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投稿日: 2021.12.07 16:36
更新日: 2021.12.07 18:44

LDFセットが決まり、ライバルへプレッシャーをかけた富士。グリッドで確信した優勝【トムス東條のB型マインド/最終回】


スーパーGT | LDFセットが決まり、ライバルへプレッシャーをかけた富士。グリッドで確信した優勝【トムス東條のB型マインド/最終回】

 さて、2021年シーズンが終了しました。開幕戦まではたっぷり4カ月もの時間がありますが、休んでばかりもいられません。なぜならば、来季に向けた開発テストやタイヤテストが控えておりまして、カレンダーはすでに塗りつぶされています。メカニックの皆さんは今週休んだら一気にオフシーズン向けのメンテナンスや機材の製作に入ることになります。

 B型エンジニアのコラムですから、オフシーズンにレースエンジニアたちが何をやっているのかについて、少し書いてみようと思います。

1:シーズンの振り返り
2:各種データの整理やレポート類の作成
3:シーズン中にやりきれなかったさまざまなことの取捨選択
4:3の実現へ向けてプラン作成と具体的な準備
5:オフシーズンテストの計画と実行
6:自習いろいろ

 と、ものすごく簡単に書くとこんな感じでしょうか。いたって普通ですよね。仕事量は自分の裁量で調整するよう促します。

 私はというと、トムスの若手エンジニアのサポートのほかに、会社としての各種業務があったりしますが、レースのほうで言うとTRDの開発テストメンバーとして、LC500の開発期間から毎年参加させていただいております。LC500の時にはトラックエンジニアとして、マレーシアのセパンテストや国内テストの現場を仕切っておりました。

年末と年明け、2回に行なわれることが通例となっている、オフシーズンのマレーシア・セパンでのテスト
コロナ禍以前は、年末と年明け、2回に行なわれることが通例となっていたマレーシア・セパンでのテスト

 GRスープラの開発テストでは、TRDの中でも自前のトラックエンジニアを育てないといけないよね! 的ないたって真っ当な考えもあり、そのサポート役にあたっております。学はないけれど経験だけは豊富なものですので、「敵に回すとうるさいからひとまず味方に入れておけ」ということなのだと思っています。レースの現場では会わないような各方面のプロフェッショナルの皆さんとお仕事ができるので、よい刺激となっています。

 開発テストでは、立川祐路選手と石浦宏明選手、そして平川選手がドライブします。立川選手と石浦選手はともにセルモチームの所属。そう、レースではライバルになります。そして、GRスープラチームのエンジニアの皆さんがピット裏に控えている中での開発テストですから、間違ったことや曖昧なことはできません。

 そして一番大切にしている事は、隠しごとをしないこと。本当にレースでやるような些細なことまで、オープンにしています。立川選手と最初に仕事にあたる際、開幕戦までは隠しごとなく全体の底上げをしましょう。開幕したら真剣勝負! ということを話した記憶があります。

 オフシーズンにはアジアン・ル・マン・シリーズやマカオグランプリなど、海外のレースがありまして、こちらのサポートに出かけたりすることもあります。

 トムスの台湾エージェントと古いお付き合いがありまして、そのときによってBMWだったりポルシェだったりするのですが、最新のGT3車両を使ってユーロのトップドライバーたちとお仕事ができる幸せを感じます。

 しかし、岡山テスト→羽田→セパンテスト→成田朝着→成田で洗濯とお風呂とお参り→夜便でセパンへ戻る→アジアン・ル・マン→御殿場1泊→鈴鹿テスト、のようなスケジュールになってしまうこともあり、まあまあ疲れますが、アジアは暑くてビールがおいしい! ですから良しとしましょう。

 そんなオフシーズンの過ごし方も悪くないと思っています。レースうまくなるし……。

1年間ご愛読ありがとうございました!
1年間ご愛読ありがとうございました!


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