更新日: 2024.11.04 13:52
TOYOTA GAZOO Racing 2024スーパーGT第8戦もてぎ レースレポート
スーパーGT第8戦もてぎ
MOTEGI GT 300km RACE
坪井/山下組GRスープラが独走で今季2勝目!
石浦/大湯組が3位表彰台獲得
スーパーGTの第8戦がモビリティリゾートもてぎで行われ、3番手スタートの坪井翔/山下健太組au TOM’S GR Supra 36号車が序盤で首位に立つと、その後は独走し今季2勝目。タイトル争いでも大きく差を広げて最終戦に臨むこととなりました。石浦宏明/大湯都史樹組KeePer CERUMO GR Supra 38号車が3位表彰台を獲得し、無念のトラブルでリタイアに終わった笹原右京/ジュリアーノ・アレジ組Deloitte TOM’S GR Supra 37号車と共に最終戦でのタイトル争いの可能性を残すこととなりました。
2024年シーズンスーパーGTの第8戦『MOTEGI GT 300km RACE』が11月2日(土)、3日(日)の両日、栃木県のモビリティリゾートもてぎで開催されました。
例年シーズン最終戦として戦われてきたもてぎラウンドですが、今季は第5戦鈴鹿が台風の影響で12月へ延期となったため、今大会は事実上の7戦目、2024年シーズンは今大会を含め残り2戦となります。このため、サクセスウエイトは通常のもてぎ戦のようにゼロではなく、半減で戦われます。
ここまでの6戦で、坪井翔/山下健太組au TOM’S GR Supra 36号車が開幕戦ポール・トゥ・ウイン。笹原右京/ジュリアーノ・アレジ組Deloitte TOM’S GR Supra 37号車が第3戦と第6戦を制し、ランキングワン・ツー位となっています。石浦宏明/大湯都史樹組KeePer CERUMO GR Supra 38号車も第4戦で3位、第6戦で2位となり、首位と9ポイント差のランキング4位。関口雄飛/中山雄一組DENSO KOBELCO SARD GR Supra 39号車はそして前戦オートポリスで今季初勝利を上げ、首位と14ポイント差のランキング7位。第3戦で2位表彰台などコンスタントにポイントを重ねて来た大嶋和也/福住仁嶺組ENEOS X PRIME GR Supra 14号車も21ポイント差の9位と、最終戦でのチャンピオン争いに生き残るべく、大切な一戦に臨むこととなりました。
2日(土)はあいにくの天候となったものの、3日(日)は好天に恵まれ、秋の過ごしやすい気候のもとで、多くのモータースポーツファンがサーキットを訪れました。
決勝のオープニングセレモニーでは航空自衛隊松島基地のF-2B戦闘機による大迫力の歓迎フライトが行わるなど、多くのイベントで盛り上がりました。イベント広場にはTGRブースが開設され、晴天の下、久々に開催された人気のトークショーの他、LEXUS LBX MORIZO RR、GRヤリスを展示。GR Supra GT500の展示&搭乗体験などのコンテンツも人気を集めていました。
予選
2日(土)は朝から雨模様で、午前中の練習走行は一時的に強まった雨などにより6度も赤旗が出される状況に。しかし、予選の行われた午後には雨脚はやや弱まり、予定されていた午後2時より、気温17度、路面温度19度、ウエット宣言の出されるなかで予選が行われました。
GT500クラスはQ1、Q2の合算タイムで決勝のスターティンググリッドを決定。Q1では14号車の福住が好タイムをマークし、僅差の2番手。大湯の38号車が4番手、関口の39号車が5番手、坪井の36号車が8番手、アレジの37号車が9番手。阪口晴南のWedsSport ADVAN GR Supra 19号車が15番手となりました。
Q2では、各車終盤に次々タイムアップ。ここでは重いサクセスウエイトの36号車山下が見事なアタック。最後の一発にかけた山下はこのセッションでの2番手タイムをマークし、合算で36号車はTGR勢最上位の2列目3番手グリッドを獲得。石浦がアタックした38号車が4番手。大嶋アタックの14号車が5番手。39号車が7番手、37号車が8番手、19号車が15番手グリッドから決勝をスタートすることとなりました。
GT300クラスは、一斉にアタックしたQ1の上位14台と15番手以下の2グループに分けてQ2を実施し、ウエット宣言時の規定により、Q2のタイムで決勝グリッドを決定。
Q1は、難しいコンディションのなかでアタックが繰り広げられましたが、残り8分を切ったあたりで雨が強くなったために赤旗中断。20分ほどの中断の後、残り10分で再開され、各車タイムを更新して行きました。しかし、各車が最後のアタックに入ろうとした残り2分を切ったところで、コースオフして停まった車両があり、赤旗が出され、Q1はそこで終了。
吉田広樹のGreen Brave GR Supra GT 52号車が3番手タイム。イゴール・オオムラ・フラガのANEST IWATA Racing RC F GT3 50号車が 6番手。松井孝允のHOPPY Schatz GR Supra GT 25号車が12番手、中村仁のapr LC500h GT 31号車が13番手でQ2の上位組へ進出。
一方、不運な赤旗のタイミングもあり、高木真一のK-tunes RC F GT3 96号車は16番手。ランキング2位のmuta Racing GR86 GT 2号車の平良響が21番手。吉本大樹のSyntium LMcorsa GR Supra GT 60号車が22番手、清水英志郎のシェイドレーシング GR86 GT 20号車が24番手、小林利徠斗のapr GR86 GT 30号車は27番手でQ2の下位グループへ進むこととなりました。
Q2では、31号車の小高一斗が素晴らしいタイムをマークし、ポールポジションを獲得。小高自身にとっては4年ぶり3回目、LC500hにとっては初めてのポールポジションを獲得しました。古谷悠河の50号車が10番手。野中誠太の52号車が11番手。菅波冬悟の25号車が14番手。下位グループでは平中克幸の20号車がトップタイムで15番手グリッド。以下2号車が16番手、96号車が19番手、60号車が20番手、30号車が24番手となりました。
決勝
3日(日)天候は一転して朝から快晴に恵まれ、午後1時、気温21度、路面温度29度の下で、栃木県警の白バイ、パトカーによるパレードラップ、フォーメーションラップを経て63周で争われる決勝のスタートが切られました。
スタート直後、2列目3番手グリッドの36号車坪井が前の車両に並びかけるも抜くには至らず。7番手スタートの39号車関口が5位へ、8番手スタートの37号車笹原が7位へ順位を上げる一方、5番手スタートの14号車大嶋は8位へとポジションダウン。
6周目に停止車両がありフルコースイエロー(FCY)が出され、再開後まもなく9周目にも再度FCY。3位の36号車坪井は前を行くARTA MUGEN CIVIC TYPE R-GT #8号車をレース再開のタイミングをうまく使ってパス。2位へと順位を上げると、その勢いのまま11周目には首位を行くModulo CIVIC TYPE R-GT 64号車もかわし、首位に立ちました。
一方で8位を走行していた笹原の37号車は、エンジン点火系トラブルに見舞われ緊急ピットイン。そのまま修復のためにガレージインを余儀なくされ、上位争いから無念の脱落となってしまいました。
首位に立った36号車坪井はハイペースで周回を重ね、後続との差を広げていきました。4番手からスタートした石浦の37号車も上位争いを展開。16周目に3位に上がると、翌周64号車もかわして2位へ。GRスープラのワン・ツー体制となりました。
22周目、2位の38号車がまずピットイン。38号車は大湯へドライバーチェンジ。翌周には14号車、そして24周目には首位の36号車と39号車もピットへ向かいました。36号車は、坪井から山下へとドライバーチェンジ。余裕を持って首位のままコースに復帰しました。
全車がピットを終えて、36号車が首位、38号車が2位。39号車の中山は、タイヤの温まっていないアウトラップで後続から猛追を受けるも5位をキープ。14号車も7位でさらに上位を伺いました。
首位を逃げる36号車山下は、2位との差を18秒ほどまで広げ、そのマージンをキープしながらの周回。レースの中盤戦は各所で接近戦は繰り広げられるものの、順位の変動は無いまま周回が重ねられていきました。
45周目、再三にわたって前を行くSTANLEY CIVIC TYPE R-GT 100号車を攻めていた14号車の福住がこれをパスして6位に浮上。福住は他車よりも速いペースでさらなる追い上げを図りました。しかし、残り10周というところで14号車は突然のスローダウン。無念の戦線離脱を余儀なくされました。
2位を走行していた38号車の大湯は後半ペースが厳しくなり、53周目に8号車にかわされ3位へと後退。さらに終盤はARTA MUGEN CIVIC TYPE R-GT 16号車からの猛追を受け、最後までこの2台による表彰台を賭けた攻防戦が繰り広げられました。
首位を行く36号車は最後まで20秒ほどの差を保ったままトップチェッカー。開幕戦に続く今季2勝目を挙げました。38号車は苦しみながらも逃げ切って3位でチェッカー。今季3回目の表彰台を獲得。この結果、ドライバーズランキングでは首位の36号車と22ポイント差の3位へと浮上。今大会リタイアに終わるもランキング4位につける37号車とともに、最終戦での逆転タイトルの可能性を残すこととなりました。39号車も5位のポジションを守ってフィニッシュしました。
GT300クラスでは、ポールポジションからスタートした中村の31号車が前半戦はポジションをキープ。ランキング2位でタイトルを争う2号車の平良は、16番手スタートからふたつポジションを上げ、先陣を切って18周目にピットイン。タイヤ無交換で堤が長い後半を戦う作戦としました。
GT300クラスも多くの車両が早めのピット作戦を採り、首位の31号車も19周目を終えたところでピットイン。こちらもタイヤ無交換で小高へとドライバー交代を行いました。しかし、後半に入ると31号車はタイヤが厳しくなりライバルの先行を許しポジションダウン。さらに49周目には、バトルを繰り広げていたGT500クラス車両の接触の巻き添えを食うかたちでコースアウト。ポイント圏外へと大きく順位を落とすこととなってしまいました。
GT300クラスでのTGR勢最上位フィニッシュは、52号車の7位。31号車は惜しくも入賞を逃す11位。60号車が12位、2号車は13位、96号車が14位に終わりました。
au TOM’S GR Supra 36号車ドライバー 坪井翔
「3番手スタートでしたが、後半スティントが長くなるのはわかっていたので、少しでも楽な状態で山下選手にバトンタッチできるよう、自分のスティントでトップに立ちたいとは思っていましたが、あんなにうまくいくとは思っていませんでした。本当にクルマも良かったし、朝のフリーからこれはいけるんじゃないかという自信もありました」
「ワンリス(燃料リストリクター1段階)ダウンなので、やっぱりストレートでちょっと遅いのはしょうがないかなとは思ったのですが、FCYのタイミングとかうまく利用して抜くことができました。自分のスティントでトップに立ち、10秒ぐらい後続との差を開いて山下選手にバトンタッチをすることができたので、スティントとしては良かったと思います」
「その後また山下選手も10秒ぐらい後続を引き離してくれたので、こんなにうまくいっていいのかなというレースでしたが、本当に優勝できてよかったです。次戦鈴鹿は、まずはチャンピオンを取ることが一番ですが、やっぱりノーウエイトのガチンコ勝負で僕らが速いぞというのを示せるチャンスでもあると思いますし、開幕戦で勝てましたので、最終戦も勝ってチャンピオン決めるというところを目標に戦えば、ミスなくできると思うので、とにかく勝ちを目指して頑張ります」
au TOM’S GR Supra 36号車ドライバー 山下健太
「自分は後半スティントを担当したのですが、坪井選手が10秒もの差を築いてトップで帰ってきてくれたので有難かったです。ピットストップも早かったし、タイヤのウォームアップも良かったので、結構余裕を持ってドライブすることができました」
「クルマも良かったので、20秒差をつけて優勝できたのですが、ワンリスが入ったもてぎで勝てるとは思ってなかったし、こんなにうまくいっていいのかっていうくらい完璧なレースでした。本当に優勝できて嬉しいですし、みんなに感謝です。最終戦鈴鹿には、18点差という結構なマージンを持って挑むことができますが、最後もしっかり3勝目を飾って今シーズンを終えられるように頑張ります」
KeePer CERUMO GR Supra 38号車ドライバー 石浦宏明
「今日は前半を担当しました。サクセスウエイトを考えれば良いレースができたと、自分たちのなかではベストは尽くせたと思うのですが、36号車がもっと重いのにあれだけ速かったので、ちょっとそこは悔しいレースでした」
KeePer CERUMO GR Supra 38号車ドライバー 大湯都史樹
「ファーストスティントで石浦選手が追い上げてくれてバトンを渡していただいたのですが、セカンドスティントはちょっとペースに苦しみながらの展開となってしまいました。かなり苦しかったのですが、なんとか粘って表彰台は取ることができました。その結果、鈴鹿に向けてまだ一応チャンスはあるということで、鈴鹿も全力で臨みます。まだ優勝ができてないので、そこを目指して頑張りたいと思います」