更新日: 2024.10.31 17:53
apr 2024スーパー耐久第6戦岡山 レースレポート
ENEOSスーパー耐久シリーズ2024 Empowered by BRIDGESTONE
第6戦スーパー耐久岡山3Hours Race
開催地:岡山国際サーキット(岡山県)/3.703km
10月26日(予選)
天候:曇り コースコンディション:ドライ 観客数:2800人
10月27日(決勝)
天候:曇り一時雨 コースコンディション:ドライ一時ウエット 観客数:3600人
本来、苦手なはずの岡山で、攻めた、耐えた、粘り抜いた!
今季5回目の表彰台獲得で、最終戦までチャンピオンの希望をつなぐ
2024年、全7戦で争われるスーパー耐久シリーズに、aprは引き続きFIA-GT3によって争われるST-Xクラスに臨む。5シーズン目となるDENSO LEXUS RC F GT3をドライブするのは永井宏明選手、小高一斗選手、嵯峨宏紀選手、そして新たに加わった小山美姫選手だ。小山選手はCドライバーを担当する。
シリーズ第6戦の舞台は、岡山国際サーキットだ。第5戦・鈴鹿サーキットにおいてDENSO LEXUS RC F GT3は昨年の最終戦・富士スピードウェイ以来となる勝利を飾り、小山選手を女性ドライバーとして初めてST-Xクラス表彰台の中央に立たせるという、目標のひとつを達成した。
また、この勝利において最大の目標である、チャンピオン獲得も現実味を帯びてきた。現在、ランキングは3位ながら、2位との差は0.5ポイントでしかなく、1位との差は24ポイントながら、7戦中6戦の有効ポイント制度を考慮すると、決して大差ではない。まずは、ここ岡山国際サーキットで高得点を目指す。
公式予選10月26日(土)14:10〜
今季初優勝を飾った鈴鹿から、ほぼ1か月。チームにはいい余韻が残されていたものの、それに浸り続けている場合ではない。しっかり気持ちを切り替え、岡山に臨んだ。今回のST-Xクラスはスポット参戦の1台を加え、6台がエントリー。より一層気は引きしまる。なお、今回搭載するウエイトハンデは55kgだったが、ST-Xクラスは特別規則によって全車30kg減となり、25kgに。ランキングトップはそれでも55kgだけに、この違いが果たしてどう影響を及ぼすか。
今回は金曜日から走行を開始。いつものように小高選手から走り始め、1分32秒692を記すまでとなったところで永井選手に交代する。セットアップが進められたマシンで周回を重ね、1分34秒497まで永井選手が詰めて最初のセッションを終了。
続いてのセッションでは、小高選手のチェックの後に走行した永井選手が1分32秒076にまでタイムアップ。タイヤをそのままに、再び乗り込んだ小高選手は1分31秒959で順位こそ6番手だったが、トップからコンマ5秒と遅れず。
土曜日午前のフリー走行では決勝想定のセットで臨み、ここでは永井選手から走り始め、1分34秒038を筆頭に、1分34秒台をコンスタントにマーク。最後は小高選手が1分32秒256で締めて、決勝に向けて期待材料を得ることになった。
そして迎えた予選は心配された雨に見舞われることなく、むしろそれまでより高めの温度となっていた。Aドライバー予選において永井選手は、しっかりウォームアップを行い、計測3周目からアタックを開始。まず1分32秒145を記し、次の周には1分32秒001に。ラストアタックで1分31秒974と、自己ベストを更新して3番手につけた。
Bドライバー予選でも小高選手は計測3周目に1分30秒340をマークし、次の周には1分30秒273にまでタイムを絞り出すことに成功。2番手につけて、また永井選手との合算タイムにおいてDENSO LEXUS RC F GT3は、3番手を獲得することとなった。
この後に行われたCドライバー予選で、小山選手が初走行。FIAフォーミュラE選手権の女性ドライバー向けテストに参加することが決まり、シート合わせとシミュレータセッションを行った、ドイツから急ぎ帰国したばかりだったからだ。ユーズドタイヤで、しかもぶっつけ本番ではあったものの、ロングランが許されると1分32秒561を記録していた。
最後にDドライバー予選を走った嵯峨選手は、決勝レースに向けてガソリン満タン状態でロングランを実施。1分33秒317を記録して、あとは予選、決勝を迎えるのみとした。
永井宏明選手
「昨日、2秒フラット入れた時はニュータイヤだったので、今日はもうちょっと出るかなと思ったんですけど、昨日とはコンディションも違っていたので、ちょっとアンダーステアが出ていまして、アジャストがうまいこといかずロスが多かったので、僕がもうちょっと頑張っていたら、もうひとつ順位を前に行けたのかなと思います。ロングもたぶんいいペースで走れるんじゃないかと思っていて、クルマが得意ではないコースの割には、いい手応えを得られています」
小高一斗選手
「なんか今週ずっと、あんまりウォームアップが良くなかったので、計測3周目から行きました。RC Fが苦手な岡山でトップは別ですけど、それ以外の車とは戦えていて、今まで全然戦えていなかったことを思うと、悪くなかったと思います。昨日から感触は良くて、今までの岡山とは違うなと。良かったです」
小山美姫選手
「今週は走っていないし、とりあえず慣れましょうって。でも、なんかフォーミュラEでシミュレータやっていたからか、一応、車載とか見て予習してきたつもりでしたが、いざ乗ってみたら、『やっぱりRC Fってこんな感覚だったっけ?』って感じになりましたね(笑)。今、乗れたので明日は大丈夫です」
「全然攻められなかったけれど、まわりもいたので。今日は何もなかったですね、今日は慣れて、ただ、そのコメントを、クルマの状況だけコメントが欲しいという感じで、いつもだとブレーキ焼いたりしているけど、今日はそういうのがなくて、今日は単に慣れてフィーリングつかんで帰ってきたという感じです」
嵯峨宏紀選手
「決勝に向けてロングを、中古タイヤでガソリン積んでいる状態でテストしました。明日、僕は乗るか分からないですけど、決勝に向けては今までにないぐらい良さそうです。RC Fの特性自体は、このコースに合っていないけど、しっかり戦えそうだなっていう手応えは感じているので、明日、乗ればちゃんと自分の役目を果たしますが、2ピットの作戦上、僕が乗る必要はないと思うので、いいレースになるように期待して見守りたいと思います」
金曽裕人監督
「流れは悪くないですね、クルマとコースの相性は良くないはずなのに。ただ、明日の天気次第なのと、ロングディスタンスがまだ見えていないから、少なくても表彰台の一角に行ければいいかなって、そう考えています。あんまり高望みはしないつもりです。ただ、岡山のセットで、今までで一番いいのを見つけたという気はするので、さぁ、どうなるか? 楽しみにしていてください」
決勝レース10月17日(日)13:30〜
「今回は開幕戦・スポーツランドSUGO以来となる2レース開催で、3時間での戦いとなる。ちなみにドライバー交代を伴うピットストップの義務づけは2回で、Aドライバーの最低義務周回時間は60分だ。心配された天気も、決勝を控えた段階では、まだ大丈夫ではあったが、いつ降り出してもおかしくない状況ではあった。
今回もDENSO LEXUS RC F GT3のスタートドライバーは小高選手。鋭いダッシュを決めて、1コーナーまでに2番手に浮上し、そのままポールの車両を追いかける。自力での逆転も可能なムードがあったが、相手はAドライバーがジェントルマンではないハンデキャップとして、ドライビングスルーを命じられていたから、1周目を終えた段階でピットイン。小高選手は労せずしてトップに躍り出る。
ST-Xクラスは多くをスタート担当にジェントルマンを充てていたことから、ファステストラップを連発しながら小高選手はリードを広げていく。一時は20秒もの差をつけていたが、ドライビングスルーで遅れていた車両が追い上げて、2番手に上がってくると逆に差が詰まっていく。それでも10秒差となったところで、相手はきっちり1時間でドライバー交代。逆にDENSO LEXUS RC F GT3はクラス最長となる、1時間20分を走った45周目、永井選手に交代した。
心配された雨は、実のところスタートから20周経たずに降り出してきたが、ラップタイムに影響をもたらすほどではなかった。2番手でコースインした永井選手は、その時点で3秒ほどの差をつけられていたが、大きく遅れをとることなく安定のラップを刻んでいた。
ところが、間もなく折り返しを迎えようというタイミングで、突然雨が強く降り始める。一時はラップタイムが10秒も落ちる中、永井選手は時にトップを上回るペースで走っていたのは見事の一言。トップは再びほぼ1時間でドライバー交代を行ったこともあり、72周目からDENSO LEXUS RC F GT3はトップに返り咲く。
そして残り47分となった、82周目にピットイン。シートを託されたのは小山選手だ。コースの一部はまだ濡れていたものの、すでに雨はやんでいたこともあり、迷わずドライタイヤをチョイス。この間に3番手に退くこととはなっていた。しかし、コース状況も微妙であったこともあり、チームも小山選手もポジションキープを目標とし、前をいく2台と変わらぬペースで周回し続けることに。
ラスト5分でコースアウトした車両を回収するため、FCY(フルコースイエロー)が提示され、そのままチェッカーが振られる可能性もあったが、ラスト3分で再開。何事も起こらずレースは終了し、DENSO LEXUS RC F GT3は3位でゴールした。
早いもので、次回はもう最終戦。11月15〜16日に富士スピードウェイで、全クラス混走の4時間レースとして開催され、獲得できるポイントが1.5倍となる。つまり、優勝すれば30ポイント加算可能。実際、まだチャンピオン獲得の可能性を残したこともあり、昨年優勝も飾って験もいい一戦で最後に笑うことを誓う!
永井宏明選手
「途中、雨降っちゃって難しかったですけど、まぁ、自分のスティントは無事走り切ったなと思います。表彰台に上がれて、上出来だったんじゃないでしょうか。最終戦、富士で1位が獲れるように、みんなで頑張りたいと思います」
小高一斗選手
「トップがドライブスルーですぐにピットに入ったので、そのままトップに立てました。ペースはあんまり良くなかったんですけど、それなりに帰ってこられたと思います。永井選手も美姫選手も、ふたりともしっかりしたペースで走ってくれて、みんなミスもなく岡山で表彰台に上がれたのは良かったと思います。去年、最終戦は勝っているので、頑張ります」
小山美姫選手
「私が出て行った時、路面は気持ち濡れている程度で、タイヤは新品ではなかったんですが、最初冷えているし、ちょっと怖いなって(苦笑)。今のコンディションでは、タイヤ温まるまで時間がかかりそうだったので、あえて中古に換えたんです。もうちょっと数周なら上げることもできましたが、ドライアップしていく路面でタイヤを使って、なくなったら最後嫌だなと思って、コンスタントに走っていました」
「今週は予選でちょっと走っただけでしたが、逆に言うと雨が降って、コンディションが似たような感じではなくなったので、ずっと走っていたなら、あんまり変わらないコンディションで臨めるのがドライバーとしてはアジャストが楽ですけど、みんなも違うコンディションになって、まだ私には良かったかもしれませんね」
嵯峨宏紀選手
「短時間のレースなので戦略上、僕が乗れなかったのは当然なんですけど、見ている限りレースのペースは後半のタイヤが厳しそうだったので、ちょっと見込みが甘かったのかもしれません。あとトップが速かったので、チャンピオン争いに残っていますけど、スピードをもっと上げていかないと、やっぱり厳しいかなという部分はありそうです」
「正直、今の戦力だとまだ崖っぷちにいるので、富士の最終戦に向けて、今年こそチャンピオン獲れるように、しっかり準備して。最低でも勝たないといけないとは思うので、そこはしっかりやっていきたいと思います」
金曽裕人監督
「全部OKじゃないですか? この環境の中、岡山だとベストリザルトと言ってもいいと思います。今回、実は体調不調のスタッフをいっぱい出しちゃって、混成チームでやりましたが、いい仕事してくれました。永井選手のスティントがいちばん厳しそうで、あそこは本当ならプロに行かせた方が結果的には良かったのかもしれませんが、本人的には楽しかったというから、それでOKだったというか。『面白かった〜』って、ノリノリでしたからね。結果オーライですね。最終戦にチャンピオンつなげられましたし、消化試合にならずに済むのを、とても嬉しく感じています。最終戦はガチンコ対決! 去年は勝っていますからね、楽しみにしていてください」