今シーズンのTEAM IMPULの活躍を語るうえで欠かせない存在なのが、ドライバーとエンジニアの橋渡し役として12号車をサポートする星野一樹テクニカルアドバイザー(TA)だ。
2021年末でスーパーGTのドライバーを引退し、2022年はTEAM IMPULを別の立場でサポートすることになった一樹TAだが、就任1年目で最高の結果を残すことができ、レース後には感慨深い表情を見せていた。
「カルソニックとしては1995年にチャンピオンを獲得しましたけど、あのときはニスモのメンテナンスでした。今回はTEAM IMPULのメンテナンスなので“カルソニックIMPUL”として(GT500タイトル獲得)は初めてです。そういった記念すべき年に、自分もこうしてスタッフとして関わることができて本当に嬉しいです」
「自分が(ドライバーを)引退して、今年はチームをサポートするという立場になり、最初はモチベーションがどうなるのか心配していたところがありました。ですが、いざ(シーズンが)始まってみたら、勝ったときの喜びも負けた悔しさも自分が乗っていたときと全く一緒でした。チームはこうしてレースを戦っているのだということを、ドライバーではない立場から改めて分かりました」
「今シーズンを振り返るといろいろな分岐点があり『あのとき、こちらの選択をしていたらどうなっていたんだろう? あのときに間違った方向に進んでいたら、どうなっていたんだろう?』など、いろいろあるのですけど……、今思い返せば、自分たちはほとんどの場面で良い選択をしたと思います。いろいろな人のいろいろな要素があり、それをサポートできたのは良かったです」
そうシーズンを振り返った一樹TAは、最終戦の決勝では約40周に渡って緊迫した接近戦を繰り広げられたなかで、ミスなく2位を守り切った平峰を高く評価していた。実際、レース後のパルクフェルメでも一樹TAが涙を流しながら『お前がチャンピオンだ! よくやった!』と平峰を讃えていた姿が印象的だった。
「平峰はいつも本当に努力しているんですよ。ドライバーはクルマやタイヤに文句を言いたくなってしまうのですけど、彼はいつも文句を言わずに自分のドライビングに向き合い、『一樹さん叱ってください。僕は何が足りないんですか?』と、いつも貪欲に聞いてきます。そんな彼を見ていると本当に応援したくなりますし、改めてチャンピオンにふさわしいドライバーだと思います」
「平峰は以前から凄いドライバーでしたけど、スポットライトの当たり方で少し運がなかったというだけで、その裏ではさらに力をつけていました。今年はTEAM IMPULに加入して3年目で『星野一義のTEAM IMPUL』というプレッシャーを背負いながら、さらに成長してくれました。そういったところで、ようやく彼にスポットライトが当たり、真のチャンピオンになってくれました。本当に自分のことのように嬉しいです」


