TKRI 2024スーパー耐久第5戦鈴鹿 レースレポート
TKRI
ENEOSスーパー耐久シリーズ2024 Empowered by BRIDGESTONE
第5戦 SUZUKA S耐
2024年9月28日(土)〜29日(日) 鈴鹿サーキット(三重県)
入場者数:9月28日:6,300人 9月29日:7,900人
直前の雨やトラブルに翻弄されるも
総合力で3位。ランキング首位を堅持
■PRACTICE 特別スポーツ走行/STMO専有走行
9月26日(木)〜27日(金)
天候:曇り/晴れ 路面:ドライ
開幕から全戦2位表彰台というシーズンを続け、ランキングでも95ポイントを積み重ねST-Xクラスの首位につけるTKRI。第4戦から3週間というインターバルで迎えた第5戦の舞台は、三重県の鈴鹿サーキットだ。屈指のドライバーコースであるとともに、中高速コーナーが多く追い抜きが難しい。そんな難攻不落のコースではあるものの、やはり目指したいのは今季初勝利だ。
ただ、今回のレースではライバルでもある#1 メルセデスが復帰し、ST-Xクラスは5台で争われた。ライバルが多ければ上位進出も難しくなる。そんなレースに向けて9月26日(木)の2回の特別スポーツ走行から、チームは3人のドライバーがステアリングを握り、週末へのセットアップを続けた。
好感触のまま初日を終えたTKRI 松永建設 AMG GT3は、走行2日目となる9月27日(金)の2回の専有走行に臨んだ。
午前10時30分からの1回目では、元嶋佑弥から中山友貴、最後にDAISUKEと交代。全クラス混走となった午後2時45分からの2回目は、DAISUKEから中山、元嶋と交代しながら周回を進めた。午前、午後とも2番手と速さは十分にありそうだ。
ただ、課題はDAISUKEが混走でいかにアベレージを掴むか。「ただでさえタイムに悩んでいるところにトラフィックがあるので、やはり難しいです」とDAISUKEは専有走行を振り返った。
■QUALIFY 公式予選
9月28日(土)
天候:曇り 路面/ドライ
1日半の走行を経て、迎えた9月28日(土)の予選日は曇り空で迎えた。午前10時30分からのフリー走行は、DAISUKEから走行。途中、元嶋がステアリングを握りふたたびDAISUKEがドライブし、予選に向けた準備を進めた。
午後2時から行われた公式予選は、まずはAドライバー予選にDAISUKEが出走した。3周目、2分07秒273というタイムを記録するが、今回はライバルが速い。「路面温度も低かったので自己ベストは更新することができましたが、他チームに比べると改善点がありました」とDAISUKEは語った。Bドライバー予選では元嶋が2分03秒172で続き3番手。合算でTKRI松永建設 AMG GT3は4番手で予選を終えた。Cドライバー予選では中山が4番手。あくまで決勝を見すえてチームは公式予選を締めくくった。
■RACE 決勝レース
9月29日(日)
天候:曇り 路面/ウエット〜ドライ
公式予選から一夜明け、迎えた9月29日(日)の決勝日は曇天のもと迎えた。チームは前戦もてぎでの流れを踏まえ、当日朝にDAISUKEをスタートドライバーに決め申請を行った。午前9時45分からはピットウォークが行われ、多くのファンで賑わうことになったが、その頃、TKRIにとってまさかの事態が起きた。鈴鹿サーキットに大粒の雨が降り出したのだ。
路面はたちまちウエットコンディションに転じてしまい、午前11時からのスタート進行時、コースは濡れた状態となった。午前11時45分、フォーメーションラップがスタートするが、路面は乾きかけ。このコンディションではプロがスリックタイヤでスタートするのがベストだった。とはいえ、スタートドライバーは変更できない。DAISUKEはウエットタイヤを履き、1周目にまだ水煙が上がるなか、プロと言えどコントロールに四苦八苦する状況に乗じ、2番手に躍り出た。
ただ、コース上に50台以上が走るだけに、路面は急速に乾いていった。DAISUKEは4周目に#81 GT-Rに先行を許すなどポジションダウン。チームは6周でピットにTKRI 松永建設 AMG GT3を戻し、スリックタイヤにスイッチ。元嶋に交代し追い上げを期した。
このピットインで、ライバルたちとはややピットタイミングがズレることになったが、元嶋はハイペースで追い上げをみせていった。44周目にはピットに戻り、今度は中山に交代。トップ3とのギャップを着実に縮めていくと、首位争いを展開していた#81 GT-Rが130Rでクラッシュしたことに乗じ、3番手に。今度は71周でピットインし、ふたたびDAISUKEがコースに戻っていった。
ただその直後、ふたたび予想外の事態が起きた。ミッションのエラーが生じ、コースサイドにストップしてしまったのだ。チームは急いでDAISUKEにクラッチを切り直す指示を無線で飛ばしたが、その甲斐あって再始動することができた。その後、DAISUKEは元嶋と中山の指導の成果もあり、課題であった鈴鹿でのラップダウンの処理も着実にこなしていくと、96周でピットイン。ファイナルスティントをふたたび元嶋に託した。
ただ、このDAISUKEのピットイン時、三度アクシデントが。ピットレーン速度違反でペナルティをとられてしまったのだ。
元嶋は108周目にペナルティを消化すると、ふたたび追い上げを図ったが、前の2台ははるか前方。3位でフィニッシュすることになった。タラレバは禁物だが、スタートに元嶋を据え、ペナルティやトラブルがなければ、目標の優勝に届く可能性もあった。しかし、三度のアクシデントにも関わらず3位を得られたことは幸運だったとも言える。
このレースでは、DAISUKEも大きな成長を遂げることができた。2024年のスーパー耐久も残すは2戦。この3位により、ランキング首位は堅持した。強力なライバルたちを前に
悲願のチャンピオンをたぐり寄せるべく、TKRIはさらなる成長を目指していく。
■DRIVERS / DIRECTOR VOICE ドライバー&監督コメント
DAISUKE
今回はスタートドライバーを決めた後に雨が降ってきてしまい、2スティントを走ることになりました。専有走行からレースウイークを通じていろんなシチュエーションを経験したので、僕個人としてはとても収穫が多い鈴鹿だったと思います。自分のミスでペナルティを受けてしまいましたが、結果的にチーム力で表彰台を獲得できたのは良かったです。シリーズチャンピオンに向けて残り2戦、大事な戦いがまだまだ続きます。燃える戦いをしっかりと続けていきたいと思います。
元嶋 佑弥 YUYA MOTOJIMA
僕にとっては、ひたすら頑張ってプッシュして前に追いつけ、追い越せで戦ってきたレースでした。結果的にひとりで走ることが多かったですが、どこで何があるか分からないのがレースですからね。トラブルを起こさず走り切ることができたことで、3位に繋げることができたのではないかと思っています。次の岡山国際サーキットは比較的相性が良いサーキットですし、今シーズン一度でも#1 メルセデスに勝ちたいですね。その目標を目指して頑張っていきたいです。
中山 友貴 YUHKI NAKAYAMA
スタートからいろんなハプニングがありましたが、結果的に3位になれたのは良かったです。いちばん難しいコンディションでDAISUKE選手が頑張ってくれましたが、ピットストップが一度増えてしまったことが勝敗を分けてしまいました。またペナルティももったいなかったです。とはいえ、仕方がないことなので、そんな中でも3位だったのは前向きにとらえたいです。#1 メルセデスに先行されてしまったのは悔しいですが、次戦こそ勝てるように頑張っていきたいと思います。
河野 高男 監督 TAKAO KOHNO
雨の予報がなかったので、スタートドライバーにDAISUKE選手を据えたことで辛い展開になってしまいましたが、意外にもロスは少なかったです。またドライブスルーペナルティも受けたこと、DAISUKE選手のスティントでエラーが起きたことを考えると、何もなければライバルを上回るポテンシャルがあったと思います。今回は我々の流れではなかったですが、その中で3位表彰台を得られたのはポジティブにとらえたいですね。岡山も勝つチャンスはあると思っています。