更新日: 2021.11.07 01:03
LMcorsa 2021スーパーGT第7戦もてぎ 予選レポート
S-GT2021 Rd7 Motegi QF
LMcorsa REPORT
#60 SYNTIUM LMcorsa GR Supra GT
公式練習はコンディションに合わせ込むことに苦労したが
予選ではQ1を担当した河野選手が3番手タイムをマーク
予選Q2も吉本選手が好調を維持し、明日の決勝レースは6番手から上位を目指す
年間8戦のシリーズ戦で競われているAUTOBACS SUPER GT 2021 SERIES。新型コロナウイルスの感染拡大によって一部のレースではスケジュールの変更があったが、4月の開幕戦から7カ月のあいだに6戦が実施され、残されたレースは2戦となった。
前戦は10月23~24日に大分県のオートポリスで開催され、レース終了からわずか2週間の間隔で今回の第7戦『MOTEGI GT 300km RACE』が栃木県のツインリンクもてぎで行われている。2019年までのような通常のシーズンであれば最終戦の舞台はツインリンクもてぎになっていたが、今シーズンは11月末の富士スピードウェイが最終戦となる。
2014年からSUPER GTに参戦しているLMcorsaは、今シーズンから新型マシンのGR Supra GTを投入。自動車メーカーが販売しているGT3マシンよりもチームとして手を加えられる範囲が広く、自社に技術やノウハウが残るということでこのGT300マシンを採用するに至った。
手探りの状態でシーズンが開幕したが初戦からGR Supra GTは高いパフォーマンスを発揮し、第2戦では早くも優勝を飾った。それ以降は予選で速さを現すものの決勝レースでは不運な出来事が多く、ポイントを積み重ねられなかった。それでも第7戦を迎えた時点でのポイントランキングはトップから21ポイント差の7位となっていて、わずかながらシリーズチャンピオンの可能性が残っている。
SUPER GTは独自のウエイトハンデ(サクセスウエイト)制を採っていて、LMcorsaが参戦しているGT300の場合は1ポイントを獲得するごとに3kgのウエイトを搭載する必要がある。2戦目から6戦目までは1ポイント×3kgなのだが、今回の第7戦はポイント×1.5kg、そして最終戦はノーウエイトでの戦いとなる。LMcorsaは29ポイントを獲得しているので、SYNTIUM LMcorsa GR Supra GTに44kgのウエイトを積んで第7戦に挑んでいる。
11月に入りツインリンクもてぎの周辺の山々も紅葉が始まっていて、肌寒いなかでの戦いが予想されていた。しかし、予選日となった11月6日は午前中から強い日差しがサーキットに照り付けていて、冷たい風が吹くものの気温は高めで季節外れの気候となった。
公式練習は9時25分から11時20分までの予定となっていて、最後の20分はGT300とGT500がそれぞれクラスごとに走行する専有の時間となっていた。まずは吉本大樹選手がSYNTIUM LMcorsa GR Supra GTに乗り込んで持ち込まれたマシンの状況を確認する。
続けて予選や決勝レースで使用するタイヤをチェック。22周を走行すると今度は河野駿佑選手がSYNTIUM LMcorsa GR Supra GTのステアリングを握る。決勝レースを想定した走行テストを行ない、専有走行時には予選を想定したシミュレーションを実施して公式練習を終えた。ベストタイムは吉本選手が記録した1分47秒556で、結果はGT300クラスの28台中22位となった。
公式練習は想定以上にタイヤのグリップ感が乏しく、上位を争うには厳しい状態だった。この状況を踏まえてチームは大幅にセットアップを変更して予選に挑んだ。
気象データ
気温:13度、路面温度:22度(公式練習開始時)
気温:18度、路面温度:29度(予選Q1時)
予選
公式練習後には20分間のFCY(フルコースイエロー)トレーニングがあり、予選は14時20分から始まった。GT300クラスの予選Q1は、28台のマシンが2組に分けられて戦うことになる。LMcorsaはB組に振り分けられていて、14台中8台が予選Q2へ進出できる。
予選Q1を担当したのは河野選手で、アウトラップから3周にわたってウォームアップすると計測3周目にアタックを開始。公式練習から別のマシンになったような感覚だったというように、セクター1では全体ベストタイムをマークしアタック1周目に1分46秒457をマーク。セクター2でタイムロスがあったということで翌周もアタックを行って1分46秒308にタイムアップし、3番手のタイムで予選Q1を突破した。
GT500の予選Q1を挟んでGT300の予選Q2が実施された。SYNTIUM LMcorsa GR Supra GTに乗り込んだ吉本選手は、予選Q1と同様にアウトラップから3周にわたってウォームアップを行う。計測3周目からアタックを開始するとその周は1分46秒461を記録し、続けてアタックした翌周は1分46秒375をマーク。さらにアタックを続けたが1分46秒492とベストタイムを更新することはできず、結果としてGT300クラスの6位となった。
公式練習の終了後から予選までわずかな時間しかなかったが、最後までマシンの調整を続けてコースコンディションに合わせ込むことに成功した。明日の決勝レースは6番手からチーム一丸で表彰台圏内を目指して戦う。
■コメント
飯田章監督
「公式練習では両ドライバーともにコンディションとマッチしていないというコメントがあり、ツインリンクもてぎに合ったセットアップを探っていきました。予選に向けても調整を繰り返し、予選Q1は河野選手に担当してもらいました。公式練習より少し路面温度が上がったことやセットアップがマッチしたことでグリップ感が向上したようです。予選Q1、Q2ともにドライバーが最大限のパフォーマンスを発揮してくれたため明日の決勝レースは6番手からのスタートとなります。少しでもポジションを上げて多くのポイントを持ち帰りたいです」
吉本大樹選手
「公式練習は、とにかくタイヤのグリップ不足に悩まされました。セットを変更すれば向上するという状況ではなかったので予選に向けて不安でしたが、公式練習後のFCYトレーニングで少し方向性が見えてきました。予選Q1は河野選手が担当し、公式練習とは打って変わってグリップ感が増したようです。私が担当した予選Q2はダウンヒルストレート後の90度コーナーが曲がりにくかったのですが、それ以外は安定したマシンでした。セクターベストを繋げれば4番手になっていたので悔しさは残りますが、予選日の終わり方としては非常に良かったと思います。明日の決勝レースは序盤が肝心だと思うので、ミスなく上位を狙います」
河野駿佑選手
「公式練習では7月の第3戦よりもタイムは良かったのですが、全体的にグリップ感が薄く同じマシンに乗っているような感覚はなかったです。公式練習を通してセットアップを探りFCYテストでも変更した状態で走りました。状況は徐々に改善していき予選に向けてさらに調整を加えました。すると予選Q1では公式練習では感じられなかったグリップ力が発生していて、好タイムを記録して予選Q2へ進出できました。公式練習の状況を考えると決勝レースを6番手からスタートできることはかなりポジティブですし、チーム一丸で困難な状況から進めたと思っています。明日の決勝レースは戦略も幅もありそうで楽しみです」