更新日: 2023.08.09 21:25
TOYOTA GAZOO Racing 2023スーパーGT第4戦富士 レースレポート
SUPER GT 2023年 第4戦 富士
FUJI GT 450km RACE
天候に翻弄された乱戦で坪井/宮田組GRスープラが4位
『富士』ラストレースの立川は5位フィニッシュ
富士スピードウェイでスーパーGTの第4戦が行われ、めまぐるしく変わる天候やアクシデントで荒れた展開となるなか、重いサクセスウェイトで最後尾からスタートした坪井翔/宮田莉朋組 au TOM’S GR Supra 36号車が粘り強い追い上げを見せTOYOTA GAZOO Racing(TGR)勢最上位の4位フィニッシュ。
今季限りでのSUPER GTドライバー引退を発表し、『富士』でのラストレースとなった立川祐路は、石浦宏明とのZENT CERUMO GR Supra 38号車で5位フィニッシュ。
笹原右京/ジュリアーノ・アレジ組 Deloitte TOM’S GR Supra 37号車が8位、関口雄飛/中山雄一組 DENSO KOBELCO SARD GR Supra 39号車が9位フィニッシュを果たしました。
スーパーGT第4戦『FUJI GT 450km RACE』が8月6日(土)、7日(日)の両日、静岡県の富士スピードウェイで開催されました。
前戦鈴鹿ラウンドから2か月と大きなインターバルを経ての今大会。今季の前半戦を締めくくる戦いとなると同時に、1ヶ月半で3戦が続く、暑い夏の3戦の始まりでもあります。
前戦鈴鹿はアクシデントにより短縮終了となったこともあり、結果は暫定となっていましたが、その後正式に国本雄資/阪口晴南組WedsSport ADVAN GR Supra 19号車の優勝が確定。
第2戦で勝利を挙げた36号車に続き、GRスープラが2連勝。36号車は前戦でも2位表彰台を獲得しランキング首位で今大会に臨むこととなりました。
今大会を前に、今季まで25年間SUPER GTのGT500クラスのドライバーとして活躍し、トヨタで3回のチャンピオンを獲得してきた立川が今季限りでGTドライバーから引退することを発表。
ホーム『富士』でのラストレースとなった今大会には、トヨタ自動車代表取締役社長の佐藤恒治もかけつけ、ZENT CERUMOのチームシャツを着用した多くのファンとともに、佐藤もチームシャツを着用して激励を送りました。
イベント広場のTGRブースには、立川が過去にチャンピオンを獲得した2005年シリーズチャンピオン車両のZENT CERUMO Supraおよび2013年シリーズチャンピオン車両のZENT CERUMO SC430が展示されました。また、『富士マイスター』として富士で9勝、ポールポジション11回の輝かしい記録を持ち、富士での最後のレースとなる立川の雄姿を目に焼き付けようと多くのファンが集まりました。
また、エアレース・パイロット、室屋義秀選手によるデモンストレーションフライト『Yoshi MUROYA × LEXUS Air Racing Flight』も行われ、6日(日)は残念ながら悪天候のためキャンセルとなりましたが、5日(土)のデモフライトではサーキットを舞う大迫力のフライトに観客は酔いしれました。
予選
5日(土)は好天に恵まれ、富士スピードウェイは気温33度、路面温度45度と真夏の暑さとなる中で午後3時20分よりノックアウト方式の予選が行われました。
GT500クラスのQ1(10分間)では、上位8台がQ2へと進出します。
石浦がQ1を担当した38号車は早めにアタックに入り、まず1分28秒481でその時点での首位に。ライバルにタイムを更新されますが、石浦も最後のアタックで1分28秒273までタイムを伸ばし、5番手につけてQ2進出を決めました。
前戦で勝利を挙げ、今大会44kgのサクセスウェイトを科された19号車は国本が健闘を見せましたが、0.076秒届かず9番手。午前中のフリー走行でトラブルに見舞われ、エンジン交換という大作業を短時間でこなして予選出走を果たした39号車は関口のアタックも10番手。
山下健太がアタックしたENEOS X PRIME GR Supra 14号車が11番手。笹原の37号車が12番手。ランキング首位で72kgのサクセスウェイトを科された36号車は最後尾15番手に終わり、Q2進出を逃しました。
Q2では今大会が富士で最後のレースとなる立川が38号車のアタックを担当し、7番手となりました。
GT300クラスは、Q1を2グループに分けて実施。それぞれ上位8台がQ2へと進出します。
Q1のA組では、古谷悠河がアタックしたANEST IWATA Racing RC F GT3 50号車が3番手、平中克幸のシェイドレーシング GR86 GT 20号車が4番手に入りQ2へ進出。
三宅淳詞のHACHI-ICHI GR Supra GT 244号車は0.038秒差の9番手。244号車から0.058秒遅れての10番手には小河諒のapr GR86 GT 30号車が続き、惜しくもQ2進出はなりませんでした。
ランキング3位で84kgものサクセスウェイトを搭載する川合孝汰の埼玉トヨペットGB GR Supra GT 52号車は11番手に終わりました。
B組ではベテラン高木真一のK-tunes RC F GT3 96号車が3番手。根本悠生のapr LC500h GT 31号車が4番手、河野駿佑のSyntium LMcorsa GR Supra GT 60号車が6番手。野中誠太のHOPPY Schatz GR Supra GT 25号車が最後のアタックで8番手に滑り込み4台がQ2へと進出。
ランキングトップタイにつけるmuta Racing GR86 GT 2号車は平良響がアタックするも、90kgのサクセスウェイトは厳しく、12番手でQ1敗退となりました。
Q2では小高一斗がアタックした31号車が3番手と好タイムをマーク。清水英志郎の20号車が7番手、イゴール・オオムラ・フラガの50号車が9番手、菅波冬悟の25号車が12番手、新田守男の96号車が13番手、吉本大樹の60号車が15番手となりましたが、31号車は予選後に規定外の燃料を入れていたとして失格になり、4番手以降の順位はひとつずつ繰り上がることになりました。31号車は最後尾から決勝に臨むこととなりました。
決勝
6日(日)朝方は晴れていたものの、午前10時過ぎから雨が降り始め、一時は土砂降りに。その後雨は止み、ウォームアップ走行はやや乾き始めた中で行われましたが、レーススタート前の午後1時過ぎにまた雨が降り始めました。
スタート直前に雨は止んだものの、路面は完全なウェット。全車ウェットタイヤを装着して13時45分にセーフティカー先導で100周、450kmで競われるレースのスタートが切られました。
2周にわたるセーフティカー走行の後、激しい水煙を上げて3周目から本格戦がスタート。後方グリッドからのスタートとなったTGR勢でしたが、10番手スタートの39号車関口がじりじりと順位を上げていき、8周目には8番手、10周目には7番手へとポジションを上げました。
路面は徐々に乾いていき、11周目を終えるとスリックタイヤへと交換するために各車徐々にピットイン。13周を終えたところでピットインした14号車は素早いピット作業で一気に順位を上げました。39号車は14周を終えたところでピットイン。
ここまでのハイペースでの周回が効を奏し、全車が1回目のピットを終えてスリックタイヤに交換した時点で、11番手スタートの14号車が2位、10番手スタートの39号車が3位へと大きくジャンプアップを果たしました。
2番手へと順位を上げた14号車の大嶋は、ペースを緩めることなく首位のARTA 16号車との差を詰めていき、24周目のTGRコーナー(1コーナー)で見事首位を奪取。さらに39号車の関口も2位16号車との差を詰めていきました。
その後方では12番手スタートの37号車笹原が追い上げを見せ、6位へとポジションアップ。
35周目、GT300クラスの244号車から出火したためセーフティカーが導入。41周目に再スタートが切られました。
首位の14号車大嶋がポジションをキープする一方、3番手の39号車関口は42周目のTGRコーナーでアウトから豪快に16号車をパスし2番手浮上。GRスープラの1-2体制となりました。
46周を終えたところで、首位を行く14号車がピットへ向かい、大嶋から山下へと交代。翌周には代わって首位に立った39号車もピットへ向かい、関口から中山へと交代しました。
その後、他の車両もピットへ向かい、最後に37号車が59周を終えたところでピットイン。笹原からジュリアーノ・アレジへとドライバー交代した37号車は、首位に復帰した14号車、2番手の39号車に続く3番手でコースへ復帰。
タイヤが暖まっていないアウトラップで後続の猛追を受けたものの凌ぎ切り、GRスープラが1-2-3体制となりました。
レースが3分の2を迎える66周目、GT300クラスの25号車がコース上で出火し、セーフティカーが再び導入されましたが、消化に時間を要し、レースは赤旗中断に。
この赤旗中断の間に今度は雨が降り始め、土砂降りとなったため、レース再開は2度にわたって延期され、中断から40分ほど経った16時30分に、全車ウェットタイヤへと交換した状態で、セーフティカー先導の下、走行が再開されました。
隊列を整えた後、72周目から残り29周で再び水しぶきを高く上げてレースが再スタート。
再スタート時はGRスープラが1-2-3体制でしたが、ウェットから徐々に乾いていくコンディションの中でライバル勢の追い上げを受けることに。
首位につけていた14号車は、燃料2回給油義務を消化していなかったため、路面が乾き始めた83周目を終えたところでピットイン。給油を行い、スリックタイヤへ交換して勝負にで、ましたが、周回遅れとなってしまいました。
39号車の中山も燃費走行を強いられペースダウンするなど、順位が激しく入れ替わる展開が最後まで続きました。
結局、重いサクセスウェイトで最後尾からのスタートしながら、荒れたレースを粘り強く走り続けた36号車がTGR勢最上位の4位でフィニッシュ。
立川にとって最後の富士となった38号車が5位。37号車が8位、39号車が9位でポイント獲得。14号車は11位、19号車は12位に終わりました。
GT300クラスでは、序盤は12番手スタートの新田が駆る96号車が4番手まで上がったところで10周目にピットインしてスリックタイヤへと交換。しかし、その直後にトラブルに見舞われガレージでの長い修復を余儀なくされ、5周遅れとなってしまいました。
一方、最後尾スタートの31号車も小高がハイペースで追い上げ、全車が1回目のピットを終えた時点で、20号車が5番手、2号車が9番手、52号車が13番手、31号車は14番手まで大きくジャンプアップ。31号車はさらに順位を上げていき、26周目にはトップ10入りを果たしました。
31周目、21番手を走行していた244号車から出火してセーフティカーが導入。ドライブしていた佐藤は無事脱出しましたが、レースはここで終えることとなりました。
再スタートが切られると、8番手につけていた小高の31号車は、前を行く清水の20号車をパスし7番手へ。31号車は5番手まで順位を上げ、50周を終えてピットイン。根本へとドライバー交代を行いました。この際のピット作業でややタイムをロスし、全車が2度目のピットを終えた時点では、平中に変わった20号車が6番手、31号車は8番手へと後退。
66周目、今度は野中がドライブしていた25号車から出火。野中は無事脱出しましたが、車両の消火に時間がかかったこともあり、レースは赤旗中断となりました。
この中断の間に雨が降り始め、40分ほどを経て全車ウェットタイヤに交換して再スタート。20番手を走行していた50号車は、3人目のドライバーとして登録されているTGR-DC支援ドライバーの小山美姫へとドライバーチェンジ。小山にとって初めてスーパーGTの公式戦ドライブは、スーパーGTとしても12年ぶりの女性ドライバーの出走となりました。
レース終盤は、ウェットから徐々に乾いていく難しい路面コンディションで、各チーム様々な戦略を採り、目まぐるしく順位が入れ替わる展開に。
この乱戦のなか、31号車は最後尾スタートから21台抜きの5番手でフィニッシュ。52号車が9番手、60号車は4番手でチェッカーを受けましたが、レース後、他車への接触に対して40秒加算ペナルティを科されて10番手でポイント獲得を果たしました。