横浜ゴム 2022スーパーGT第7戦オートポリス 決勝レポート
【SUPER GT第7戦/オートポリス】
リアライズコーポレーション ADVAN Zが初ポールを奪って3位表彰台を獲得、リアライズ日産メカニックチャレンジ GT-Rはポイントリーダーの座を譲ることなく最終戦に臨む!!
2022年のシーズンも終盤戦を迎えているSUPER GTは、第7戦を九州のオートポリスで開催。本大会は、前戦までに累積されたサクセスウエイトを半減して競われた。ただし、半減と言っても今年はGT500とGT300の両クラスともにランキング上位陣が着実にポイントを獲得し続けており、重いチームはまだ重いまま。「予想もしなかった……」という展開はあまりないのでは、というのが大方の見立てにもなっていた。
コンディションに恵まれ、温度が高めだった土曜日の公式予選において、今回GT300クラスのヨコハマタイヤユーザーは8台がQ1を突破。Q2では、地元九州出身の元嶋佑弥選手からバトンを託された小暮卓史選手がドライブする『weibo Primez ランボルギーニ GT3』が4番手で最上位となり、7番手は谷口信輝選手で、片岡龍也選手とともに操る『グッドスマイル 初音ミク AMG』が獲得した。
さらに驚くべきは、半減とはいっても69kgを積む『リアライズ日産メカニックチャレンジ GT-R』の藤波清斗選手が8番手だったことだ。ちなみにパートナーのJ.P.デ・オリベイラ選手は今年すべての大会でQ1を突破しており、相変わらずの勝負強さをアピールした。
GT500クラスでは、『WedsSport ADVAN GR Supra』が普段とはQ1アタッカーを入れ替え、阪口晴南選手が5番手で通過。『リアライズコーポレーション ADVAN Z』も前回から平手晃平選手に改めており、3番手につけて佐々木大樹選手にバトンをつないだ。Q2では2台ともにコースインを遅らせ、最後の最後に一発決めようという目論見が明らかだった。
実際に果たしたのは佐々木選手。チェッカーが振られ、本当に最後の最後にトップタイムをマークし自身初のポールポジションを獲得した。そして『WedsSport ADVAN GR Supra』の国本雄資選手も3番手につけ、揃って好位置から決勝レースのスタートを迎えることとなった。
決勝レースもさわやかな青空の下で行われ、スタート時の気温は26度、路面温度は46度と、予選とそれぞれ1度、4度しか違わず、これはチョイスしていたタイヤにピッタリのレンジだった。フォーメーションラップでのウォームアップも完璧だったポールシッターの『リアライズコーポレーション ADVAN Z』を駆る佐々木選手は、関門だった1コーナーへのホールショット、そしてオープニングラップのポジションキープを果たしたばかりか、後続との差をも徐々に広げていく。
一方、『WedsSport ADVAN GR Supra』の国本選手も同様に3番手を維持したまま、周回を重ねていく。しかし16周目にセクター3でストップしたGT300車両があり、FCY(フルコースイエロー)が提示される。時間にして3分ほどと短時間ではあったが、不運にもこの間、無線が不調でFCY解除の指示が国本選手に伝わらず。そのため、1台の先行を許していた。
レースが1/3の周回を経過し23周目には早々にピットに戻ってくる車両が続く中、あえて『WedsSport ADVAN GR Supra』は阪口選手への交代を26周目に、トップの『リアライズコーポレーション ADVAN Z』は平手選手への交代を27周目に遅らせるが、これがどうやら後手に出てしまったよう。
ひととおり交代を済ませると、平手選手は3番手、そして阪口選手は6番手に退いていた。とはいえ、終盤に入るとライバルは極端にタイヤのグリップが低下して防戦一方となったのに対して、平手選手も阪口選手も猛烈なプッシュを披露。平手選手こそ前に出ることはできなかったが、阪口選手はラスト2周でポジションアップ、土壇場で5番手を得ることに成功。そのままチェッカーを得て、『リアライズコーポレーション ADVAN Z』は今季2度目の表彰台に上がり、『WedsSport ADVAN GR Supra』も5位に入って、今シーズン5度目となる揃っての入賞を果たした。
GT300クラスでは、『weibo Primez ランボルギーニ GT3』の元嶋選手がオープニングラップのうちにひとつ順位を上げ、3番手でレースを開始。後続のチャージを、その後も凌ぎ続けていた。ミニマム周回数に達すると、前後を行くライバルがこぞって早々とピットに入る中、元嶋選手はやや遅らせて、27周目に小暮選手と交代。タイヤ交換を後ろの2本だけに留めてタイムロスを最小限とするも、このタイミングも絶好だったとは言い難く……。結果的にひとつ順位を落としたが今シーズン最上位となる4位でフィニッシュ、最終戦のさらなる浮上を誓っていた。
69kgのサクセスウエイトを積む『リアライズ日産メカニックチャレンジ GT-R』は、5位でゴールを果たした。1周目のうちに藤波選手がふたつポジションを上げて6番手につけ、さらに12周目にはGT500の車両を巧みに使って5番手に。
26周目のJP選手への交代後はひとつ順位を落としていたが、前を行く車両のトラブルによる後退もあって50周目には5番手に返り咲いた。その結果、2.5ポイント差でシリーズランキングのトップを堅守。藤波選手とJP選手による2020年以来となるチャンピオン奪還が、俄然現実味を帯びてきた。
さらに『グッドスマイル 初音ミク AMG』も6位を獲得。しかし、こちらは王座返り咲きの権利を喪失。だが、一時期の調子を取り戻した感はあるだけに、最終戦を盛り上げる存在になるのは間違いないだろう。
■平手晃平選手(リアライズコーポレーション ADVAN Z)
【今回の成績:GT500クラス3位】
「前半の大樹のスティントで、我々が懸念していたピックアップの問題もほとんど心配なく、まわりとペースが変わらないか、むしろ速いぐらいで帰ってきました。同じタイヤで後半つなげば、間違いなく行けるって自信があったので、同じタイヤを選んで送り出してもらったのですが……。戦略的に我々のピットのタイミングがあまり良くなかったようで、前に行かれてしまいました。ですが、最後にああやってバトルができたし、ヨコハマタイヤとしてもオートポリスは過去に苦手としていたサーキットだと思うので、ここまでバトルできたのは、タイヤの進化のおかげだと思います。もう予選での速さと決勝での速さは見せつけられていると思うので、あとは戦略的に負けないように、もう一度チームと最終戦までにしっかりと話し合って最終戦こそ勝って終わりたい、ポール・トゥ・ウィンで終わりたいと思います!!」
■佐々木大樹選手(リアライズコーポレーション ADVAN Z)
【今回の成績:GT500クラス3位】
「前半からプッシュして、大きく後続を引き離すことができました。みんなピットのタイミング早かったので、そことの兼ね合いでずれちゃった分だけ行かれちゃいました。ですが今回、コース上ではヨコハマタイヤと我々の車のパッケージングが最速だったと思うので、そこは自信を持って次は優勝できるように頑張りたいと思います」
■国本雄資選手(WedsSport ADVAN GR Supra)
【今回の成績:GT500クラス5位】
「自分のスティントでは前には少し離されてしまいましたが、安定してラップすることができました。FCY明けでチームとの無線の交信がうまく行かなくて、そこでリスタートがうまく行かなくて遅れてしまったのは、チームとしても僕としても反省点でした。ただ、週末を通してしっかり戦えたということでは手応えを感じていたので、もちろん表彰台や優勝目指して走っていましたけれど、この5位というのは価値ある5位だったと思います。次のもてぎは去年、表彰台に乗っているサーキットですし、ポール獲得の経験もあるサーキットです。今シーズンは去年よりも強くなっているのを感じているので、そこで去年よりもいい結果を残せるように頑張りたいと思います」
■阪口晴南選手(WedsSport ADVAN GR Supra)
【今回の成績:GT500クラス5位】
「順位は結局、ふたつ下がったことになりますが、どんどん決勝の内容が良くなっているのを感じます。僕のスティントで1周目にタイヤを痛めてしまったので、それも反省点がありますし、まだ伸びしろがあるとも思います。また、新たな発見というか方向性も見えたので、最終戦はチームとしてもヨコハマタイヤさん的にももてぎは得意だと思っているので、勝って締めくくれるようにしたいです」
■小暮卓史選手(weibo Primez ランボルギーニ GT3)
【今回の成績:GT300クラス4位】
「やっといいポイントを獲れたので、こういうレースを続けなきゃいけないんだな、と思います。これの積み重ねですよね、やっぱり。タイヤは僕の時、リヤ2本だけ交換して、ポジションはいいところに出られたので、少し走行で厳しいところはあったんですけれど、悪くなかったと思います。なんとか行きたいですね、最終戦は。頑張りたいです、勝ちたいです」
■元嶋佑弥選手(weibo Primez ランボルギーニ GT3)
【今回の成績:GT300クラス4位】
「今年の成績を考えたら全然いいですね、今回の結果は。もともと車はいいですし、僕たちがちゃんと落ち着いてレースすれば、こうやって結果が残ることは、ずっと分かっていました。ですが、なかなかそれが、当たり前のことがいちばん難しかったので、ようやくちゃんとレースできたことに、ホッとしています。みんな、タイヤはつらかったと思いますが、僕も正直つらかったですね。GT3の中では一緒に走った車も、やっぱり同じように苦しいんだな、という感じで走っていました」
■藤波清斗選手(リアライズ日産メカニックチャレンジ GT-R)
【今回の成績:GT300クラス5位】
「キープできました、ランキングのトップ!! やっぱりスバルが来て、それは予想どおりでしたが、でも2.5ポイントリードして行けるので、あとはBoP次第ですね。頑張って最終戦、前で行けるように頑張ります!!」
■J.P.デ・オリベイラ選手選手(リアライズ日産メカニックチャレンジ GT-R)
【今回の成績:GT300クラス5位】
「今日のレースはポイント獲れましたが、それがいちばん良かったですね。5位でチャンピオンシップをキープできて。今日のペースはちょっと良くなくて、ストレートスピードは速くなかった。ホンダとメルセデスは速くて厳しかったので、僕はパワーがもうちょっと欲しかった。それはBoPのせいだけれど、SUPER GTはそういうレースですからね。僕の使ったタイヤは、ファーストスティントとは違うタイヤですが、最後まで大丈夫でした。でも、FCYの間にタイヤの内圧が下がって、あとはペースが上がらなかったので、FCYがない方が良かったね」
■白石貴之(横浜ゴム タイヤ製品開発本部 MST開発部 技術開発 1グループ・リーダー)
「まず予選での『リアライズコーポレーション ADVAN Z』は、いつもいいところまで行きながら、最後のところで『WedsSport ADVAN GR Supra』にポールを奪われることが多かったので、そういう意味では、2台どちらでもうちのタイヤのいいところを予選で発揮できることを示してくれたことは、非常にありがたいです」
「去年、オートポリスでは低温のところで苦戦したので、どちらかというと低温向けのタイヤに力を入れていて、高温向けは普通に夏の時期に開発していたものをベースとして持ち込んでいたのですが、今回はかなり気温が高くて、高温向けの方が当たったかな、というところはあります。その点では、オートポリスでもこういったコンディションであれば実力が発揮できるということを確認できたのも収穫です」
「GT300も去年のオートポリスの状況から、低温下でのロングラン性能の改善を考えていたのですが、予想外の高温となったので、他社さんに対してどうだったのかというところは分からないのですが、高温下では他社さんのグリップレベルの方がかなり高かったのが、結果として表れたのかと思っています」
「とは言いつつも、『weibo Primez ランボルギーニ GT3』に限らず、『リアライズ日産メカニックチャレンジ GT-R』や『グッドスマイル 初音ミク AMG』など、実力のある車は上位に入っているので、そこは良かったと思います。去年の最終戦は異なるサーッキトとは言え、厳しい結果になってしまったこともしっかり踏まえた上で、GT500、GT300共に得意としているもてぎで、今シーズンの集大成となるヨコハマの実力をきっちりお見せしたいと思います」
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