦に切り替えました。僕のスティントでも、もっとオーバーテイクをしたかったんですが、追いつくとすぐセーフティカーで……。順位はそんなに上げられなかったけれども、それで全体的なギャップは詰められた。リヤ2本交換ということでフロントの摩耗はちょっと心配だったんですけど、僕はほとんど走れていないんでそのまま行けるかなと(笑)。谷口さんに交代してからもほぼ想定のペースでそして周囲は落ちてくれたと。不幸のピットスタートから、なんとかポイントが獲れたことは良かったなと思います。

谷口信輝と片岡龍也、レーシングミクサポーターズ
谷口信輝と片岡龍也、レーシングミクサポーターズ


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