MotoGP現地トピックス:ビニャーレス転倒でヒヤリ。ロッシがオランダGP通算10勝目を達成
MotoGP第8戦オランダGPの現地情報を二輪ライターの遠藤智氏がお届け。果たして現地ではどのようなことが起こっていたのか。
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今年の5月、イタリアで交通事故で亡くなったニッキー・ヘイデン。スタンドにはヘイデンが愛用したナンバー『69』のプラカードが、沢山、掲げられた。
ヘイデンは2006年のオランダGPで優勝、スーパーバイク世界選手権(SBK)にスイッチしてからはオランダをベースにするレッドブル・ホンダ・ワールド・スーパーバイク・チームから参戦していた。アッセンのスタンドは、ヘイデン選手の死を悼むファンであふれていた。
ほとんどの選手が、フロント、リアともにミディアムを選択したレースでヨハン・ザルコは今回も前後ソフトを選んだ。その結果、ソフトタイヤのアドバンテージで序盤からペースを上げていく。
ソフトは絶対に持たないだろうと言われる中で、ザルコはフランスGPで2位になるなど、他のライダーに真似のできない走りをする。
その理由のひとつが、スムーズなライディングと言われるが、どうしてザルコはソフトであそこまでパフォーマンスできるのか? という質問に対してヤマハのスタッフは「どうしてなんでしょうね。我々にもちょっとわからないですね。強いて言えば、ザルコだから……としか言いようがないですね」と答えてくれた。
確かに、ザルコだから……としか言いようのない何かがあるのだろうと思うのだが、今大会は初ポールポジション獲得、決勝でもトップを走るなど、ソフト使いの名手がこれからもMotoGPクラスで旋風を巻き起こしていくことになりそうだ。
マーベリック・ビニャーレスが転倒してセカンドグループの首位に浮上したアンドレア・ドビジオーゾ。その後、後半になって雨が落ち始め“フラッグ・トゥ・フラッグ”になると、トップグループのペースが落ち、ドビジオーゾとカル・クラッチローのふたりがあっという間にトップグループに追いつくことになった。
波乱の決勝レース。この時点では、まったく予想がつかない展開。最終的にクラッチロー4位、ドビジオーゾ5位でドビジオーゾはMotoGPクラスではキャリア初の総合首位に浮上した。