そしたら次の周、56号車が卓ちゃんの前に出てきたんですよね。これには「???」でした。ピット作業前は20秒くらいの差をつけていましたし、最初は給油時間に大きな差があったのか、あるいは向こうに何かミスでもあって周回おくれになっているのかと思ってしまったくらいです。

 ところが「56号車はタイヤ無交換だ」という情報が入り、愕然としました。他のライバル勢はやるとは思っていましたが、まさかGT-Rが無交換をやってくるなんてまったく思っていなかったので、本当にビックリでした。

 56号車の後ろに卓ちゃん、その後ろに88号車の小暮(卓史)さんという3台ワンパックになり、接近戦が続きました。56号車は無交換だし、88号車はフロントタイヤを替えていないので、こっちが有利かなと思っていたのですが……。

 卓ちゃんのV字でのスピンを見たときは、最初は「なんで?」と思いました。僕はSUBARU On-Tubeで車載映像を見ていたのですが、GT500が追い抜きざまに内側に行きすぎて、マシンが跳ねていたように見えたので、最初は跳ねたGT500に詰まった際に後ろから当てられたのかと思ったのですが、外からの映像を見ると完全に単独だったので、何かしらのミスだったのかな、と。もちろん、前にも後ろにも順位を争うクルマがいましたから、結構な緊迫感はあったのだと思います。

 これで4番手から順位を下げ、6位でフィニッシュ。降りてきた卓ちゃんは平謝りでした。何が起きたのかは、卓ちゃん本人が一番良く分かっていると思います。

 起きたことは良くないことですが、それをどういう風にポジティブに持っていくかは、自分たち次第だと思います。気持ちを強くするための糧にしなければいけませんし、僕自身もより気を引き締めなければいけない状況になりました。

 最終戦の富士はストレートの速い56号車も55号車も得意にしていると思うので、もう本当にシンプルに、勝つしかない。気持ちを強く持って、頑張りたいと思います!

2021スーパーGT第7戦もてぎ SUBARU BRZ R&D SPORT(井口卓人/山内英輝)
2021スーパーGT第7戦もてぎ SUBARU BRZ R&D SPORT(井口卓人/山内英輝)

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 さて、次回・最終戦後は卓ちゃん担当になりますので、僕はこれが最後のコラムになります。そんなわけで、今年僕に起きた一番大きな変化をご報告しようかと思います。

 ご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、今年4月、山内家には第一子が誕生しました!

 僕は翌日から入っていたプローバさんのお仕事のため、その日に移動しなければならなかったのですが、早朝、里帰り出産に備えて名古屋にいる妻から電話があり「これから出産になる」と。すぐプローバの吉田(寿博)さんに連絡し事情を説明すると、ありがたいことに「行って来い」と快諾していただいたので、名古屋に向かいました。

 おかげさまで15時前、無事に我が子が生まれる瞬間に立ち会うことができました。もう、「すごかった」という言葉しか出てきません。普段、決して弱音を吐かない妻が、珍しく本当に辛そうでしたので……。

 娘はもう、可愛くて可愛くて仕方がないですね! おむつを替えたりお風呂に入れたりと子育て奮闘中ですが、目が合うと笑ってくれるので、それだけでもう幸せなんです。一緒に寝ていると僕の顔をガンガン蹴ってくるんですけど、それすら幸せです(笑)。

 娘のサーキットデビューはまだですが、最終戦は家族のためにも、いい結果で終わりたいと思っています。富士はシビれるレースになりそうですが、精一杯頑張りますので熱い応援をよろしくお願いします!

本日のレースクイーン

池永百合いけながゆり
2025年 / スーパーGT
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