レーススタート時の路面温度は30度。サッシャが好スタートを決めてスルスルとポジションを上げて行き、これは表彰台も狙えるのか! なんてちょいと欲張って見ていた矢先、GT300との接触がありドライブスルーペナルティ。相手には大変申し訳なく、そして37号車はチャンピオン争いから脱落してしまいました。
サッシャは長い間入国がかなわず、これが2レース目。スピード感は即戦力ではあるものの、スーパーGTを戦い抜くのは簡単ではないということなのだと思います。そして、レースとは大変非情なもので、「うしし」 とか「よっしゃ」 なんて少しでも心に余裕を見せたら最後、今回も天は許してはくれませんでした。

一方、36号車は1号車STANLEY NSX-GTとのポイント差を縮める必要があります。
ここ数戦ではピットストップの後、1号車のギャップアップにやられっぱなしでしたから、今回こそは1号車に合わせた最低周回数でのピットインを遂行する必要があります。(関口)雄飛の超絶燃費大作戦に磨きをかけるべくミーティングを繰り返して来たことが功を奏し、1号車と同時に最低周回数でピットへ呼び込みました。そしてミスなくコースへ送り出すと、逆転に成功します。
ピットインを前に、前走の23号車MOTUL AUTECH GT-Rや1号車とは10秒ほどのギャップがありました。その差を燃費戦略だけで詰められるはずはなく、そもそも論として10秒のギャップは燃費走行でタイムロスした分なのか、ソフトコンパウンドが厳しくてペースが上がらなかったからなのか、はたまた実際に相手に対してどの程度給油時間を短縮できたのか、数字で追いかける必要があります。

■4週連続レースの過密日程を終えて……
さて、SFもてぎ→GTオートポリス→SF鈴鹿→GTもてぎと、ここまで4週連続のレースでした。
こうした生活には慣れているとはいえ、レースを戦っていると体力面だけではなく、諸々のダメージが蓄積されてゆくものです。レースチーム、メンテチーム、設営グループなどのように分業化されていれば、過密日程でも問題はないのかもしれません。
しかし、日本のレースの現場はそのような構造にはなっておらず、それこそ経費がかさみチーム自体が倒れてしまうことになりかねません。レースが好きで情熱を注ぎ続け、ある日ふと我に返ると先が見えなくなり絶望する。そして去ってゆく仲間を、何人も見てきました。はたしてこのような環境のままで、日本レース界の将来を持続可能にできるのだろうか……。
興業的な面だけではなく、本来レースに備わっている力や機動力といったものを、どのように活用すべきなのか。たとえば今季スーパー耐久に参戦した水素カローラでは、社会インフラをも巻き込むような壮大な取り組み方があることを示して下さりました。これは私たちのSDGsのひとつなのだと思います。
カタい。話がカタすぎるついでに、もう少しだけレースチームのことなど。