更新日: 2024.09.19 17:21
T by Two CABANA Racing TOYOTA GAZOO Racing GR86/BRZ Cup 2024 第5戦レースレポート
Rd.4 TOKACHI SPEEDWAY
Qualifying
2024.8.24 SAT
♯7/4th/1’32.944
♯700/8th/1’33.163
♯707/2nd/1’36.734
●路面コンディション:ドライ
●気温:33度、路面温度:47度
予選は堤が4番手、地頭所が8番手で揃ってシングルグリッドを獲得
クラブマンの箕輪は2番手で、開幕戦以来のフロントロー
年間7大会のシリーズ戦で争われる『TOYOTA GAZOO Racing GR86/BRZ Cup』は、シーズンの折り返しとなる第4大会が、北海道の道東にある十勝スピードウェイで開催された。
第3大会の富士スピードウェイでは、プロフェッショナルシリーズのみ『ダブルヘッダー』での開催となったため、今大会はクラブマンシリーズが第4戦、プロフェッショナルシリーズが第5戦となる。十勝スピードウェイは北海道で唯一のFIA(国際自動車連盟)が公認する国際サーキットであり、国内では珍しい起伏の少ないフラットなコース。普段から走行する機会が少ないサーキットのため、レースウィークの限られた時間でコースに合ったセットアップを見つける必要があった。
チームは8月22日(木)から走行を始め、プロフェッショナルシリーズに参戦する堤選手と地頭所選手は、今大会から使用するタイヤがブリヂストンの新型『POTENZA RE-10D』となるため、セットアップの確認を含めたテストを行なった。クラブマンシリーズに参戦する箕輪選手は、十勝スピードウェイが初走行となることと使用する『DIREZZA ZⅢ CUP』が仕様変更されたため、周回を重ねて習熟に努めた。
23日(金)は晴れているが雲も多く、比較的過ごしやすい気候となった。この日はクラブマンシリーズ・プロフェッショナルシリーズともに、特別スポーツ走行が2本、タイム計測を行う専有走行が1本設けられた。14時40分にクラブマンシリーズの専有走行が開始すると、箕輪選手はニュータイヤでコースインして1分36秒848を記録。全体の8番手タイムとなった。15時20分からはプロフェッショナルシリーズの専有走行が始まり、堤選手と地頭所選手はともにニュータイヤでコースインする。堤選手は1分32秒834で10番手、地頭所選手は1分32秒799で9番手となる。堤選手は一度ピットに戻ると内圧を調整して再度コースインし、マシンバランスの確認を行なった。
予選日の24日(土)は、青空が広がり日中の気温が30度を超え、外にいるだけで汗をかく真夏の暑さとなる。夜中に降った雨の影響で朝は路面が濡れていたが、クラブマンシリーズの予選が始まる頃にはドライ路面となっていた。12時05分からクラブマンシリーズの予選が始まると、約半数のマシンがコースイン。箕輪選手もコースオープンとともに走行を開始し、1分36秒734で暫定トップタイムを記録する。予選終盤にコースインした選手の計測が終わると箕輪選手は3番手となるが、2番手タイムを記録した選手に走路外走行の判定があり、決勝レースは2番手グリッドからスタートすることとなった。
クラブマンシリーズの予選から15分間のインターバルを挟み、12時35分にプロフェッショナルシリーズの予選が始まった。堤選手はコースオープンとともにアタックし、ブリヂストン勢では2番手となる1分32秒944を記録。専有走行よりもタイムが伸びなかったが、路面温度が50度に迫っていた影響が大きい。多くのマシンがコースオープンとともに走り出すなか、地頭所選手はピットで待機し、最初にコースインしたマシンのアタックが終わるのを待って動き出す。1周をまとめ切ると1分33秒163をマークし8番手、堤選手は4番手とともにシングルグリッドを獲得した。
Final
2024.8.25 SUN
♯7/3rd/24’13.921
♯700/17th/24’21.805
♯707/15th/23’17.791
●路面コンディション:ドライ
●気温:24度、路面温度:32度
4番手からスタートした堤がスタートを決め、今季2度目の表彰台
地頭所と箕輪はペナルティとトラブルで悔いの残るレースとなる
決勝日の25日(日)は朝から空が雲に覆われ、前日から気温が10度以上下がる肌寒い天候となった。9時25分になるとクラブマンシリーズのコースインが始まり、10分間のスタート進行を経て、9時40分に14周で競われる決勝レースがスタート。
2番手グリッドからスタートした箕輪選手はスタートで少し出遅れ、3番手スタートの#310岡田選手に1コーナーで横に並ばれるが、イン側のラインをキープして順位を守る。レース序盤はトップを走る#311塙選手から1秒ほど離されるものの、中盤以降は箕輪選手が安定して速いレースペースを刻み、トップとのギャップを1秒以内に詰めてプレッシャーをかけていく。ただ、十勝スピードウェイはオーバーテイクするポイントが少ないため膠着状態が続く。レース終盤での逆転を目指したが、10周目を走行中に箕輪選手のマシンにミッショントラブルが発生。トラブル発生以降は大きくペースが落ち込んでしまい、最後まで周回を続けるが15位でレースを終えた。
クラブマンシリーズの決勝レースが終わるとサポートレースの予選が続き、プロフェッショナルシリーズのスタート進行は12時00分から始まる。昼前になると日差しが出始め、上着を脱いでも心地良い気温となった。27台がスターティンググリッドにつき、スケジュール通りの12時10分にプロフェッショナルシリーズの第5戦決勝レースがスタート。
4番グリッドからスタートした堤選手は、スタート直後の1コーナーで#80伊東選手をアウト側からオーバーテイクし、3番手にポジションアップ。2周目に自己ベストとなる1分33秒332を記録し、2番手の#18中山選手を追いかけるが、1秒前後の差をなかなか詰められず、順位をキープして周回を重ねる。レースは順位変動のない拮抗した状況が続いたが、10周目に#80伊東選手のマシンにトラブルが発生。コースサイドにマシンを止めたことでセーフティーカーが導入される。
3周にわたってセーフティーカーが先導すると、ファイナルラップにレースが再開される。堤選手はリスタートのリアクションが遅れて4番手を走っていた#60小河選手とホームストレートでサイドバイサイドになるが、1コーナーのブレーキングで前に出てポジションを死守。3位でチェッカーを受け、今季2度目の表彰台を獲得した。
予選8番手となった地頭所選手は、スタートでやや出遅れたため1コーナーまでにポジションを落してしまう。その後のコーナーでも厳しい位置取りとなりオープニングラップで3ポジションを落す。2周目以降は先行したマシンより速いラップタイムで追っていくが、抜きどころの少ないサーキットなので前に出ることができない。それでも上位勢のマシンにトラブルが出たこともあり、10周目終了時には9番手までポジションを挽回。その後3周のセーフティーカーランがあり、ファイナルラップにレースが再開されると最後まで9番手を維持してチェッカー。しかし、レース中の走路外走行によってペナルティを受け、最終的な結果は17位となった。
Team Staff&Drivers Comment
安藤宏 チームオーナー
「プロの2台は新型タイヤとコースのすり合わせに苦慮していましたが、予選では実力を引き出すことができ、2台ともにシングルグリッドを獲得できました。決勝レースは、抜きどころのないコースなのでポジションの変動は少なかったですが、それでも堤が3位となり今回の状態では最善の結果でした。地頭所はオープニングラップの出遅れが響きました。速さはあっただけに、ペナルティでの降格も非常に残念でした。もう少し丁寧なレースの組み立てと、イメージを良くする環境作りが必要です」
「箕輪は連続での表彰台を目指しました。練習走行では苦戦しましたが、予選では上手くまとめてフロントローを獲得し、目標が掴める位置でした。ただ、決勝レースでは気負いと焦りからミスが出てしまい、マシントラブルを引き起こしました。選手権を考えればもったいないレースで、チームとしても戦略や指示などを再考する必要があると痛感しました」
堤優威 #7 CABANA BS GR86
「今戦から私たちが装着しているブリヂストンタイヤの新型となる『POTENZA RE-10D』が使えるようになりました。十勝のような低μのコースで履くのは初めてで、内圧やマシンのセットアップに苦慮しました。また、レースウィークでの気温差があり、難しさが増しました」
「予選までにさまざまなトライを行ない、4番手となり何とかパフォーマンスを発揮できるところまで持っていけました。決勝レースはスタート直後が勝負だと思っていて、1コーナーまでに順位を上げられました。その後は菅波選手と中山選手のペースに付いていけませんでしたが、厳しい中での3位は価値があると感じています。できれば新型タイヤで優勝したかったですが、次戦では挽回したいです」
地頭所光 #700 DTS WRF/カバナ GR86
「レースウィークの走り出しから感触は悪くありませんでした。ただ、『POTENZA RE-10D』のグリップ性能を発揮させる内圧やセットアップを見つけ出す問題はありました。チームとともに練習走行では大幅なセットアップ変更を行ない、満足はしていませんが課題だった予選での速さはクリアできたと感じています。決勝レースは、ライバル勢と同じようなペースで抜くほどのパフォーマンスはありませんでした」
「接触しないように心掛けて走りましたが、序盤での走路外走行を取られてしまいました。ペナルティを受けないようなクリーンなレースをしているつもりだったので、チームや関係者に申し訳ありません。ただ、パフォーマンスは上がってきているので、次戦ではさらに上位を目指していきます」
箕輪卓也 #707 ミノワファクトリー/カバナ GR86
「十勝スピードウェイは初走行で、コースの特徴と走り方を合わせるのに時間が掛かってしまいました。いろいろな選手や先輩ドライバーにアドバイスを受け、予選までには走り方を定めました。専有走行とコンディションが違いすぎて手応えがなかったのですが、フロントローを獲れたので走り方は間違っていなかったと思います」
「決勝レースはスタートの反応が悪く、1コーナーで3 番手のマシンに迫れられましたがポジションを守れました。レース中盤からはトップに追いつき始め、後半が勝負どころだと思っていました。ただギャップが縮まったところで気合いが入ってしまい、シフト操作が雑になったことで、ミッショントラブルを引き起こしました。自分のミスでレースを台無しにして申し訳ありません。ノーポイントとなったことで、シリーズポイントでは差がついてしまいました。厳しい状況ですが、目標に向かって進んでいきたいです」
山崎登 チーフエンジニア
「今回はプロが新型、クラブマンが仕様変更したタイヤとなり、ともに新しいモデルに替わりました。練習走行では3台ともに適正な内圧やセットアップを見つけるために周回を重ねました。箕輪は想定していたタイムには及びませんでしたが、予選でフロントローを獲得して習熟するスピードは上がっていると感じました。決勝レースでは速さをポイントに繋げられず残念な結果でした」
「プロの2台は路面コンディションに翻弄され、『POTENZA RE-10D』をうまく使いこなすのが難しい状況でした。それでも予選では4番手と8番手でまずまずの結果だったと思います。決勝レースはともにシングルフィニッシュでしたが、地頭所選手のペナルティはチームとしても残念でした。堤選手が3位を獲得でき、ニューモデルのデビュー戦としては良い結果だと感じていますが、上がいるので次戦では3台揃って入賞できるように準備していきます」