スーパーGT ニュース

投稿日: 2023.10.20 14:17
更新日: 2023.10.20 14:48

apr GR86 GT 2023スーパーGT第7戦オートポリス レースレポート


スーパーGT | apr GR86 GT 2023スーパーGT第7戦オートポリス レースレポート

2023 AUTOBACS SUPER GT Round7
AUTOPOLIS GT 450km RACE
Round 7 オートポリス
apr GR86 GT
開催地:オートポリス(大分県)/4.674km
10月14日(予選)
天候:曇り コースコンディション:ドライ 観客数:6500人
10月15日(決勝)
天候:曇り コースコンディション:ドライ 観客数:13500人

 全8戦で争われるスーパーGTは、いよいよ佳境に差し掛かった。

 シリーズ第7戦の舞台、オートポリスは、九州唯一の公認サーキットであり、また周囲が緑で囲われていること、さらにホームストレートの外側にピットが設けられていることから、何か異国の雰囲気を漂わせている。

 走りにはリズムを要し、走り甲斐があると語るドライバーは多いが、セクター3と呼ばれる上り区間は絶えずステアリングを切って走らなくてはならず、タイヤへの攻撃性の高さでもお馴染みだ。

 今年もaprは2台体制で臨み、トヨタGR86を30号車として走らせる。投入から2シーズン目となる『apr GR86 GT』は、ドライバーに永井宏明選手、織戸学選手、上村優太選手、小河諒選手の4名を登録。今回は450kmレースとあって、永井選手と織戸選手、上村選手の3人で戦う。使用するタイヤはヨコハマだ。

 スポーツランドSUGOでの第6戦は、23番手からのスタートとなったが、決勝でしっかり順位を上げる、いわゆるレースの強さをすでに証明しているだけに、SUGOでも……と思われていた。

 ところが、序盤の接触によってフロントスポイラーを痛めてしまう。それでもチームは諦めずに修復、完走扱いにはならなかったものの、最後まで走ることができた。

 何よりセットを改めたことで、今後に向けたデータ蓄積もでき、そのあたり間違いなく今回のレースに活かされるはずだ。

 今回はオートポリスで初めての450kmレースとあって、第3ドライバーには上村選手を起用。第7戦ということでサクセスウエイトは半減されるが、それでもランキング上位陣はそれなりの重さで臨むなか、3kgだけという強みを今回こそ武器としてほしいところだ。

公式練習
10月14日(土)9:25~11:00

 舞台を阿蘇山中の高地にあるオートポリスに移動し、また10月もなかばに差し掛かると、もう肌寒さすら感じるまでとなっていた。

 心配された天気は未明に雨が降り、公式練習の開始早々は路面の一部に水を残していたが、『apr GR86 GT』が本格的に走行を開始する頃には乾いていた。なお、開始時の気温は16度、路面温度は18度だ。

 今回の公式練習は、永井選手から走行を開始。コースオープンとともにピットを離れるも、すぐにピットに戻り、その間に赤旗が出され、再開されたところから本格的に走り始める。

 まずは1分48秒099を永井選手はマークする。続いて乗り込んだのは上村選手だ。計測走行は3周だけながら、1分48秒234を記録する。今回はピットに留まっている時間が長かったが、それは持ち込んだタイヤが低い温度に対応しきれておらず、セットアップに『あの手、この手』を尽くしていたためだ。

 ラストのクラス専有走行が近づいたタイミングで、織戸選手もコースイン。しかし、セットアップを優先していたことから1分48秒688を出すに留まり、公式練習の最終的な順位は25番手だった。

 この後のFCY(フルコースイエロー)テストでは織戸選手が、サーキットサファリでは永井選手が走行して、マイレージを稼ぐとともに予選、決勝に向けたチェックが実施された。

2023スーパーGT第7戦オートポリス apr GR86 GT(永井宏明/織戸学/上村優太)
2023スーパーGT第7戦オートポリス apr GR86 GT(永井宏明/織戸学/上村優太)

公式予選Q1
10月14日(土)15:18~15:28

 今回もB組から予選に臨む『apr GR86 GT』は、上村選手がQ1を担当した。気温は18度に、路面温度も25度にまで上がっていただけに、公式練習よりはコンディションが向上していたと言ってもいいだろう。

 もちろんタイヤのウォームアップは入念に行われ、上村選手は計測3周目からアタックを開始する。まずは1分45秒033をマークし、さらに渾身の力を込めた、次の周には1分44秒776にまで短縮を果たしたものの、Q1突破にはコンマ3秒及ばず。

 9番手に甘んじ、Q2に待ち構える永井選手に、またしてもバトンを渡すことができなかった。

永井宏明選手

「もうちょっとなんですけどね。公式練習の時と比べたら、車は良くなっていると思うのですけど、あと1歩届かず。上村くんも頑張ってくれましたが、決勝で追い上げられるように、もう1度チームで考えて、明日に向けてセットアップを改善したいと思います」

織戸学選手

「持ち込みからちょっとタイヤに温度があっていないね、想定していたより低すぎて。僕らの車だと、ちょっと足りない、太陽も足りない。根本的には、そこが1番」

「予選までに合わせ込んで、少しは良くなっていましたが。バランス自体は悪くないけど、温度レンジが合わず苦しんでます、みんな。明日、温度が上がったら、間違いなく決勝は面白くなると思うので、頑張ります」

上村勇太選手

「悔しいです、ぎりぎりあかんかったです。公式練習はセットアップ作業に専念だったので、そのなかで予選に向けて、車はいろんなことを調整していって、まあ右肩上がりで予選を終えたと思っています」

「明日は18番手からのスタートですが、450㎞と長い距離なので何があるか分からないので、一生懸命走りたいと思います」

金曽裕人監督

「セットアップを進めているなかで、オートポリスはタイヤに非常に厳しいコースだというのは分かっていましたが、テストもないなかで持ってきたタイヤが今日の気候にはちょっと硬めで、それに合わせていろんなセットアップを進めていました」

「でも、いろいろやって『ぎりぎりQ1通るかも』というレベルでしたが、ギリギリ通らずで……。現状のパフォーマンスとして1発は出にくくなっていますが、その代わりロングランはすごくいいので、決勝は期待してください」

2023スーパーGT第7戦オートポリス apr GR86 GT(永井宏明/織戸学/上村優太)
2023スーパーGT第7戦オートポリス apr GR86 GT(永井宏明/織戸学/上村優太)

決勝レース(97周)
10月15日(日)13:30~

 今回も決勝のスタートは、永井選手が担当。直前のウォームアップも永井選手から走り始め、1周の計測の後、ドライバー交代の練習を兼ねて織戸選手に交代、そのまま終了まで走り続けて1分47秒385を記して、このセッションの順位を11番手と決勝のペースは上々の予感。

 その段階での気温は17度、路面温度は25度と、予選の時とほとんど変わらず。できれば、もう少し上がって欲しいところだが……。

 慎重にスタートを切ったことから、20番手からレース開始となった『apr GR86 GT』は、その後もしっかり後続を従えていく。

 今回も給油を伴うピットストップは2回義務づけられ、5周目以降と定められたが、さっそく行うチームもあって順位を上げる。10周を過ぎたあたりからは単独走行となり、ストレスフリー状態で永井選手は周回を重ねていた。

 20周目に『apr GR86 GT』がピットイン。続いてドライブするのは織戸選手だ。

 しかし、期待された温度は上がるどころか、さらに下がっており、織戸選手をもってしても後ろから迫ってくる車に防戦一方となってしまう。

 それでも17番手にまで挽回し55周目に上村選手と交代。チェッカーまでの残り周回を託すこととなった。

 厳しい状態は変わらずながら、若さあふれる走りを見せた上村選手は、70周目に1台をパスし、その後もリードを広げていく。さらに前を行く車両との差を詰めようとするも、そのテールが遠い。

 それでもノートラブルで89周を走り抜き、予選よりもまた順位を上げて16位でチェッカーを受けた。ついに次回は最終戦となる。舞台はモビリティリゾートもてぎで、11月4~5日に開催。

 今季最後の戦いで悔いを残すことなく、しっかりシーズンを締めくくることが期待される。

永井宏明選手

「厳しいレースでしたね。昨日と、ほとんど天候は変わらずタイヤがうまく発動しなかった感じがします。かなり寒かったですから、本来のグリップを得ることが出来ず、天候に大きく左右されることになりましたね」

「次は最終戦、寒い時期でも高いグリップが出せるようにセットアップも更に先に進めます。昨年の茂木は多重クラッシュに巻き込まれ、最後まで走り切れなかった悔しさもあるので、全力で頑張ります」

織戸学選手

「もうちょっと太陽が出て気温が上がってくれれば結果は大きく変わったかと思います。土曜日の段階で、この寒いコンディションにタイヤと車を合わせきれなかったのも痛かったですが、こんなに寒いとは誰も想定できなかったですね」

「もうちょっと、そこでうまくいけば、いいレースできたかもしれない。でも、しっかり完走できたので、あと1戦、頑張ります」

上村勇太選手

「18番スタートから16位。2ポジション上げられたので、良かったと思っています。今回、予選行かせてもらってQ1突破できませんでしたが、けっこう自分なりには、決勝のバランスも良く、いい感じで走れました」

「決勝中もトラブルも何もなく、グリップレベルは低かったですが、とにかくいっぱい走らせていただきました。この経験を活かして、また次の機会も頑張りたいです」

金曽裕人監督

「この気温と、この路面に対して、昨日は、今ひとつ色々なところのマッチングが良くなかった部分はありましたが、それを決勝ではアジャストしてきて、ある程度バランスも良く、帳尻を合わせられました」

「とはいえ、やはり全体的なパフォーマンスをもう少しベースアップしていかないと、バランスが取れて、コンスタントラップが刻めても、低め安定では上位に食い込めないのかな、というところがありました。課題は見えていますので、改善し最終戦はこのままでは終わらせません。ご期待ください」

2023スーパーGT第7戦オートポリス apr GR86 GT(永井宏明/織戸学/上村優太)
2023スーパーGT第7戦オートポリス apr GR86 GT(永井宏明/織戸学/上村優太)


関連のニュース