更新日: 2022.08.25 11:17
Max Racing 2022スーパーGT第4戦富士 レースレポート
Max Racing
レース結果報告書
2022 SUPER GT Rd.4 富士スピードウェイ
日時:2022年8月6~7日
車両名:HACHI-ICHI GR supra GT
場所:富士スピードウェイ
ゼッケン:244
監督:田中哲也
ドライバー:佐藤公哉/三宅淳詞
チーム:MaxRacing
リザルト:予選13位/決勝DNF
ポジションアップを目指してスタートするが
直後の追突で万事休す
およそ2カ月のサマーブレイクを経て迎える2022年スーパーGT第4戦。場所は第2戦と同じ富士スピードウェイです。Max Racingでは、前回の鈴鹿で他車の追突を受けて車両に大きなダメージを負ったこともあり、この2カ月あまりの時間をしっかり修復時間として捉え、準備を進めてきました。また、今大会は真夏の長距離レースでもあるため、タフなコンディションでもしっかりとパフォーマンスを見せることで、シーズン中盤戦の戦いに弾みをつけようと考えました。
ところが、サーキットに入ると曇天模様の天候が続き、気温も低く、夏とは思えないほどの涼しさ。すぐさまこのコンディションに見合ったクルマを用意すべく尽力し、No.244 HACHI ICHI GR Supra GTは予選13位からスタートを切りました。展開次第でどのような戦略が採れるのか楽しみを持って臨んだのですが、事もあろうにオープニングラップで後続車に追突され、その勢いで別の車両と接触。そのダメージは予想以上に大きく、あえなく戦線離脱というまさかの悔しい結果に終わりました。
=====
8月6日、午前9時に公式練習がスタート。前夜に降った雨の影響で、セッション開始前にはウエット宣言が出ました。まず、三宅淳詞がレインタイヤでコースをチェック、30分もするとあちこちにドライパッチが見え始め、スリックタイヤでの走行が可能になりました。午前10時前、三宅は最終的にセッションのベストタイムとなる1分38秒389 をマークする走りを見せ、佐藤公哉へとスイッチ。しばしピットでセッティングの調整を行った後、佐藤は引き続きGT300クラスの専有走行時もステアリングを握り、セット確認や午後からの予選に向けてのシミュレーションを行いました。
公式練習で17番手のタイムをマークしたNo.244 HACHI ICHI GR Supra GT。ノックアウト予選では、まずQ1各組の上位8台に入らないとQ2へ駒を進めることができません。チームではまず最初のアタックを三宅に託します。午後3時、気温21度、路面温度28度と予想以上に低温となったコンディションの下、三宅は1分37秒095のタイムをマーク、A組7番手でQ2進出に成功します。重要な役目を終えた三宅。
「富士はBoP的に厳しいのですが、公式練習からFCY訓練走行中に段々クルマが良くなり、手応えを得ていました。ただ、予想以上に路気温が下がり、持ち込んでいたタイヤの温度レンジから外れてしまって厳しかったです。でもそのなかでQ1を突破できてよかったと思います」とアタックを振り返りました。
Q1終了から45分後にスタートしたQ2。さらに路面温度が下がるなかでのアタックになります。Q1でも三宅が指摘していたように、タイヤの温度レンジが異なるため、佐藤もそのあたりを意識してコース上でしっかりとタイヤに熱を注入。アタックに挑むと、1分36秒997のベストタイムをマークして13番手のポジションを手に入れました。
「クルマは朝のセッション開始時点から悪くなかったです。前回、鈴鹿でアクシデントに遭い、クルマを直してもらったのですが、走り始めた時点で前と何ら変わりない状態に戻っていることが何よりよかったです。一方で、アタックでは予想外に気温が下がったので、タイヤの温度レンジから外れてしまったのが残念でした。これもあり、トップ10入りしたかったのですが思ったよりもタイムアップできませんでした」と、悔しさを見せました。
予選を見守っていた田中哲也監督は、「条件的にも富士は厳しく苦戦が予想された」と言います。また、今回はQ1、Q2と駒を進めたことを良しとして、決勝に向けてどういう戦いをしていくかが大事になるとも。
「僕たちは前回の鈴鹿で不運な事故(追突)に遭いました。2カ月の時間をフルに使って鈴鹿でもタイヤテストができたし、しっかり準備をして今大会に挑むことができています。ある意味、仕切り直しの一戦なので、大事に戦いたいですね」と長丁場のレースに向けて手応えを感じているようでした。
迎えた決勝日。前日より日差しが出るなど気温も上昇し、汗ばむ天気が戻ってきました。しかしながら正午を過ぎても気温は30度を超えることはなく、さらにはウォームアップ走行を終えた後から灰色の雲が広がり、スタート進行が行われているなかでとうとう雨が降り始めました。短時間とはいえAコーナーから100R周辺では激しい雨になったため、コースコンディションが変わってしまい、決戦に向けて不確定要素がひとつ増えたと言えます。
なお、今大会では静岡県警の白バイとパトカーによるパレードラップが3年ぶりに復活。パレードラップの後、全車フォーメーションラップに入りましたが、雨上がり直後のスタートということでさらに1周フォーメーションラップが追加され、代わってレースは100周から1周減算の99周にて実施されることになりました。
No.244 HACHI ICHI GR Supra GTのスタートドライバーを務めるのは、佐藤。コース上で大きなアクシデントやハプニングがなければ、第1スティントはショートで、あと2回のスティントは残り周回数を半分に分けるような戦略を立てていました。つまり、最初のルーティンではドライバー交代せず、給油のみ行って佐藤が連続走行する予定でした。そして、その佐藤が序盤からポジションアップを狙ってスタートを切ったのですが。路面がまだ乾き切っていないAコーナーで渋滞が発生、No.244 HACHI ICHI GR Supra GTは左斜め後方車両から追突を受けて体勢が崩れてしまいます。
修正はしたもののそこにアウト側から来た別の車両と接触。これで足回りを激しく損傷することとなり、万事休す。グラベルベッドに止まった No.244 HACHI ICHI GR Supra GTは戦線離脱を余儀なくされ、オープニングラップ序盤で戦いの幕を下ろすという、予想だにしない結末を迎えました。
接触によるダメージが続き、悔しさが膨らむばかりのMax Racing。「これもレース」と安易に言いたくもありません。一方で次戦の鈴鹿大会まで与えられた時間は僅かです。まずは前を向き、控える一戦に向けて気持ちを切り替えて準備を進めるのみです。鈴鹿はNo.244 HACHI ICHI GR Supra GTにとって相性の良いサーキット。ふたつの戦いで味わった悔しい思いをバネに、次戦は喜びのレースに変えられるよう、内容あるパフォーマンスをすべく前進して参ります!
■田中哲也監督
「オープニングラップではAコーナーのイン側はまだ濡れている状態でした。450km レースであり、スプリントレースではないので慌てる必要はなかったのですが、やってはいけない相手のミスでしたね。予選で前のポジションを獲れたらもっと安全にレースができるので、自分たちも引き続き努力していくしかありません。ただもう終わったことなので、チームのみんなで前を向いてしっかりやっていくだけですね。鈴鹿は昨シーズンで優勝した場所でもありますので、同じ思いで頑張りたいと思っています。“鈴鹿の夏”は我々のクルマに似合っているので、優勝していい流れを作っていきたいと思います」
■佐藤公哉
「レース直前に降った雨でコースの一部が濡れていたので、『気をつけて行こうな』と田中監督にもお声がけいただき、僕自身も注意を払って走っていたのですが、避けようのない事態になり言葉を失ってしまいました。まったくレースができず悔しいです。長いレースなので、まずはポジションキープからはじめ、タイヤをマネジメントしながら中盤、後半にチャンスを狙う戦いができればと思っていましたが、それが叶わず残念です。また、自走してピットに戻り、再スタートしたかったのですが、接触によってステアリングや足回りにダメージを受けたため、走行するのは危険と判断しました」
「今回の作戦としては最初にミニマムの周回数でピットインし、給油のみ行って、残り周回数を三宅選手と半分ずつ走るというものでした。決して楽な展開にはならなかったでしょうが、レースは荒れた展開だったのでポイント獲得の可能性もあったと思うので残念です。もうこれまでの間に十分不運を味わったので、相性のいい鈴鹿では、フリー走行から力を出して結果を残したいと思います」
■三宅淳詞
「土曜から日曜にかけて気温が上がったので、タイヤがどういう状況になるのかわからないなかでのレースとなりました。いろんな戦略を持って挑んだのですが、スタートであのような接触があり、チームとしての力を発揮する前に終わってしまいました。結果として、実力も出せず、クルマのパフォーマンスがどのようなものであったのかわからないままでした。次の鈴鹿はさらに暑くなるでしょうから、今回レースができていれば、それに向けてのデータも取れたと思うともったいなかったという気持ちもあります。タイミング、流れが悪かったということですね」
「現状、僕たちのクルマはウエイトを搭載していないにも関わらず、トップを取れないというのは、シンプルに速さが足りていない証拠でもあります。次の鈴鹿はBoP的にも相性がいいと思いますが、速さをもっと追求していく必要があるのは確かですね。鈴鹿戦に向けては、事前にタイヤテストもできたし、一方で上位陣はサクセスウエイトを積むことになるので、落ち着いていけば僕たちにもチャンスがあるのではないでしょうか。予選ではひとつでも前に出ることが大事。速さで勝てるようにしたいですね」