更新日: 2023.04.17 14:11
ニッサン 2023スーパーGT第1戦岡山 レースレポート
23年シーズン開幕戦、波乱のレースで日産/NISMO陣営が1ー2フィニッシュ
SUPER GT 2023第1戦レースレポート
4月16日 岡山国際サーキット(岡山県)
【GT500】
2023年SUPER GTシリーズが岡山国際サーキットで開幕しました。日産/NISMO陣営は、昨年デビューイヤーでチャンピオンを獲得したNissan Z GT500で参戦。また、今季から導入されたカーボンニュートラルフューエル(CNF)に対応しアップデートしたエンジンを投入し、戦闘力の高さを維持して23年シーズンに臨みます。
日産/NISMO陣営は、昨年のチャンピオンである#1MARELLI IMPUL Z(平峰 一貴/ベルトラン・バゲット)、#3Niterra MOTUL Z(千代 勝正/高星 明誠)、#23MOTUL AUTECH Z(松田 次生/ロニー・クインタレッリ)、#24リアライズコーポレーションADVAN Z(佐々木 大樹/平手 晃平)の4台のNissan Z GT500が2年連続のチャンピオン獲得を目指し、シリーズ全8戦に挑みます。
ウェットの予選で#23 Zの松田がトップタイム
2位に#3 Zが迫り、Nissan Z GT500が最前列を独占
予選
予選日の4月15日は朝から雨模様となり、GT300クラスの予選が開始される頃には激しい雨となりました。コンディション不良により、予選時間は1セッション15分に延長されることになりました。気温14度、路面温度15度のウェットコンディションのもと、午後2時53分からGT500クラス予選Q1が開始されました。
#23 Zはクインタレッリが、#3 Zは千代がアタックを担当。路面にかなりの水が残るなか、2台は徐々にタイムを上げていきます。#23 Zは10周目にベストタイムの1分29秒659をマークし、トップに立ちました。#3 Zも10周目に1分29秒908でベストラップを更新。
#1 Zの平峰は4周目に1分30秒811で上位につけますが、その後タイムを更新することができませんでした。#24 Zの佐々木は8周目に1分30秒600をマークしました。#23 Zがトップタイムで、#3 Zは4位でQ1を突破し、#24 Zは11位、#1 Zは12位で予選を終えました。
午後3時41分から上位8台による予選Q2が開始されました。雨は小降りとなり、路面コンディションが徐々に良くなる難しいコンディションのなか、周を重ねるごとにタイムアップする#23 Zの松田が9周目に1分27秒860でベストタイムをマーク。2番手に1秒以上の差をつけトップに立ちました。
#3 Zの高星が10周目に1分29秒035で2番手となり、Nissan Z GT500が予選1ー2位を占め、最前列から決勝レースに臨む絶好のポジションを獲得しました。#23 Zは昨年第5戦鈴鹿以来のポールポジション獲得で、日産勢の予選フロントロウ独占は19年第5戦の富士以来となりました。
#23 MOTUL AUTECH Zが大波乱のレースを制し開幕戦優勝
#3 Niterra MOTUL Zが2位でZ勢が1位、2位を占める
決勝
朝から晴天だった天候は、レースのスタートが迫るとともに雲が広がり不安定な様相となりました。気温19度、路面温度25度のコンディションのもと、午後1時30分に2周のフォーメーションラップを経て、82周のレースがスタート。
最前列からスタートした#23 Zと#3 Zはポジションを守って1ー2態勢で後続を引き離します。#1 Zのバゲットは1周目の混乱で14番手までポジションを落としますが、その後挽回し、5周目には12番手に浮上しています。5周を走行した頃から雨が降り始め、12周目には雨足はかなりの強さとなり、路面は一気にウェットコンディションとなりました。
15周を終え#23 Zと#24 Zがウェットタイヤに交換するためにピットインを行いました。その直後にコースアウトするマシンが出てフルコースイエロー(FCY)となり、激しいコンディション変化によりコースアウトやスピンするマシンが続き、セーフティカー(SC)が導入されました。
雨は激しさを増しますが、FCY、SC中はピットインすることができないため、ドライタイヤのままのマシンも多く、レースは波乱が予想される状況となりました。SC中の18周目、#3 Zは1番手、#1 Zは3番手を走行するもともにドライタイヤ、#23 Zは7番手、#24 Zは11番手走行ながらウェットタイヤという状況です。
19周終了時点でピットオープンとなり、#3 Zと#1 Zはタイヤ交換のためピットイン。23周目にレースが再開され、この時点での順位は#23 Zが3番手、#24 Zが7番手、#1 Zが12番手、#3 Zが13番手となっています。
ヘビーウェットコンディションのため、#23 Zはタイヤが合わずポジションを落とし、24周目には6番手となりますが、徐々にコース上の水がはけ、コンディションが好転すると#23 Zはペースアップしてポジションを回復。周囲よりも1秒以上速いペースでオーバーテイクを重ね、31周目には2番手に上昇。
#3 Zも同様にペースアップし、32周目に10番手に上がると39周目には5番手までポジションを上げています。41周目、#23 Zは1コーナーでトップに立ち、#3 Zが3番手、#24 Zが4番手、#1 Zが5番手と、Z勢4台が上位に揃いました。
42周を終えて#24 Zと#1 Zがピットインし、ドライバー交代を行いました。44周終了時には#3 Zが、46周終了時には#23 Zがピットインし、ドライバー交代を終えてレースは後半戦へと入りました。
48周目、コースアウトしたマシンが出てFCYが提示され、このタイミングで再び雨が降り始めます。#24 Zはヘアピンでコースアウトし、再スタートを切ることはできましたがポジションを大きく落としました。
このFCY中にGT300クラスでアクシデントが発生し、51周目にSCが導入。雨が強くなり、トップを走る#23 Zの松田はチームの指示によりピットクローズの直前にピットに滑り込み、ウェットタイヤに交換、6番手で隊列に戻りました。
これにより#3 Zは2番手に順位を上げています。雨がさらに強くなり、落雷が予想されたため、55周終了時点で、レースは赤旗中断となりました。
約20分間の中断を経て、レースはSC先導で再開されました。再開と同時にウェットタイヤに交換するマシンが続出するなか、すでに交換を済ませている#23 Zはトップに立ちました。
素早くタイヤ交換を終えた#3 Zは3番手で隊列に戻ると、2番手のマシンにアクシデントが発生し、#3 Zは2番手にポジションアップ。Z勢が1ー2態勢となりました。
#1 Zは7番手と入賞圏内でSC先導の走行が続きます。いったんSC解除が提示されましたが、コース上にストップするマシンが出てSCは継続。コンディションはさらに悪化し、レースは61周を終えて再び赤旗中断となりました。
その後、SC先導で再スタートが切られましたがコンディションは回復せず、63周目に再び赤旗が提示され、レースは終了。規則により61周終了時点での順位が結果となりました。
予選トップの#23 Zは、難しいコンディションと波乱の展開のなか、安定した速さと目まぐるしく変化する状況への対応力を発揮して優勝。#3 Zも同様に速さを示して2位となり、Z勢は予選順位同様1ー2態勢で開幕戦を締めくくりました。
#1 Zはレース終了後、上位車両にペナルティが出たため順位がひとつ繰り上がり6位入賞。#24 Zは14位となっています。
松田 次生 選手
「予選でポールポジションを獲得するいいアタックができて、その流れを決勝にもつなげることができました。これほど色々なことがあるコンディションになるとは思いませんでしたが、運も向いていたと思いますし、ピットの判断もとても良かったと思います」
「23号車のクルー全員に感謝したいですね。昨シーズンは本当に苦労した分、今シーズンをいい形でスタートすることができて、良かったです。引き続き応援をよろしくお願いします!」
ロニー・クインタレッリ 選手
「文字どおり、完璧な週末だったと思います。今日のレースでは色々と難しい状況のなか、タイヤ選択や、ドライバーとしても我慢しなければならない部分もありましたが、すべて対応でき、最高の結果となりました」
「久しぶりの優勝ですし、チームスタッフはもちろん、いいクルマを用意してくれたNISMOやミシュランにも、とても感謝しています。とにかく開幕戦での優勝は2016年以来なので、本当に嬉しいです。23号車、これで完全に復活しました!」
【GT300】
GT300クラスには5台のNISSAN GT-R NISMO GT3が参戦。悪天候に見舞われ3度の赤旗が提示されたレースで、3台が完走を果たしました。8番グリッドからスタートした#56 リアライズ日産メカニックチャレンジGT-R(ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ/名取 鉄平)が10位、#10 PONOS GAINER GT-R(安田 裕信/大草 りき)が11位、#48 植毛ケーズフロンティア GT-R(井田 太陽/田中 優暉)が19位となりました。