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投稿日: 2023.08.27 20:25
更新日: 2023.08.27 20:30

大津弘樹GT500初優勝、ホンダ今季初勝利を16号車が飾る。2位フィニッシュのMOTUL Zは失格【第5戦GT500決勝レポート】


スーパーGT | 大津弘樹GT500初優勝、ホンダ今季初勝利を16号車が飾る。2位フィニッシュのMOTUL Zは失格【第5戦GT500決勝レポート】

 そんななか、トラック上では気合のこもった走りを続ける38号車ZENT立川が、15周目のターン1で64号車を捉え、表彰台圏内の3番手に浮上する。さらに18周目突入でピットに向かった14号車ENEOS X PRIME GR Supraは、ここで山下健太から大嶋和也にドライバーをスイッチする判断をみせ、ドライバーあたりの義務周回数の関係から、最後のスティントはふたたび山下に戻す戦略を採用。一方、ここまで首位を快走した23号車は続くラップで31.4秒の静止時間で作業を終えたものの、引き続きロニー・クインタレッリのままコースへ戻っていく。

 コース上ではピット未消化でレース距離3分の1のセオリーまで行こうという上位5台に対し、先行して1回目の義務を消化した16号車がヘアピンのブレーキングで19号車WedsSport ADVAN GR Supraをオーバーテイク。実質首位のクルマがポジション上でも5番手を奪っていく。

 さらに3分の1となる26周を過ぎ、ようやくドライバーでのピットウインドウが開こうかというタイミングで、最初の『FCY中にピットインした』と判定された24号車のみ60秒ストップのペナルティが宣告されることに。これで同ラップで飛び込んだ2台のうち、先頭だった16号車とは大きく明暗が分かれてしまう。

 27周目からは64号車Moduloと19号車WedsSport、続く周回で暫定首位にいた17号車Astemoと同2番手の38号車ZENTがルーティンのドライバー交代へ。これで鈴鹿ラストランを終えた立川は、コース上での2番手から石浦へと襷(タスキ)を繋ぐ。

 30周目突入で最後まで引っ張っていた36号車auの宮田莉朋は、ここで我慢の仕事を終えて坪井翔にバトンタッチ。これで首位に16号車ARTAの大津が返り咲き、背後には23号車クインタレッリと、狙いどおりの挽回を見せる3号車の千代が続くトップ3と変わる。

 ただしさらにその後方からは130Rをハミ出しながら猛追してきた39号車DENSO関口が詰め寄り、32周目のターン1で3号車Zのアウトから並走。そのまま2コーナー立ち上がりの加速勝負で「3ランクダウンには負けられない」とばかりに、車体を震わせながら前に出る。

 その後も直線速度の如何ともし難い差に苦しめられた千代は、34周目のスプーン脱出からバックストレートで14号車ENEOS X PRIMEと100号車STANLEYに一気に先行されると、続くシケインで17号車Astemoの塚越広大にも抵抗できず。さらに35周目のターン1までに37号車Deloitte TOM’S GR Supraや64号車Moduloにもオーバーテイクを許す苦しい展開となってしまう。

 最終的に12番手まで後退した40周目にピットへ向かった3号車は、ここで49.3秒の静止時間でフィニッシュを目指した給油作業を実施。残るスティントを高星明誠に託す。またZENT石浦がルーティンに飛び込んだのを見て、42周目には17号車Astemoの松下も反応して2回目のピットへと向かう。

 さらに同43周目で2番手にいた23号車は、43.3秒の静止時間でクインタレッリから松田次生にスイッチ。いよいよ自身が第3戦で味わった苦しさを振り払うための勝負に向かう。これが呼び水となり、続くラップで39号車DENSOも中山雄一に、45周目には首位を守り続ける16号車ARTAも福住仁嶺へと交代し、51.7秒の作業給油時間でラストスティントに挑んでいく。

 続く周回以降も前半のダブルスティントを終えた組が続々とピットへ向かい、交代時点で3番手まで挽回する力走を披露した100号車山本から牧野任祐へ。全車義務ルーティン消化まで、残るは暫定首位の1号車と36号車の2台……となった50周目。ここでふたたびGT300車両でタイヤ脱落のアクシデントが起き、この日2回目のFCYが発動する。

 約5分ほどで車両回収が終わり51周目にレースが再開されると、暫定首位だった1号車がピットへ入り、ここで平峰一貴に。55周目には2番手で粘り抜いた36号車au坪井も給油に向かい、そのままダブルスティントに臨む。これで実質の首位16号車ARTA福住の背後には、約10秒後方に23号車MOTUL AUTECH松田、さらに35秒後方に39号車DENSOの中山と変わる。

 その背後では熾烈なバトルが勃発し、17号車Astemoの塚越と38号車ZENT石浦を挟んで、さらに背後から44周目のピットで“スタート&クローザー”の変則スティント担当となった14号車ENEOS X PRIMEの山下が猛然と前に襲い掛かる。

 この4台による3番手……最後の表彰台争いで、山下は58周目のシケインに飛び込み前に詰まっていた先輩石浦を仕留めると、続くラップのデグナーで先を急いだ17号車塚越がGT300車両と交錯。その失速もあってみるみるうちに山下が4番手へと進出していく。

 ここからテール・トゥ・ノーズで39号車との陣営内バトルに挑む構えだった14号車だが、62周目には後続でのバトルで右フロントを破損した8号車ARTAの大湯都史樹がコースオフ。なんとかピットまでと走行を続ける8号車のNSX-GTだったが、このトラブルで3度目のFCYが発動する。

 これで62周目以降の仕切り直しとなったポディウム争いは、最終的に7番手まで連なった5台がこう着状態となり、最後尾の“チャンピオン”平峰が69周目に石浦を仕留めて6番手とした以外、大きな順位変動はなし。

 最終スティントを通じて約10秒前後のマージンで推移した16号車が77周のチェッカーを受け、NSX-GTが鈴鹿大団円を飾る今季初優勝に加え、大津がGT500初優勝を飾った。2位には第3戦鈴鹿大クラッシュの悪夢を払拭した23号車が続いたが、車検終了後の正式結果でGT500テクニカルレギュレーション3.22.4A『スキッドブロックの規定違反』により失格に。この結果、12番手スタートから終盤まで耐えに耐え抜いた39号車DENSO KOBELCO SARD GR Supraが大躍進の2位となり、3位は14号車ENEOS X PRIME GR Supraとなっている。

2023スーパーGT第5戦鈴鹿 GT500クラス優勝を喜ぶ大津弘樹/鈴木亜久里監督/福住仁嶺(ARTA MUGEN NSX-GT)
2023スーパーGT第5戦鈴鹿 GT500クラス優勝を喜ぶ大津弘樹/鈴木亜久里監督/福住仁嶺(ARTA MUGEN NSX-GT)


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