更新日: 2021.12.02 19:28
#30 TOYOTA GR SPORTS PRIUS PHV apr GT 2021スーパーGT第8戦富士 レースレポート
2021 AUTOBACS SUPER GT ROUND 8
開催地:富士スピードウェイ(静岡県)/4.563km
11月27日(予選)天候:晴れコースコンディション:ドライ 観客数:2万3200人
11月28日(決勝)天候:晴れコースコンディション:ドライ 観客数:3万5300人
プリウス30号車のラストレースを16位でゴール。Aシード権の獲得に成功する!
今年もスーパーGTにaprは2台体制で挑み、#30 TOYOTA GR SPORT PRIUS PHV apr GTをドライブするのは永井宏明選手と織戸学選手。タイヤは信頼のヨコハマが使用される。全8戦で争われるシリーズも、これが最終戦。第8戦『FUJIMAKI GROUP FUJI GT300km RACE』はサクセスウエイトをすべての車両が、一切積まずに済むレースである。そして富士スピードウェイはチームのホームコース。シーズンをすっきり終えるためのお膳立ては整えられていた。
公式練習:11月27日(土)9:00〜10:35
泣いても笑っても、これがスーパーGTの今シーズンのラストレース。そして30号車は来シーズンから新型車両に改められるため、#30 TOYOTA GR SPORT PRIUS PHV apr GTとしてもラストレースとあって、何としても笑って終わる必要もあった。走り出しとなる土曜日の公式練習は天候にも恵まれ、肌寒さは感じさせるも、澄んだ空気はこの後の予選でレコードラッシュの予感十分。
今回も織戸選手から走行を開始し、いつも以上に入念なウォームアップが行われた後、本格的にコースを攻めていく。予選モードの持ち込みセットが完璧に決まっていたのは、セッションベストとなる1分36秒412が、計測6周目にマークされたことからも明らかだ。そこで早々に永井選手にスイッチ。永井選手も1分37秒432をマークして状態を確認、2回目のピット以降は、決勝モードのセットに切り替えられる。そして1時間ほど経過したところで、再び織戸選手が乗り込んで、最後の専有走行では永井選手が再度ドライブと、熱の入れようは普段以上。公式練習は13番手で終え、予選、決勝に向けて確実な手応えを得ることとなった。
公式予選Q1:11月27日(土)14:48〜14:58
公式予選Q1で#30 TOYOTA GR SPORT PRIUS PHV apr GTはB組での走行に。担当するのは織戸選手。ここまでの7戦中5戦でQ1突破しているだけに、今回も期待は大いに込められた。ただ、気温こそ1度上がって10度になったものの、路面温度は13度と公式練習のときと一緒。そこでウォームアップはより入念に行われることとなっていた。がしかしアウトラップの1コーナー立ち上がりで、織戸選手が痛恨のスピン! らしからぬ光景にトラブル発生が心配されたが、実際にはそうではなく……。
また、タイヤにダメージを負うこともなかったことで、計測3周目から予定どおりアタックが開始される。ワンチャンスにすべてを賭けた織戸選手は、渾身の走りで1分35秒467をマーク。その時点での2番手につけたことでQ1突破を確信して、早々にピットに戻ってくる。その後2台の先行を許すも、5番手を獲得。3戦連続でQ2に控える永井選手にバトンを渡すこととなった。
公式予選Q2:11月27日(土)15:23〜15:33
どうやらQ2はより冷たい風が吹くようになって、気温も路面温度も下げていたようだ。 そして、そのコンディション変化は諸刃の剣。エンジンを回し、タイヤがしっかり発動すれば、レコードタイム更新に最も適した状況になるが、発動しきれなかったら……。そのトラップに永井選手は、はまってしまう。織戸選手同様、計測3周目からアタックを開始した永井選手だったが、コカ・コーラコーナーで痛恨のスピン。レーシングスピードで走ることを許されぬまま、ウォームアップ中の1分45秒986でQ2終了となってしまったのだ。それでも決勝は16番手、8列目からスタートするのだから、ポイント圏まで後わずか。この悔しさはレースで晴らしていただこう。
永井宏明選手
「1LAPに集中し入念に熱を入れていったのですが、思いのほか、グリップが出ておらずAコーナー(コカ・コーラコーナー)でスピンしてしまいました。路面温度が思ったよりも低過ぎて合わせ切れなかったです。非常に残念な予選になりましたがプリウスPHVのラストレースとなる決勝、頑張ります!予選のミスを挽回しリベンジします!」
織戸学選手
「アウトラップは、ちょっと油断しました。冷えた路面に足元をすくわれてしまいました。でも、その後のアタックには影響なく、計測3周目からアタックして5番手タイムでQ1通ることができ、いい感じで走れました。明日の決勝は、全力を尽くすのみ!」
金曽裕人監督
「Q1で織戸選手が今回も『さすが!』って走りを見せてくれたのですが、永井選手はまだタイヤが温まっていない状態でアタックしたので、時間切れで終わってしまいました。とはいえ、公式練習では永井選手も速いタイムで乗れていたので、決勝は上がってくるはずですからそんなに気にしていません。まぁ、温度が想定以上に低過ぎて、いろんな車両が飛び出していましたから。明日、想定外に寒くなければ、決勝は期待していてください!」
決勝レース(66周):11月28日(日)13:00〜
日曜日の富士スピードウェイも快晴。そして何より気分を高揚させてくれたのは、規制緩和によりスタンドには今年これまでのレースより、多くの観客がいてくれたことだ。応援してくれるファンあってのモータースポーツ、一層気を引き締めて今シーズン最後の戦いに臨むことになった。決勝レース前に行われたウォームアップには、今回久々にスタートを担当する永井選手から走り始め1分37秒434をマークして14番手に。折り返しの10分目からは織戸選手がドライブして準備は万全。
まずはポジションキープから#30 TOYOTA GR SPORT PRIUS PHV apr GTは決勝レースを開始、永井選手はまわりをしっかり見ながら、周回を重ねていく。6周目のダンロップコーナーでアクシデントが発生したことから、7周目から11周目にかけてセーフティカーが導入される。リスタート後の順位変動はなかったものの、14周目のダンロップコーナーでまたも接触が、これをうまくかわしたことで永井選手は14番手に上昇、さらに17周目には先行車両の交代もあり、またひとつ順位を上げる。
そして20周目には予定どおり、織戸選手にスイッチ。今回、GT300クラスに限り、4輪交換が義務づけられていたため、無交換や2輪のみの交換はできなかったものの、スムーズな作業で#30 TOYOTA GR SPORT PRIUS PHV apr GTをコースに送り出す。だが、織戸選手のペースが思うように上がらない。レースはまだ2/3を残していたため、硬めのタイヤに交換していたのだが、予想以上に中盤以降の路面温度が下がっていたのが原因だ。
悪戦苦闘の様子は明らかながら、織戸選手はバトルを繰り返しながら、必死に周回を重ねていく。そして最終的には16位でフィニッシュ。決して満足のいく結果ではないが、チームランキングではしっかり3ポイント加算が許されたことでAシード権を得られる18位に。これがあるとないとでは、来たるシーズンに及ぼす影響が大きく異なるため、シーズンを通じた永井選手と織戸選手、まさにグッドジョブを果たしたことになる。これで2021シーズンは終了。そして前述のとおり30号車は、2022シーズンから新型車両を投入することとなっている。引き続きの活躍をご期待いただきたい。
永井宏明選手
「スタートを担当して、ショートのスティントで走ったんですけど、僕のところは一応の仕事ができたかな、織戸選手のときは路面温度が下がったことで、タイヤが苦しかったようですけど、なんとか走り抜きました。最終戦を完走してAシード権は確保できましたし、我々のプリウス最後のシーズンに、1年通してうまく進化させられたと思います」
織戸学選手
「ファーストスティントまで、永井さんのときは良かったんだけど、僕のとき、タイヤチョイスをミスってしまって。硬めのタイヤを選んで、全然ダメだった。オートポリスのときみたいにタイヤ自体が厳しくなるのを防ぐ対策で選んだんだけど、硬すぎて、まったくグリップしなかった。それでも来年に向けて、いい方向で終われたのは良かった。来年は新車に代わりますし、来年は心機一転し頑張ります」
金曽裕人監督
「路面温度が下がり過ぎて、織戸選手時にパフォーマンスを発揮できませんでしたが、GT300クラスのAシード権、これだけは絶対に死守しようとレース前に話をしていて、なんとか確保できて良かったです。レース展開としては、永井選手のペースが非常に良かったのでもっと引っ張っても良かったかな、と今は思っています。まさかセカンドスティントに織戸選手が選んだタイヤが、想定以上に温度が低くなった路面との相性が悪いとは思わず。それがなければ、もっと上に行けていたかもしれません。来年、チームがもっと噛み合えば、上に行けると思います。プリウスPHV30号車のラストランで、それに相応しいレースになって、ポイント獲れればなお良かったけど、きれいなきれいなレースができました。来期投入の新型車両にも、ご期待ください!」