更新日: 2022.08.29 20:26
横浜ゴム 2022スーパーGT第5戦鈴鹿 決勝レポート
【スーパーGT第5戦/鈴鹿サーキット】
GT300クラスでグッドスマイル 初音ミク AMGが5年ぶりの優勝、
apr GR86 GTはチームの地元・鈴鹿で今季初表彰台を獲得!
鈴鹿のGTレースには、やはり夏が似合う。それも暑ければ、暑いほど……。スーパーGTの第5戦は鈴鹿サーキットを舞台に、もうすぐ9月だというのにレースウイークを通じて厳しい暑さのなかで開催された。前戦の富士に続いて今回も450kmレース、決勝中は2回の給油が義務づけられた。セオリーどおりではない戦術の妙が、それぞれ駆使されたことによって、予想以上の盛り上がりを見せる結果となった。
8月27日(土)の公式予選、GT300クラスのヨコハマタイヤユーザーは、気温31度、路面温度39度という条件がしっかりマッチして10台がQ1突破と絶好調。特にB組ではHACHI-ICHI GR Supra GTの佐藤公哉選手がトップで、2 組を通し最速タイムを記していた。Q2では、その佐藤選手からバトンを託された三宅淳詞選手が2番手ながらも、トップからはわずか0.05秒差。フロントロウからとあって、夏の鈴鹿2年連続優勝も夢ではない位置から決勝に挑むこととなった。
3番手はWeibo Primez ランボルギーニGT3の小暮卓史選手が、そして4番手はポイントリーダーでサクセスウエイトの上限100kgにまで達してなお、リアライズ日産メカニックチャレンジGT-Rの藤波清斗選手が獲得。さらにグッドスマイル 初音ミクAMGの片岡龍也選手も5番手につけ、決勝での上位独占を予感させた。
GT500クラスでは、今回もヨコハマタイヤとともに戦う2台が揃ってQ1を突破。WedsSport ADVAN GR Supraの阪口晴南選手が2番手、リアライズコーポレーションADVAN Zの佐々木大樹選手が6番手につけた。続くQ2ではWedsSport ADVAN GR Supraの4 戦連続ポールポジションこそかなわなかったが、国本雄資選手が4 番手を獲得。そしてリアライズコーポレーション ADVAN Zの平手晃平選手も6番手と、好位置を得ることとなった。
28日(日)の決勝レーススタート前の気温は28度、路面温度は39度と、予選とほとんど変わらなかったが、暑さの質は変わった感も。それまでは湿度が高かったのが、若干下がったのと、ようやく顔を出した太陽によってジリジリと路面を照らすようになったからだ。
今回、スタートを担当したのはWedsSport ADVAN GR Supraが国本選手で、リアライズコーポレーションADVAN Zは佐々木選手。ふたりともポジションキープからレースを開始し、その後ひとつずつ順位を落としはしたが、前から遅れることなく続いていき、やがてチャンスが訪れることを期待させた。ところが、そんな最中にリアライズコーポレーションADVAN Zにトラブルが発生。17周目に緊急ピットインが行われ、すぐに修復されてコースに戻ることができたが、これで最下位に後退してしまう。
一方、WedsSport ADVAN GR Supraは予定どおり28周目に、阪口選手に交代。いったんは順位を落とす格好となったが、ピットタイミングの違いもあって、その後徐々に順位を戻していき、4番手につけたところで、アクシデント発生によりセーフティカーが導入される。最後のピットストップをまだ終えていなかっただけに、これが致命的なロスに。阪口選手が2スティント連続で、なんとか挽回をと力走するも、7位でゴールと悔やまれる結果に終わる。そしてリアライズコーポレーションADVAN Zは徐々に順位を戻し、最後は10位でフィニッシュ。貴重なポイントを獲得することとなった。
GT300クラスで序盤の主役の座を担ったのが、HACHI-ICHI GR Supra GTの三宅選手だった。9周目からトップに躍り出て、その後は逃げ続けた。23周目に佐藤選手に交代。その直後にトップを走ったのは、ドライバー交代をギリギリまで遅らせていたArnage MC86の阪口良平選手だった。32周目まで引っ張り、脅威の高燃費をアピールした。
そして、その後にトップへと浮上したのがグッドスマイル 初音ミクAMGの片岡選手だ。こちらは逆に16周目と、比較的早めに最初のピットストップを行い、2スティント連続走行をトライ。視界が開けたことで、ハイペースでの周回も可能になっていたのが功を奏す。42周目に谷口信輝選手へバトンを託す。
それから2周後にアクシデントが発生する。序盤のトップだったHACHI-ICHI GR Supra GTが、佐藤選手のドライブ中に突然挙動が乱れ、130Rでクラッシュ。これでセーフティカーが導入されたのは前述のとおり。まだ最後のピットストップを済ませていない車両は、リスタート後に順位を落とすこととなり、その結果、谷口選手の前にいたのは、Arnage MC86の末廣武士選手だけに。だが、2戦連続入賞を果たすまでのマージンは作れず。60周目にピットに入った後は谷口選手が文句なしのトップに浮上。残り12周を難なく走り抜き、2017年の第1戦岡山以来、5年ぶりとなる優勝を、グッドスマイル 初音ミクAMGが飾ることとなった。
そして3位はapr GR86 GTの織戸学選手と平良響選手、上村優太選手が獲得。本来は永井宏明選手が第1ドライバーを務めるも、体調不良で参加できず、上村選手が急きょ代打で起用されていた。そのうえ、予選ではミッショントラブルに見舞われ、21番手に甘んじていた。だが、トラブルが解消されたことで3人のドライバーによる激しい追走劇が演じられ、ラストスティントを担当した平良選手が残り7周というところで、さらにポジションをアップ。ニューマシンで初めての表彰台を獲得した。
■国本雄資選手(WedsSport ADVAN GR Supra)
【今回の成績:GT500クラス7位】
「7位でレースを終えました。50周目のセーフティカーが、僕たちにとっては悪いタイミングで、そこでポジションを落としてしまったのが、非常に残念です。ただ、鈴鹿は僕たちにとって不得意なコースではあるものの、ここでいいパフォーマンスで走れたのは、すごく良かったと思います。夏の間のタイヤ開発がうまくいったことを証明できましたし、ヨコハマタイヤさんもエンジニアもみんな、すごく頑張ってくれていて、それが少しずつ結果に現れているので、すごく良かったな、嬉しいなと思っています。残りのレースは、ここから温度が下がっていって、また状況は変わると思うんですけど、今後も良いタイヤを作って、力強いレースができるように、また頑張ります」
■阪口晴南選手(WedsSport ADVAN GR Supra)
【今回の成績:GT500クラス7位】
「今回の7位は、非常に悔しい結果だったと思います。タイヤのパフォーマンス、クルマのパフォーマンスは得意としていない鈴鹿で高くて、トップ争いをしていてもおかしくないペースで走れていたので、セーフティカーですべてが水の泡になってしまって、悔しい結果になってしまいました。ここからSUGOに続きますけど、チャンスだと思っているので、今回の戦略面を見直して、力強いレースをして勝ちたいと思います」
■谷口信輝選手(グッドスマイル 初音ミクAMG)
【今回の成績:GT300クラス優勝】
「僕は最後のスティントを担当して、非常に片岡がいい走りでトップまで行ってくれて。交代してコースにチームが僕を送り出してくれたからには、絶対にトップを守り切ろうと思っていました。クルマもタイヤも絶好調で、変な罠にハマることなく、なんとかトップを保てました。安泰だと見えたかもしれませんが、前回のことがあるから余裕なんてなくて、とにかくゴールまで行きたいってことを祈りながら、タイヤマネジメントをしていました。正直、走る前まではどうせまた鈴鹿では厳しいだろうな、と思っていたんですが、練習走行を走ったら速いクルマはたくさんいたけど、我々のアベレージラップも悪くなさそうだったので、決勝で前の車を抜かすことができればチャンスはあるな、と。ただ、そう簡単ではないなとも思っていたので、それが嬉しい誤算になりました」
■片岡龍也選手(グッドスマイル 初音ミクAMG)
【今回の成績:GT300クラス優勝】
「僕は今回スタートを担当して、最初のピットにはほぼルーティンで入りました。ここではドライバー交代せずに、タイヤ交換と給油だけして。そこから前が開けてからは非常にいいペースで走れて、無交換で一瞬前に行ったクルマも思った以上にパスできました。今日、勝てた最大のポイントは、ヨコハマタイヤさんといろいろ努力してきて、しかも今回に関してはイレギュラーなことはなく、純粋にレースラップ、速さがこの勝利を手繰り寄せたと思うので、そのパフォーマンスがあったというのがすべてですね。この勝利の味は、この後しっかり噛み締めたいと思います」
■織戸学選手(apr GR86 GT)
【今回の成績:GT300クラス3位】
「クルマもタイヤも、すごく良かったんだけど、ここまで来られるとは思わなかった。いろいろラッキーもありましたが。特に、最後の平良の走りが素晴らしかった。最高です! 地元の鈴鹿でいい成績が残せて、休んでいる永井選手にもいい報告ができます」
■平良響選手(apr GR86 GT)
【今回の成績:GT300クラス3位】
「ありがとうございます、本当に良かった。まじ嬉しい! その一言に尽きます。最後は後ろも離れていたので、しっかりペースをコントロール
しながら3位表彰台を獲ったという感じです」
■上村優太選手(apr GR86 GT)
【今回の成績:GT300クラス3位】
「GT参戦2戦目で表彰台は、かなり嬉しいです。とにかく確実につなぐことだけを考えて走っていました。なかなかGTに乗れなかったので、こうやって表彰台に上がれて、本当に頑張ってきた甲斐があります。何よりこういう機会を作ってくれた永井さんに感謝したいです!」
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