更新日: 2023.08.09 21:25
ホンダ 2023スーパーGT第4戦富士 レースレポート
Modulo NSX-GTとARTA MUGEN NSX-GT(#16)が2-3位で表彰台獲得
8月5日(土)~6日(日)、富士スピードウェイ(静岡県)で2023年度スーパーGTシリーズ第4戦が開催され、GT500クラスに5台の2023年型NSX-GT、GT300クラスに2台のNSX GT3が出走しました。
7月から記録的な猛暑が続くなか、今回のレースは前回に引き続き、決勝レースの走行距離が標準の300kmからその1.5倍にあたる450kmの長距離イベントとして開催されました。これにともない、決勝レース中に2回の給油ピットストップが義務づけられます。
また、8号車 ARTA MUGEN NSX-GT 野尻智紀/大湯都史樹組には、トレーニング中に負傷した大湯の体調をサポートするため、第3ドライバーとして木村偉織が登録されました。
レースウイークの富士スピードウェイには、搬入日の金曜日から夏の太陽が照りつけ気温、路面温度とも上昇してハードなコンディションとなりました。公式予選が行われる土曜日も朝から晴天となりました。
照りつける太陽が傾き始めた15時53分から10分間の公式予選Q1セッションが行われ、午前中のフリー走行から好調だった16号車 ARTA MUGEN NSX-GT 福住仁嶺/大津弘樹組がトップタイムを記録したばかりか、出走した5台のNSX-GTが全車8番手以内に食い込みQ2セッションへ進出しました。
Q2セッションの結果、スターティンググリッドは2番手に16号車 ARTA MUGEN NSX-GTがつけ、3番手に8号車 ARTA MUGEN NSX-GT、5番手に17号車 Astemo NSX-GT 塚越広大/松下信治組、6番手に100号車 STANLEY NSX-GT 山本尚貴/牧野任祐組、8番手に64号車 Modulo NSX-GT 伊沢拓也/太田格之進組が続きました。
翌6日(日)も朝から快晴となりましたが、午後には天候が急変するとの予報があり、難しい状況で決勝レースを迎えることになりました。予報通り、スタート直前に雨が降り出し、全車レインタイヤを装着した上、セーフティカー先導で水しぶきの中スタートが切られました。
2番手スタートの16号車 ARTA MUGEN NSX-GT、3番手スタートの8号車 ARTA MUGEN NSX-GTとも序盤はペースが上がらず、順位を少しずつ落としていきました。その一方で、雨脚が弱まり急速に路面が乾き出したため、10周目ごろからドライタイヤへ交換するチームが続出。コース上の順位は大混乱に陥りました。17周を過ぎてGT500クラス全車がドライタイヤへの交換が終わった段階で、レース序盤に苦戦していた16号車 ARTA MUGEN NSX-GTがトップに立ちました。
35周目にはGT300車両の火災によりセーフティカーが導入されるなど、波乱の展開をみせる中、NSX-GT勢は燃費も考慮した着実なペースで走行を重ねていきました。
レースも折り返しを過ぎ、先頭車両が66周目を走っている際、コース上では再びGT300の車両火災が発生し、レースは赤旗中断。さらに、その消火作業中に天候が悪化し、雨が降り始めました。これによりコース上で停車している車両のタイヤ交換が許され、全車がレインタイヤへ交換を行い、レース再開に臨みました。
16時30分、レースの再スタートが切られると16号車 ARTA MUGEN NSX-GTが徐々にペースを上げ、前を走る車両を次々とオーバーテイク。
給油が必要だった上位車両がピットインしたこともあり、83周目には2番手へと浮上しました。また、その後方では100号車 STANLEY NSX-GT、64号車 Modulo NSX-GTが順位を上げて16号車 ARTA MUGEN NSX-GTに続きました。
最終的に16号車 ARTA MUGEN NSX-GTは2番手で100周を走りきってチェッカーフラッグを受け、100号車 STANLEY NSX-GTが3番手、64号車 Modulo NSX-GTが4番手でフィニッシュしました。
ところがレース後、16号車 ARTA MUGEN NSX-GTと100号車 STANLEY NSX-GTに『給油中のタイヤ交換作業ミス』があったことが判明し、競技結果に対して40秒加算のペナルティーが下されました。正式結果では64号車 Modulo NSX-GTが繰り上がって2位入賞することになり、16号車 ARTA MUGEN NSX-GTは3位となりました。
●佐伯昌浩 HRC SGT Large Project Leader
「今回のレースに向けて前半3戦を振り返り、NSX-GTのポテンシャルには確信を持てていたので、今回はしっかり上位を独占して、チャンピオンシップの中心に入ろうという目標を設定していました」
「その狙い通り昨日の予選では全車Q2に残れました。決勝に関しては、ポイントランキングトップにいる3号車と、それに続く36号車の前でレースをフィニッシュすることを目標としていました」
「しかし、レースが荒れたこともあり、36号車の前では終われましたが、3号車には届きませんでした。後半戦に向けもう一回立て直して、しっかりポイントを稼ぎ、最終戦ではチャンピオン争いの中心に入れるようにがんばっていきたいと思います」
福住仁嶺 ARTA MUGEN NSX-GT
「レインタイヤでスタートすると、すぐにタイヤがドライアップして苦しい走りになってしまいました。ただ、前半こそきつかったものの後半はそれほど悪くないという手応えもあって、一番よいタイミングでスリックタイヤに変えられました」
「その後いったん14号車、39号車に抜かれてしまいましたが、2台ともピットインしたときの燃料給油が短そうに思えたので、あわてませんでした。荒れたレースの中、大津選手に代わってからも、ウエットコンディションになって難しいレースになりましたが、ここで結果を残せてよかったです」
「もちろん優勝したかったのですが、今まで調子が悪くはないのにうまくいかないレースが続いたので、今後に向けてよい流れがつくれたのではないかなと思います」
大津弘樹 ARTA MUGEN NSX-GT
「スリックタイヤで走っているときはあまりペースが上がらず、『これは厳しいかな』とも思ったのですが、赤旗中にレインタイヤへ交換することができました」
「レース再開後の最初のうちは、あまりタイヤがグリップせず8号車の野尻選手に抜かれ、差も広がってしまったのですが、チームからも(福住)仁嶺からも『後半になればペースが安定してくるだろう』というインフォメーションを受けていたので、あわてずしっかりと自分の順位を守ることに集中して走れました」
「そのうち前のペースがどんどんと落ちてきたので、チャンスを見逃すことなくがんばって前に出ることができました。そこからもかなり調子がよく、路面の水を選びながら、タイヤもケアして走って良い結果につなげられました」