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投稿日: 2022.10.07 17:00
更新日: 2022.10.08 19:19

Arnage Racing 2022スーパーGT第7戦オートポリス レースレポート


スーパーGT | Arnage Racing 2022スーパーGT第7戦オートポリス レースレポート

AUTOPOLIS GT300kmRACE

 スーパーGT Rd.7は、10月1日〜2日にオートポリスで開催された『AUTOPOLIS GT300km RACE』。前戦SUGOラウンドから、インターバルは2週間、実質のメンテナンス期間は、わずか1週間。ガレージでは慌ただしくメンテナンスが行われた。SUGOラウンドでマシンが負った傷は思いのほか深く、破損したフロントフェンダーや変形したマフラーの修理が急ピッチで進められた。その他、オートポリスは給油口がそれまでのサーキットとは逆側になるため、給油口の移設も行われた。

 週間天気予報では、九州地方は晴れて高温となることが予想されていた。しかし、チームは天気に振り回されたSUGOラウンドとは同じ轍を踏むまいと、路面温度が低くなってもタイヤが反応するようなセットアップを投入、念入りにメンテナンスを行ってサーキッ入りした。

10月1日 公式練習〜予選

 オートポリスラウンドの行われる週末、サーキットのある九州地方は広く高気圧に覆われ、10月とは思えない季節外れのコンディションのなか、9時20分から公式練習が始まった。このオートポリスを戦うにあたって、Arnage Racingは、前戦SUGOから持ち越したタイヤと、それよりも少しハード目のタイヤを持ち込んでいた。

 前戦SUGOでは、路面温度が上がらず、タイヤのパフォーマンスを引き出すことが難しいコンディションだったために、苦しいレース展開となってしまったが、今大会では気温、路温ともに上昇が見込めるため、公式練習はどちらのタイヤがマッチするかのテストを中心に行われた。まず、阪口選手がハード目のタイヤを装着してコースに出た。このタイヤは発動が早く、阪口選手は7周目に1分46秒162をマークしたが、少々硬くグリップに欠けることがわかった。

 続いてチームは、タイヤをSUGO持ち越しのタイヤに交換して、阪口選手をコースに出した。阪口選手は、数ラップするうちに、先ほどのハード目のタイヤに比べてシッカリ感があるとコメント。16周目に公式練習ベストとなる1分46秒126をマークするなど、このタイヤがオートポリスの現状のコンディションにマッチしていることを確認することができた。

 しかし、このタイヤは手持ちの本数に限りがあったため、チームはこのタイヤを温存することにし、公式練習の後半、加納選手に先ほどのハード目を装着させてコースに出した。すると路面温度が45度にまで上昇するなか、ハード目は先ほどとは違った表情を見せ、加納選手は好感触を伝えてきた。さらに、その後のFCY訓練で再度ハード目をテストした阪口選手も「路温に合っていてすごくいい」とコメント。

 どちらのタイヤもマッチする路面の温度域が似ており、路温の上昇次第ではどちらも十分に決勝に耐えうるため、タイヤチョイスが難しいところではあったが、ハード目のタイヤはタイヤ自体の温度が高くなった際にリヤの挙動に違和感があったことと、また、持ち越しタイヤの方が実績に優っていることなどを考慮し、Arnage Racingは、持ち越しタイヤの方を決勝タイヤとしてチョイスすることにした。

 15時より開始のRd.7オートポリス大会のQ1を、Arnage RacingはA組から出走することとなっており、今大会もQ1を担当するのは阪口選手。今シーズン、Arnage Racingは度々Q1突破を果たしており、オートポリスでも阪口選手がQ2進出を懸けて慎重にタイヤに熱を入れ、5周目、1分44秒679をマークした。強豪ぞろいのAグループだったが、辛くも阪口選手は7番手でQ1を突破、加納選手にQ2へのバトンを繋いだ。

 続くQ2、本来ならば加納選手にフレッシュなタイヤでアタックさせたいところだ。しかし、決勝を戦うタイヤの手持ちが残り1セットしかないArnage Racingは、Q2担当の加納選手に、Q1で阪口選手が使用したタイヤをそのまま装着させてQ2アタックを決行。加納選手はオープンと同時にコースインしたが、3周目に1分46秒167をマークしたところでピットに呼び戻された。決勝にタイヤを温存するためにはやむを得ず、まだまだタイムアップを図りたい加納選手ではあったが、1つポジションアップするにとどまった。Arnage Racingは翌日の決勝を15番手から戦うこととなった。

 予選後のメンテナンスの時間に、メカニックがフロントロワアームのボルト折損を発見し、チームは修復に追われることとなってしまった。また、公式練習のなかで、ブレーキングの際にマシンが「つんのめる」かのような動きをするとのコメントがあったため、チームはアドヴィックス様と協力して、フロントのブレーキングの強度を少し緩め、リヤの荷重抜けを小さくするABSのセッティングを投入することにした。このセット変更により、ターンインの姿勢を適性化してリヤを護ることが望めるため、チームが見出した、タイヤを守るセッティングに加え、ブレーキとABSの方向からもリアタイヤを護ることが可能になるかもしれない。チームは、翌日のウォームアップのタイミングで効果のほどを確認することにした。

2022スーパーGT第7戦オートポリス Arnage MC86(加納政樹/阪口良平)
2022スーパーGT第7戦オートポリス Arnage MC86(加納政樹/阪口良平)

■10月2日 決勝

 翌日曜日も、雲ひとつない快晴に恵まれ、絶好のレース観戦日和となった。前日のトラブルのためにピット練習ができなかったチームは、早朝にサーキット入りし、ピットワークの練習をした。オートポリスは他のサーキットと異なり、給油とジャッキアップがマシンの左側になり、タイヤ交換の動線が普段と異なるため、ピット作業を正確に行えるように、メカニックは何度もシミュレーションを繰り返した。

 夏の再来を思わせるような汗ばむ晴天のもと、12時10分よりウォームアップ走行が行われた。加納選手と阪口選手がそれぞれ20分間のうちに前日に投入したABSのセット変更の確認をしたが、格段にバランスが良くなっており、効果があったことがわかった。

 定刻13時30分、2周のフォーメーションラップの後、Rd.7オートポリス大会の幕が切って落とされた。気温26度、路面温度は46度にまで上がるなか、第1スティントを担当する阪口選手が15番手からレースを開始。ところが阪口選手は、スタート直後に前方マシンから噴出されたオイルを浴び、フロントガラスが汚れた状態でレースをスタートすることとなってしまった。

 それでも阪口選手は1分47秒台をマーク、ヨコハマタイヤ勢のなかでは好タイムでの快走を続けていた。レースが中盤に差し掛かる20Lapのあたりからは、ルーティンピットのためにピットインするマシンも出始め、阪口選手の見かけ上の順位も上がっていった。ところが28周目、阪口選手からパワステの不調を訴える無線が入ってきた。夏の鈴鹿ラウンドほどではないものの、警告灯が点灯したため、パワステの効きを落とさざるを得なくなり、阪口選手は思うような走行ができない。

 さらに30周目、最終コーナーでラップダウンのマシンに引っかかり、パスを試みるも、相手はストレートが速いために容易ではない。タイムロスとなってしまった。その際に軽くコースを逸脱し、巻き上げた大量の砂塵が、オイルの付着したフロントガラスの上に着いてしまい、さらに視界が悪くなってしまった。加えて、序盤からバックカメラに付着した汚れが後方の視界まで妨げて、阪口選手は苦しい走行を強いられていた。チームは当初阪口選手のスティントを42周と想定していたが、ピット作業でマシンのコンディションを改善する方が得策と判断し、予定より早めの39周でピットインさせることにした。

 阪口選手は39周目、見かけ上2番手でピットに戻ってきた。無線での情報から、タイヤは問題なしと判断したチームは、タイヤ無交換作戦に打って出ることにした。しかし、パワステの不調を改善するため、消火器でシステムを冷却する必要もあって、ピット作業で10秒ほどをロスし、第2スティントの加納選手がコースに復帰したときには、順位は19番手にまで脱落していた。

 加納選手はなんとかレース展開の好転を図ろうとしたが、ピットインの際に拭き取ることのできなかったフロントガラスの汚れに、さらに西陽が当たって、ほとんど視界が効かない状態でのドライブを強いられることになってしまった。タイムを刻むどころか、コースに留まることが精一杯のまま、Arnage Racingはポジション21番手でチェッカーを受けた。オートポリスでも、チームが目標としているチームポイント3を獲得することはできず、またしても、SUGOラウンドに続いて消化不良のレースとなってしまった。

2022スーパーGT第7戦オートポリス Arnage MC86(加納政樹/阪口良平)
2022スーパーGT第7戦オートポリス Arnage MC86(加納政樹/阪口良平)
2022スーパーGT第7戦オートポリス 加納政樹/阪口良平(Arnage MC86)
2022スーパーGT第7戦オートポリス 加納政樹/阪口良平(Arnage MC86)


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