#31 TOYOTA PRIUS apr GT スーパーGT第3戦オートポリス レースレポート
AUTOBACS SUPER GT 2017 ROUND 3オートポリス
開催地:オートポリス(大分県)/4.674km
5月20日(予選)天候:晴れコースコンディション:ドライ 観客数:1万0470人
5月21日(決勝)天候:晴れコースコンディション:ドライ 観客数:1万8200人
戦術駆使して追い上げ果たすはずも、アクシデントに遭遇。無念のリタイアを喫す
全8戦で争われるスーパーGTシリーズの第3戦、「SUPER GT in KYUSHU 300km」がオートポリスで開催された。今年もaprは2台のトヨタプリウスZVW51を走らせ、「#31 TOYOTA PRIUS apr GT」を嵯峨宏紀選手と久保凛太郎選手に託すこととなった。
今年は「#31 TOYOTA PRIUS apr GT」に限らず、JAF-GT勢が窮地に立たされている。BoPによる縛りが厳しく、FIA-GT3勢に対して互角の勝負を許されていないからだ。
岡山国際サーキットでの開幕戦こそ10位で、入賞を許されたものの、続く富士スピードウェイでの第2戦では予選でQ1突破を許されず、決勝では12位でのゴールがやっとという状況……。
今回からFIA-GT3勢に対してはBoPが見直され、ほとんどの車両にウエイト追加が命じられたものの、JAF-GT勢に関しては一切変更なし。そのことが果たしてどう、戦況に影響を及ぼすのか。
本来ならば、今回の舞台オートポリスはアップダウンに富んだテクニカルコースだけに、旋回性能に優れるJAF-GTに有利ではある。絶えずハンドルを切り続けていることでタイヤへの攻撃性も高いが、その点で言っても遥かにFIA-GT3勢より有利なはずなのだが。期待と不安を抱いて、ドライバーやチームスタッフはサーキット入りすることとなった。
公式練習 5月20日(土)9:00~10:35
昨年のレースは熊本地震の影響により、中止となっていたオートポリスでのスーパーGT。今回は2年ぶりのレースとなるため、どうしてもデータが不足がちだが、「#31 TOYOTA PRIUS apr GT」は4月に行われたタイヤメーカーテストに参加しており、そのあたりの準備は万端。持ち込みセットも決まっていたことから、公式練習はメニューどおりスムーズにこなされていった。
サーキット上空に青空が広がって強い日差しが注がれ、やや温度も高めのコンディションの中、最初にステアリングを握ったのは嵯峨選手。セッション開始と同時にコースインし、すぐにピットに戻ってくる。
10分ほどの調整後、再びコースに入ってまもなく嵯峨選手は1分45秒915をマークし、これが公式練習におけるベストタイムとなった。途中2回の赤旗中断があったが、それ以外は2回ピットに戻っただけで、順調に周回が重ねられていく。
そしてラスト20分というところから、久保選手のドライブに。GT300単独セッションの直前にいったんピットに戻って最終チェックを行い、最後の周ではユーズドタイヤながら1分47秒377を記すこととなった。
なお、久保選手はその後のサーキットサファリでも積極的に周回を重ね、ラスト2周のみ嵯峨選手が走行。最終チェックを完了することとなった。
公式予選 Q1 5月20日(土)13:30~13:45
公式練習の頃からすでに汗ばむほどだったが、その後太陽も真上にまで上がるようになると、予選Q1スタート時の気温はさらに上昇。26度にまで達し、路面温度にいたっては46度と、まるで夏場のコンディションとなっていた。
そんな厳しき状況にも、果敢に挑んでいったのは嵯峨選手。開始早々にターン4でコースアウトした車両があり、赤旗中断があったことから、その間にタイヤのスクラブは完了。再開後はアウトラップだけでウォームアップを完了させ、嵯峨選手は早々にアタックを開始する。
まずは1分46秒298を記し、次の周には1分45秒711にまで短縮して、その時点での2番手につける。だが、その後、2周にわたってクールダウンを行うも、十分にQ1を突破できることが明らかになったこともあり、嵯峨選手はチェッカーを待たずにピットイン。
9番手につけて、Q2で待つ久保選手に、「#31 TOYOTA PRIUS apr GT」のステアリングを託すことに成功した。
公式予選 Q2 5月20日(土)14:15~14:27
Q2の開始とともに「#31 TOYOTA PRIUS apr GT」はピットを離れ、嵯峨選手からしっかりインフォメーションを授かった久保選手は、アウトラップに加えて2周をウォームアップに充て、そこからタイムアタックを開始する。
そして、いきなり1分45秒557をマーク。本来ならば、さらに攻めこみたいところだが、路面温度はQ1よりも1~2度下がったのみで、依然厳しいコンディションであったため、これ以上のタイムアップは果たせないとチームは判断。早々に久保選手をピットに戻すこととなった。
その時点では5番手ではあったものの、後半に短縮を果たす者もいたことから、最終的な順位は10番手。「#31 TOYOTA PRIUS apr GT」は5列目のグリッド、10番手から決勝に挑むこととなったが、明らかになってしまったのは、圧倒的なストレートでのパフォーマンス不足。富士からの懸案事項が、このテクニカルコースにおいても大きく影響を及ぼしていた。
嵯峨宏紀選手
「多少は富士よりは善戦できていますが、まだまだ直線がつらいですね。ただ、ないものねだりしてもしょうがないので、この状況下で、決勝をどう組み立てるか。セットは決まってますが、あまりにもパワーが足りない。直線もコーナーもパワーがないと、それに見合うタイムは出ませんね……。とはいえ、それで諦めるわけにはいかないので、できるだけのことはやります」
久保凛太郎選手
「岡山で初めてQ2を担当してニュータイヤを履いて、あの時は大失敗しているんですが、その後のオートポリスでのタイヤテストでずっと練習させてもらったし、今回は宏紀さんとのデータ、宏紀さんの走ったフィーリングを聞いて、予選に向けて自分の中でイメージを作っていったつもりだったけど、もっと勉強が必要です。決勝では路面温度も高くなるでしょうし、前の方も思いっきりぶっちぎることもないような気もするので、ちょっとサバイバルな感じになるのではないかと。柔らかめのタイヤであり、この温度でのロングはどこまで持つか分からないので、やれるだけのことをやって戦ってみたいと思います」
金曽裕人監督
「とりあえずテクニカルサーキットのオートポリスでは、Q1を突破できた、Q2に残れたというのは良かったんですが、同じJAF車両の中でもエンジンパフォーマンスの差がここでも明確になってしまいました。少なくてもドライバーはクルマのバランスも、タイヤのバランスも悪くないと言っており、結果的にタイムが出ないというのは非常につらい。だから、今は非常に難しい立ち位置にいるのは事実です。決勝に向けてどういうふうに、どんな手があるのか、いろいろ考えなくては。スタートした時点で、パワー不足から大きくドロップする可能性も高いので、作戦でポジションを守れるようにしなくてはなりません。手は尽くします」