当初の長期予報では日曜日の天気はやや崩れ気味とされたが、実際に当日を迎えてみると、コンディションは土曜日までとほとんど変わらず、秋晴れの好天に恵まれた。晴れていないのは、チームの気分だけといったところか……。それでも、やれるだけのことはやって、今後に結びつけようという気概も、そこには存在していた。決勝前のウォームアップは少しも余すことなく活用され、前半を担当した嵯峨選手は1分50秒548を、後半の中山選手も1分51秒279を終了間際に記録する。それでも23番手という……。
スタート担当の嵯峨選手は、それでもオープニングラップのうちに1台をかわして意地を見せるも、それが精いっぱいでもあった。順位を上げたのは、トラブルを抱えて交代した車両があった時のみ。自力でのパスが許されぬまま、淡々と周回が重ねられていく。ドライバー交代可能な19周目、早々にピットへ戻った『#31 TOYOTA GR SPORT PRIUS PHV apr GT』は、苦肉の策であるタイヤ無交換で中山選手をコースに送り出す。
ピットでロスを抱え、中山選手の後ろでコースに戻った車両も現れはしたが、相手はフレッシュタイヤでこちらはスタートから同じタイヤ、抗う術さえないまま無抵抗で脇をすり抜けられるのが、どれだけ悔しい思いだったかは想像にあまりある。
トラブルやペナルティを受けた車両もいたため、最下位でこそなかったものの、22位は前回の優勝を思えば、想像外とも言える結果である。残り一戦も、このままであれば苦戦は必至である。だが、意地の完走を今回果たしたように、最後までベストは尽くす、それだけはお約束したい。
■決勝後コメント
嵯峨宏紀選手
「コメントしようがありません。消化試合とは言いたくないですが、何もできないレースでした。この性能調整に、どういう意味があったのか具体的に教えて欲しいです。環境問題に長年取り組んできたハイブリッド車両を除外させたい考えがあるのならばそう言ってほしい」
「普通の速さ以上は求めませんが、できる限りのことをやって、この結果でしたから。このままで富士だと、きっとまた同じ結果だと思いますが、必死に頑張る。それしか言いようないです、すいません。ご期待にまったく応えられなくて……」
中山友貴選手
「やれることは、すべてやりました。応援くださっている皆様、すみませんでした。なすすべ無し、その一言では終わらせないように最終戦も出来る限り全力尽くします」
金曽裕人監督
「ノーコメントと言いたいところですが、そうはいきませんね。やれるだけのことは本気でやりました。ブリヂストンタイヤも耐久性に優れ作戦も無交換をトライし、ドライバーも必死で走ってくれましたけど、そんなレベルじゃなかった。ファンの皆様と応援してくれる企業の皆様に、申し訳ない気持ちでいっぱいです。本当のスポーツを望む限りです」
