スーパーGT ニュース

投稿日: 2023.03.13 12:13
更新日: 2023.03.13 12:14

LMcorsa 2023スーパーGT岡山公式テスト テストレポート


スーパーGT | LMcorsa 2023スーパーGT岡山公式テスト テストレポート

SUPER GT 2023 OKAYAMA
OFFICIAL TEST

日付:3月11〜12日
天候:晴
コース:岡山国際サーキット

スーパーGT公式テストが3月11日、12日に実施された3季目を迎えたGR Supra GTは アップデートが奏功し、27台のマシンが出そろった公式テストで両日ともトップ5内のタイムを記録し好調さ示した

 LMcorsaは2021年シーズンにそれまで使用していたRC F GT3からGRスープラGTへマシンをスイッチし、2シーズンを戦ってきた。初年度となった2022年は、年間2勝を挙げてポイントランキングが3位と過去最高の成績を収めることができた。ただ、昨シーズンは性能調整(BoP)によってエンジンへの吸入空気量を制御するリストリクターのサイズが絞られ、スタートやコーナーからの脱出などでライバル勢に対して競り負けることが多かった。

 2022年シーズンは、8戦中5戦の予選でトップ16となる予選Q2への進出を果たしたが、決勝レースでポイントを獲得したのは3戦と苦戦を強いられた。原因としては、単独でのパフォーマンスは引けを取っていないが、集団で争う決勝レースでは性能を発揮しきれい点にあった。

昨シーズンの終了とともに、チームは2023年に向けて動き出した。2022年仕様のマシンは、フロントフェイスを中心にボディ形状に手を加えたが、今季はレギュレーションの変更によって同形状のデザインが使えなくなった。そのためオフシーズンに、チームは新たなボディパーツの製作を行なうこととなる。

SUPER GTを運営するGTAが定めるGT300車両規定に沿っているGRスープラGTは、メーカーが作り上げたGT3マシンとは異なり、規定内での独自開発が可能。LMcorsaは自社でオリジナルパーツを製作できるノウハウを持っているため、2023年仕様のボディパーツも自ら開発し作り上げた。

 形状はフロントフェンダーの前方からダクトに掛けてとボンネット、リアフェンダー後端などがレギュレーションに合わせて見直された。ボンネットはエンジンルーム内の熱気を積極的に排出できるデザインとし、冷却効果が高まることを期待している。

 チームの体制は2月10日~12日に掛けて開催された大阪オートメッセで発表されていて、ドライバーはコンビを組んで3年目となる吉本大樹選手と河野駿佑選手、監督は引き続き飯田章氏が務めることとなった。

 ボディパーツなどを中心にアップデートしたSYNTIUM LMcorsa GR Supra GTは、3月8日~9日に岡山国際サーキットで実施されたGT300クラスの専有走行でシェイクダウンを行なう。今シーズンの初走行ながらもSYNTIUM LMcorsa GR Supra GTは順調に周回数を重ね、パフォーマンスも昨シーズンを上回っているとの反応がドライバーから返ってきていた。

 2日間の専有テストを終えるとSUPER GT 2023 SERIESの幕開けとなる公式テストが同じく岡山国際サーキットで、3月11日~12日の2日間にわたって実施された。

 今季も27台がエントリーするGT300クラスの全車と、GT500クラスの15台が一斉に走行するのは今シーズン初めてとなり、現状のパワーバランスが確認できる貴重な機会となる。

 11日、12日ともに午前2時間、午後2時間の計2回のセッションが設けられていて、走行枠の前後にはセーフティカーテストやFCY(フルコースイエロー)、スタート手順のテストなども実施された。

 3月上旬だと岡山国際サーキットは厚手の上着を羽織らないと寒いことが少なくないが、今回のテストは晴天に恵まれ、11日は朝から強い日差しがサーキットに照り付けていた。セッション1は10時から2時間となり、SYNTIUM LMcorsa GR Supra GTにはまず吉本選手が乗り込んだ。吉本選手は開幕戦を想定して持ち込まれたタイヤをチェックするために、数周ごとにピットインを繰り返していった。セッションが中盤を迎えると河野選手がSYNTIUM LMcorsa GR Supra GTに乗り込み、決勝レースを想定したテストを行った。

 午後になると気温はさらに上昇しセッション2がスタートする前には22℃となり、一足早い春の陽気となる。セッション2は14時~16時までの2時間の走行枠で、まずは吉本選手がステアリングを握った。13周を走行すると河野選手のバトンタッチし決勝レースを想定したテストを繰り返した。結果は午前中のセッション1で吉本選手がマークした1分25秒863がベストタイムとなり、GT300クラスの27台中5番手の結果となった。

 公式テストの2日目となった3月12日も岡山国際サーキットは晴れ渡り、午前中は11日と同様の気温と路面コンディションとなった。1日目と同じく2時間×2回の走行枠が設けられていて、セッション3は9時にスタートした。公式テストの初日はノートラブルで走り切りきったSYNTIUM LMcorsa GR Supra GTだったが、セッション3で燃料系のトラブルが発生。修復に1時間ほど要したために周回数は18周となったが、セッション3の後に実施されたFCY訓練で無事に復帰している。

 最後のセッション4は14時から16時までとなっていて、セッション3で消化できなかったセットアップ変更を中心に走行を実施した。ただ、セッション4になると路面コンディションが悪化したこともあり、以前のセッションとの対比が難しくなった。コンディションが悪かった中でもセットアップの変更に対するマシンの反応は十分で、2人のドライバーは計40周を走行した。ベストタイムは吉本選手がマークした1分26秒754で、27台中4番手の結果となった。

 セッション3で想定外のトラブルがあったもののシェイクダウンから4日間を無事に走り切り、ドライバーもチームも2023年仕様のマシンに自信を持った。2週間後には富士スピードウェイで2回目の公式テストが開催され、その後は4月15日〜16日に岡山国際サーキットで実施される開幕戦を迎える。

 昨シーズンは苦戦するレースが多かったが、今季は初走行から好調さを示していて好結果を期待できる雰囲気となっている。

飯田章監督
「公式テスト前の専有テストから含めると長い1週間でしたが、今季の初走行が無事に終わり、さらに良い雰囲気だったこともあり開幕戦が楽しみです。毎年シェイクダウンではトラブルが起こることがあるのですが、今回はオフシーズンのアップデートも奏功し、結果としても去年を上回るポジションにいられています。コーナーで見ていても昨シーズンより動きが良く、姿勢もしっかりしています。結果にはタイヤの進化も影響していて、あらゆるアップデートが今回の状況に合っていました。ただ、レースは結果がすべてなので、気を抜かず開幕戦まで準備を進めます」

吉本大樹選手
「公式テスト前のシェイクダウンも含めて4日間で有意義なテストができました。3月にしては暖かいコンディションで、開幕戦を想定した内容のテストでしたが、どう判断するか難しい状況でした。ただ、マシンは昨シーズンよりもバランスが向上し、セットアップの変更に対して感度が上がっています。公式テストの初日は想定していたプログラムが消化でき、決勝レースに向けたロングランのテストも実施できました。パフォーマンスは良く結果も付いてきていますが、決勝レースは苦戦しそうな雰囲気があるので、開幕戦までの1ヶ月で煮詰めていきたいです」

河野駿佑選手
「走り出しから4日間のテストでしたが、昨シーズンよりも高いところでスタートできていると思います。2023年仕様のマシンはボディパーツなどを中心に変更したのですが、バランスが取れていて方向性として間違っていないはずです。公式テストの初日はロングランのテストを実施していくつかの課題がありましたが、明るい兆しが見えています。公式テストの2日目はトラブルが出ましたが、内容の濃い4日間となりました。2週間後には富士スピードウェイでの公式テストがあるので、そこで空力面を確認し、開幕戦へ向けてレベルアップしていきたいです」


関連のニュース