更新日: 2023.04.17 14:36
LMcorsa 2023スーパーGT第1戦岡山 決勝レポート
S-GT2023 rd1 Okayama Final
LMcorsa REPORT
#60 Syntium LMcorsa GR Supra GT
降雨や雷によって3回のレース中断と荒れた展開の中で
的確なピット作業とドライバーの冷静なドライビングによって
19番手から8位まで順位を上げて、開幕戦を入賞で終える
<気象データ>
気温:19℃、路面温度:30℃(スタート時)
『AUTOBACS SUPER GT 2023 SERIES』が今季も岡山国際サーキットで幕を開けた。コロナウィルスによる制限はなくなったものの今シーズンも海外戦は組み込まれず、国内6カ所のサーキットで8戦が予定されている。
開幕戦となる『OKAYAMA GT 300km RACE』は4月15日(土)に公式練習と予選、16日(日)に決勝レースが実施された。レースウィークの走り始めとなった15日は早朝から雨天となり、9時すぎにスタートした公式練習はコース上に水が溜まるほどのウエットコンディションだった。
走行が始まっても降雨は収まらず、開始から30分ほど経過したところでGT500クラスのマシンがコース上を流れる川にのってクラッシュを喫する。その後も雨は止まず、コンディションの悪化により公式練習は途中で中止となった。
公式練習後もサーキットには強い雨が打ち付け予選もウエットコンディションでの実施となった。LMcorsaは吉本大樹選手を予選Q1の担当にし、トップ16となる予選Q2への進出を狙った。Syntium LMcorsa GR Supra GTに乗り込んだ吉本選手は計測2周目から上位のタイムを刻むが、コース状況が改善していった予選終了間際にライバル勢がタイムを伸ばし、0.13秒差で予選Q1を突破することができなかった。結果として開幕戦の決勝レースは19番グリッドからのスタートとなる。
荒天となった予選日から一夜明けた決勝レース日は、青空も見えるほどの天気となり午前中に行われた併催レースは完全なドライコンディションでの実施となった。決勝レースがスタートする午後には雨雲が通過する天気予報となっていたが、12時から始まった20分間のウォームアップ走行とスタート進行の時点では雨が降る気配はなかった。
300kmの決勝レースは予定通りの13時30分に岡山県警のパレードラップによって幕が切られた。スタートドライバーを務めた吉本選手はオープニングラップで加速性能に優れているGT3マシンにパスされて20番手となるが、その後はポジションをキープ。レースが5周目を過ぎるとサーキット上空を雨雲が覆い始め、南側から雨が吹き付けてくる。
コースの一部が濡れている難しい状況の中でも吉本選手はラップタイムを落とすことなく周回を重ねるが、徐々に雨量が多くなりスリックタイヤでの走行が厳しくなる。13周目になると数台のマシンがピットに戻りレインタイヤに交換。LMcorsaは翌14周目に吉本選手をピットに戻してレインタイヤに履き替えてコースに復帰させる。このピット作業の直後に雨量が激しくなりFCY(フルコースイエロー)が提示される。結果として最適なピットインのタイミングとなり、20番手から7番手まで順位を上げることとなった。
FCYからセーフティカーランに移行しレースは21周目に再開されると、今度はサーキットに薄日が差し込みウエットからドライへと変化していく。この『ダンプコンディション』と呼ばれる路面はSyntium LMcorsa GR Supra GTが苦手としていて、吉本選手は防戦一方となり、25周目には11番手、30周目には16番手まで順位を落としてしまう。早くスリックタイヤに交換したいところだが、まだレインタイヤでの周回がラップタイムとしては良く、苦しい状況だが吉本選手はコースに留まった。路面は濡れていたが33周目に吉本選手はピットに戻りスリックタイヤへの交換と給油、河野選手へのドライバーチェンジを行って後半のスティントへ突入する。
河野選手がピットアウトすると20番手までポジションを下げていたが、タイヤに熱が入るとライバル勢を上回るペースで周回していく。他車のピットインやコース上でのパッシングを重ねたことで40周目には14番手までポジションを上げ、42周目にも2台を抜きポイント圏内まであと一歩に迫る12番手となる。すると、ここでまたサーキットには小雨が降り始める。
45周目にはGT300クラスのマシンがコースオフしたことでFCYとなり、さらに雨量も増していった。FCYが解除されるとGT300クラスのトップ10内を走行していた2台が接触し、Syntium LMcorsa GR Supra GTはポイント圏内となる9番手に浮上。だが、51周目には落雷の危険があるということで赤旗が提示されてレースは中断する。
20分ほどの中断を経てセーフティカーランによってレースは再開するが、中断の最中に雨量は増していきスリックタイヤを履いていたマシンがレインタイヤに交換していく。このタイミングで河野選手もレインタイヤを履きセーフティカーランの解除を待った。だがコンディションは改善せず58周目に再び赤旗でレースは中断する。25分の中断を経てレースは2度目の再開となるが、コース上には水が溜まっていたため59周目に3度目の赤旗が提示され、このままレースは終了した。
結果として19番手スタートだったSyntium LMcorsa GR Supra GTは、8位でフィニッシュし3ポイントを獲得することができた。レインタイヤのペースは苦戦をしいられたものの、チームとドライバーが一丸となってミスなく走行を重ねて入賞を掴み取った。
以下コメント
<飯田章監督>
「予選はコースコンディションなどの運が味方になりませんでしたが、決勝レースは逆に運が味方し大幅に順位を上げられました。ラッキーなこともありましたが、もちろんチームが的確な仕事を行ったことやドライバーが頑張ってくれたことで、ポイントが獲得できたと思っています」
「チームとしては降雨のタイミングを確実に読むことができ、ピットインを冷静かつ迷うことなく判断できました。GT300チームのレベルは年々上がっているので後方から順位を上げることは簡単ではないです。その難しいタスクを成し遂げることができ嬉しく思います」
<吉本大樹選手>
「レースのオープニングから数周はGT3勢の加速の良さに手を焼き、GR Supra GTの良さが出せませんでした。その後は雨が降り出してレインタイヤへの交換タイミングがカギになると思い、チームとコミュニケーションをとりながらピットに入る機会を探りました」
「チームの判断も奏功しベストなタイミングで交換でき、大幅にポジションを上げられました。ただ、その後は防戦となり、後半のスティントを河野選手に託しました。19番手からポイントを獲れたことは良かったですが、レインタイヤには課題が残ったので解決する必要があります」
<河野駿佑選手>
「荒れたコンディションのなかでポイントを獲れたことでチームの士気も繋がりますし、良い結果だったと思います。私はレインからスリックに履き替えてコースに出たのですが、最初はかなり滑りやすく難しい状況でした」
「ただ、タイヤに熱が入ってからは周りのマシンよりも速く走ることができ、数ポジションを上げられました。戦略的に振り返ってみても、これ以上の結果は求められなかったかもしれないので、ドライバーもチームもミスなく走り切って開幕戦から入賞できたことは収穫です」