一方、ランキング首位で最終戦を迎えた3号車は予選で12号車の背後となる、予選4番手。気温と路面温度が他の大会と比べても低いということもあり、各車ともウォームアップは念入りに行なっていたが、ミシュランタイヤを履く3号車は、Q1担当の千代が計測2周目、Q2担当の高星が計測3周目と早めにアタックラップに入っていった。

「だからと言って、僕たちがソフトだったというわけではありません。ミシュランが持っているポテンシャルを活かした戦術だった」と高星。その作戦が効力を発揮したのか千代が7番手でQ1を突破し、Q2の高星が1分35秒916で4番手につけ、明日の決勝を考えても好ポジションを獲得した。

 だが、予選後のふたりに笑顔はなかった。「12号車の後ろということだけが悔しいところですね。12号車の前で4番手ならばすごく嬉しかったと思うし、そういう意味ではランキングを考えても、悔いの残る部分ではあるかなと思います」と高星。

 同じく千代も「予選のポジションも悪くはないですけど、12号車がひとつ前にいるので、そこは抑えたかったところではあります」と悔しさを滲ませていた。

 ポールポジションを獲得した100号車をはじめ、10番手から追い上げを狙う17号車の動きも気になるのだが、ふたりとも12号車をかなり警戒していた。

「明日は12号車との争いになると思います。その点では、明日はひとつ抜かなければいけないという仕事が残っているので、その仕事をちゃんとこなせるように、チーム全員で頑張りたいです。向こう(12号車)も、この順位は絶対に守ってくるだろうと思っています。もちろんニッサン勢としては、2台でぶつかるとかはやめてほしいと言われていますし、それで100号車とか17号車に(チャンピオンを)持っていかれるのは癪(しゃく)ですからね。ただ、コース上に出たら真剣勝負なので……とにかく良いレースをしたいです」(千代)

「正直、100号車があれだけ速いというのは思っていませんでした。もし彼らが勝って、僕たちが8位とか9位だったら(チャンピオン争いでは)やられてしまうだろうし、そういう意味では100号車も見ていますし、17号車も見てはいます。ただ、一番のライバルは12号車なです。ポイントや予選の順位など総合的に考えても、直接的なライバルは12号車だと思っているので、まずは彼らをカバーしていきたいなと思っています。ミシュランはウォームアップも良いし、ロングランも強い方なので、そこをフルに活かして、レースに挑んでいきたいなと思います」(高星)

 自力での逆転チャンピオンの可能性を残していた17号車が、後方に沈んだことを考えると、実質的に12号車と3号車の一騎打ちという雰囲気になってきたのは確か。予選結果を踏まえて、さらにお互いを意識して警戒をしている印象だったが、それが決勝レースでどう影響してくるのか。今年もGT500王座をかけたバトルは、最後まで予想がつかない展開になっていきそうだ。

2022スーパーGT第8戦もてぎ 千代勝正と高星明誠(CRAFTSPORTS MOTUL Z)
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