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投稿日: 2021.12.02 14:35
更新日: 2021.12.02 19:29

#31 TOYOTA GR SPORTS PRIUS PHV apr GT 2021スーパーGT第8戦富士 レースレポート


スーパーGT | #31 TOYOTA GR SPORTS PRIUS PHV apr GT 2021スーパーGT第8戦富士 レースレポート

2021ラストレースを14位で完走。現状が新たなシーズンの糧になることを信じて

 全8戦で競われる、国内最高峰レースのスーパーGTに、aprはTOYOTA GR SPORT PRIUS PHV(ZVW52)の2台体制で挑み、#31 TOYOTA GR SPORT PRIUS PHV apr GTを3年目のコンビとなる、嵯峨宏紀選手と中山友貴選手に託す。タイヤは信頼と実績のブリヂストンを使用する。泣いても笑っても、これが最終戦。もっとも、BoPが大苦戦を強いられた前回のもてぎ大会と同じとあっては、笑って終えられそうもないが……。それでもサクセスウエイトを積まずに臨む、ホームコースの富士スピードウェイでの戦いである。できる手立てはすべて投入し、ベストを尽くす。

公式練習:11月27日(土)9:00〜10:35

 振り返りたくないツインリンクもてぎでの第7戦から、わずか3週間。オートポリスでの優勝から一転、苦境に陥った最大の理由であるBoPが一緒とあっては、どうあれ楽な戦いは許されそうもなかった。サクセスウエイトはすべて下ろせるとはいえ、その条件においては全車共通。だからと言って、いきなり白旗を上げるわけもなく、たとえ無駄な努力となろうとも、あの手この手を尽くすのがチームのポリシーでもある。

 今回も公式練習で最初に#31 TOYOTA GR SPORT PRIUS PHV apr GTに乗り込んだのは中山選手。上空には青空が広がっているものの、もう11月も下旬。しかも9時からのスタートとあって、開始時の気温は9度、路面温度も13度と、今シーズンいちばんの冷え込みとなっていた。当然、ウォームアップを普段以上に入念に行ってから、本格的な走行に突入する。

 最初のピットストップ前に1分37秒692をマークした中山選手は、2回目のピットストップ後に1分37秒403を記し、これを公式練習のベストタイムに。以降は決勝セットが詰められていった。そのまま中山選手が走行し続けて、続いて行われたFCYテストでも。嵯峨選手は1周も走らなかったが、それは中山選手、そしてチームに寄せる信頼が高いがゆえ。なお、公式練習はひとつも時間を余すことなく走った結果24番手で終えることとなった。

公式予選Q1:11月27日(土)14:48〜14:58

 公式予選のQ1に#31 TOYOTA GR SPORT PRIUS PHV apr GTはB組での走行となり、中山選手が走行を担当した。温度こそ公式練習より1度上がって10度となったものの、路面温度は13度のまま。そのため、ウォームアップは公式練習同様、極めて入念に行われて、計測4周目から中山選手はアタックを開始した。

 その甲斐あって、タイヤはしっかり発動して、まずは1分36秒269を記録し、続けてのアタックでも1分36秒194にまで短縮を果たすも、トップは1分34秒台にまで到達しており、実に1秒4もの開きが……。ベストは尽くした中山選手ではあったが、11番手に留まり、Q2進出は果たせずに終わった。

嵯峨宏紀選手

「もてぎの状況から引き続いて芳しくなくて、中山選手にずっと走ってもらった方が、少しでも良くなるのでは、と思っていたんですけれども。BoPの影響は非常に大きいなという感じはします。Q1も通りませんでしたし……。最後ぐらい良い感じで終わりたかったけど、厳しいかな。とはいえ、レースに出ている以上、グリッドに並べる以上、諦めるわけにはいかないので、明日に向けて、少しでもいい状況を作れればいいなと思っています」

中山友貴選手

「やれるだけやったんですけれど、タイム的にQ1突破には足りませんでした。ただ、公式練習からは少しは進歩し、あと少しのところまで来られたんですけど、まぁ、3年も乗ればわかることで、これ以上は性能調整にはかなわないです……。ライバルと戦えるような、性能調整をしてもらえるとありがたいと思います。仕方ない部分ではありますけど、もう少し戦えるといいですね。諦めずに決勝を戦って、1点でもポイントを獲って帰りたいと思っています」

金曽裕人監督

「オートポリスが終わってからいろんなことがあって、ハイブリッドに対する整合性が、性能調整で取れていません。それでも最終戦ですから、もちろん全力を尽くし1点でも獲ります。まぁ、何も打つ手がないわけではないですが、そもそもセクター1でどうしても詰められない差が生じることで、我々が陥っている苦境が、あからさまになったのではないでしょうか? いろんな憤りとか、つじつまの合わないことが、完全にデータ上では検証できたので、こういう形になっている事を理解いただきたいです。そうは言っても明日に向けて、やることはやっていきます」

決勝レース(66周):11月28日(日)13:00〜

 決勝レース前に行われたウォームアップも、中山選手から走行を開始。当初の予定では、すぐ嵯峨選手に交代するはずだったが、ブレーキラインにフルードのにじみを発見し修復したので、結局、嵯峨選手はここまで1周も乗れずじまい。中山選手もレーシングスピードでの走行を許されなかったが、決勝レース中にトラブルが生じなかったのは、不幸中の幸いだったと思わざるを得まい。13時からのスタートということもあって、気温こそ12度だが、路面温度は公式練習や予選とは異なり、23度まで一気に上昇。このコンディション変化は#31 TOYOTA GR SPORT PRIUS PHV apr GTにとって、プラスに作用してくれそうだ。

 2周のフォーメイションラップの後、いよいよレースが開始。21番手からスタートした中山選手は、オープニングラップのうちに2ポジションアップ。2周目に先行する車両のペナルティによるドライビングスルーがあって、もうひとつポジションを上げるも、ストレートの長い富士で今の状態では、背後に着かれてはもはや抗う術もなし。3周目には2台に相次いで抜かれて20番手に。そんななか、6周目のダンロップコーナーでアクシデントが発生。1台が大きく順位を落とし、1台がストップ。セーフティカーによる先導が4周にわたって行われる。

 前との間隔が詰まっただけに、リスタートで1台でもかわしたいところだが、それもままならず。 後続の接近は許さなかったものの、しばらく18番手での周回が重ねられていく。20周目を過ぎたあたりからドライバー交代が次々と行われていき、徐々にポジションを上げていく#31 TOYOTA GR SPORT PRIUS PHV apr GT。このタイミングでアクシデントが発生し、FCY(フルコースイエロー)が出される直前にピットに入れれば……という淡い期待もあった。

 しかし、そう都合よく事は運ばず、3番手にまで上がった30周目に予定どおりピットイン。今回は、タイヤ4本交換が義務づけられていたため、奇襲をかけることなく嵯峨選手をコースに送り出す。結果、19番手でレースを折り返すことに。嵯峨選手は淡々と周回を重ね、トラブルやペナルティで順位を落とした車両が現れない限り、変動のないレースではあったが、それでも14位でゴール。トップから1周遅れではあったが、チームランキングでは3ポイントを加えたことで15位を獲得し来シーズンのAシード権は確保。ドライバーランキングでは13位でシーズンを終えシーズンを通じた最低限の目標は達成できた。

嵯峨宏紀選手

「ウォームアップも含めて決勝レース前は1周もせず、いきなりレースになりましたが、逆に先入観なく、淡々と走ることができたので、自分の仕事はしっかりできたと思います。今年最後のレースだったので、ポイント獲りたかったんですが、トラブル車両によって自然にポジション自体は上げることができました。現状でのベストレースはできたと思うけど誰ともバトルできておらず……やっぱり今年初めからと、途中でさらに絞られたBoPの影響は大きくて、どうしてもこういった戦い方しかできませんでした。来年に向けて状況が良くなることを信じて、このオフを過ごしていきたいと思います。一年間、ご声援有難うございました!」

中山友貴選手

「まずは完走できて良かったです。スタートからしっかり順位を上げて、終われたので、やれることはやったと思います。ベストは尽くしました。来年に向けてクルマを良くしてBOPも理解頂いて唯一のハイブリッドレーシングカーが元気に走るところをお見せできればと思います。ハイブリッドレーシングカーにとっては厳しい環境の中の一年間でした。1年間ご声援ありがとうございました!」

金曽裕人監督

「全力を尽くして最終戦を恥ずかしくないように、作戦もドライバーも、しっかりとしたレースが最後もできたと思っています。結果がどうしても着いて来ないのは悔しいのですが、1年間のみなさんの支援、応援を感謝しています。今年一度きりの入賞が、5年ぶりのハイブリッド車の優勝という普通ではあり得ないことが起きました。チーム力はしっかりありますし、あとはいろんなバランスが取れればと思います。もちろん、未来のためにはハイブリッドレーシングカーのプリウスは、レース界に於いても絶対必要だと思っています。来年もプリウスで挑戦、ハイブリッドで挑戦しますので楽しみにしていてください」

2021スーパーGT第8戦富士 TOYOTA GR SPORT PRIUS PHV apr GT(嵯峨宏紀/中山友貴)
2021スーパーGT第8戦富士 TOYOTA GR SPORT PRIUS PHV apr GT(嵯峨宏紀/中山友貴)


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