モータースポーツ専門誌のauto sport本誌では現在、スポーツカーをはじめ、ホットハッチ、セダン、スポーツクーペなどあらゆる市販ロードカーを“ぶった切る”ピリ辛・市販車インプレッションを不定期連載している。同企画に登場するのは、モータースポーツの中でも、いわゆる“箱車レース”と呼ばれるカテゴリーにおいて、レーシングマシンのベースとなるロードカーたちだ。
今回はそんな『ベースマシン一刀両断!!』シリーズの第11回目、ホンダN-ONE(エヌワン)編をお届けする。
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いま日本でもっとも手軽に参加できるワンメイクレース、N‐ONEオーナーズカップ。2019年は全国8カ所のサーキットで、計14大会が開催されるこのレースで活躍するホンダN‐ONEは、N360譲りの丸型ヘッドライトが外観上の大きな特徴だ。
“ファニー”なイメージで、その印象はサーキットでも相変わらず優しいN‐ONE。ホンダが得意とするスポーツ志向グレードも展開されており、そのなかでももっともスポーティなモデルがおなじみの『RS』だ。各『RS』間に共通性が見受けられるが、それぞれの車種に合わせて仕立てられている。逆に言えば方向性が統一されておらず、走り味はバラバラである。
2012年に登場したN‐ONEだが、全高は1610mmだった。これでは立体駐車場に入れないということで、ルーフ形状を変更し、さらに車高を10mm落として合計65mm低くなったLOWDOWNシリーズを2015年のマイナーチェンジで追加。『RS』はそのLOWDOWNのパッケージを使い、2017年末のマイナーチェンジで登場した、比較的新しいモデルになる。
そもそもNシリーズはN‐BOXが最初に登場し、その後N‐ONE、N‐WGNと続いた。ドライバビリティに優れ、660ccなのに3000rpm以上使わなくても交通の流れをリードできる力強いエンジン、低床プラットフォームとセンタータンクレイアウトによる広々とした室内は共通だ。
しかしスッキリしたステアリングフィールや、サスペンションの滑らかな動きによる乗り心地の良さから、先発のN‐BOXが優位という不思議な状況である。後発でボディが低い兄弟車のほうが良くないのは、やはりコストダウンの影響か。