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投稿日: 2021.12.12 18:49

HOPPY team TSUCHIYA 2021スーパーGT第8戦富士 レースレポート


スーパーGT | HOPPY team TSUCHIYA 2021スーパーGT第8戦富士 レースレポート

HOPPY team TSUCHIYA
レース結果報告書
2021 SUPER GT Rd.8
富士スピードウェイ

■日時 2021年11月27〜28日
■車両名 HOPPY Porsche
■場所 富士スピードウェイ
■ゼッケン 25
■監督 土屋武士
■ドライバー 松井孝允/佐藤公哉
■チーム HOPPY team TSUCHIYA
■リザルト 予選8位/決勝6位

フルマーク達成!ボクの地味な勲章

 スタートから40周以上走っているからさすがに少しタイヤが厳しくなっているけど、まだエンジニアの木野竜之介さんからピット指示のコールはない。クラストップを走るボクがピットインしたのは44周目。ドライバー最長運転時間の規定ギリギリのタイミングだった。給油と4輪タイヤ交換をして、松井孝允くんから佐藤公哉くんにドライバー交代してピットアウト。このタイミングでストレート際の落下物を回収するために80km/h制限のフルコースイエロー(FCY)が出された。

「あと半周、FCYが早かったら大事件だったね」とレース後にニヤニヤしているのは木野さん。8番手スタートで、スタートを担当した孝允くんがしっかりタイヤをいたわりながらペースを守り、タイムが安定していたのでそのままピットインのタイミングを引っ張り、何かが起こることに期待したものの、それは起きずに44周目にピットイン。ピットアウト直後に出たFCYがほんのちょっと早いタイミングだったら、ピット停止時間のロスを帳消しにするような丸儲けのジャンプアップが可能でした。う〜ん残念。それでも終わってみれば6位入賞。これでボクは終盤3戦連続ポイントです。

 申し遅れました。ボクはホピ輔(本名HOPPY Porsche)です。ボクがスーパーGT第8戦におけるHOPPY team TSUCHIYAの戦いぶりをレポートします。このレースはシリーズ最終戦であると同時にボクのラストレースでもありました。2シーズン、スーパーGTを戦ってきたボクは2022年シーズン、ホピ子2ちゃんに席を譲ります。ホピ子先輩はマザーシャシーだったのに対して、ホピ子2ちゃんはGT300規定。まだメインフレームができたばかりでチーフメカニックの武藤良明さんをはじめとするメカニックのみんながつくっている最中です。土屋武士監督が、244号車のテクニカルディレクターをしたり、チーム全体をまとめる仕事に軸足を移して、ボクのことにほとんどかまってくれなくなったけど、エンジニアの木野さんも頭の中は、けっこうホピ子2ちゃんのことでいっぱいです。サスペンションなどの設計は木野さんが担当しているのです。

「それは否定できないけど、最終戦に向けてはちゃんと準備したよ。もてぎでよかった方向性をさらに進めて、それを孝允くんや公哉くんとシミュレーターで確認できた。“金曜シミュレーター”はなかなかいいね」と木野さん。搬入日にサーキットに集合してから3人でシミュレーター屋さんに行きセットアップを確認したらしいです。もし狙い通りにいっていないことがシミュレーターでわかったらサーキットに帰ってきてセットアップを戻すことも考えていたとか。狙いは外れてなくて、進化が確認できたようです。

 ライバルと比べるとボクのエンジンはトルクが小さいし、ストレートが長い富士なので、レイク(車両姿勢)は水平方向にして、リヤウイングも寝かせて、ドラッグをできるだけ減らすセットアップにしました。ダウンフォースも減ってしまいますけど、そこを足のバランスでカバーします。

 それにリヤタイヤも以前に使っていたポルシェに合う構造のモノを投入しました。ボクはフロントが軽いこともあってフロントタイヤはあんまり減らないのですが、リヤタイヤには少し課題があってその対策を狙ったものです。

 以上のような準備をして最終戦には臨みました。しかし、ストレートも苦手だし、100Rも苦手だし、ボクにとって富士はつらいコースです。公式練習でセットアップもタイヤも手応えを感じることができましたが、どんどん熾烈になっているGT300の予選でQ2に進出できるかどうか、ギリギリの線だろうなというのが木野さんの予想でした。しかしQ1を担当した公哉くんが1’35.905を出してA組7番手でQ2進出。孝允くんはさらにタイムを伸ばして1’35.754で8番手となりました。

 同じようなコンディションだった昨年の最終戦の予選タイムが1’36.751ですから、およそラップタイム1秒分進化したことになります。木野さんのおかげでボクが進化した部分もあるでしょうし、ヨコハマタイヤさんの進化も大きいし、孝允くん、公哉くんがボクへの理解を深めてくれたことも大きいと思います。木野さん自身がこのタイムアップにびっくりしていました。

 今回のレースは4輪タイヤ交換が義務付けです。でも木野さんがそれを知ったのは持ち込みタイヤを決めた後。決める前だったら、別の攻め手があったのかどうか、ボクは聞いていませんけど、タイヤのライフにはまったく不安はなく、それで冒頭に書いたような引っ張る作戦に出ました。去年の最初の頃は、これだとレースできないというくらいにライフに不安があったことを考えると、ものすごい進歩です。

 9番手でコースに戻りショートスティントになった後半、4輪フレッシュタイヤで燃料も軽めで公哉くんがガンガンさらに追い上げる展開を期待しましたが、太陽が傾き下がった路面温度の影響なのか、ラバーが載った路面とタイヤの相性がよくなかったのか、意外と苦しい展開となってポジションキープ。しかしトラブルで脱落する上位に助けられて6位でフィニッシュしました。

 地味ですけど、これでボクは記録を達成しました。ドライバーランキングと別に集計されているチームランキングは順位に対してだけでなく完走でもポイントが付与されます。最終戦を6位で完走したことで、昨年のデビューから16戦連続でこの完走ポイントをもらうことができました。フルマークです。武藤さんをはじめメカニックのみんながボクをしっかり整備してくれたこと。孝允くんと公哉くんがぶつけないでレースしてくれたこと、そしてボクの信頼性があって達成できた記録です。「さすが耐久王ポルシェ」と武士監督もほめてくれました。

「記録はもうひとつあるよ。今年全戦でグリッド位置より前でゴールしている。今シーズン、決勝を力強く戦うことをテーマにして、それが達成できたね」と木野さん。表彰台に一度も立てなかったことだけは心残りだけど、これでボクは一度実戦を離れます。これまで応援ありがとうございました。ホピ子2ちゃんがデビューする来年も引き続きHOPPY team TSUCHIYAの応援よろしくお願いします。

2021スーパーGT第8戦富士 HOPPY Porsche(松井孝允/佐藤公哉)
2021スーパーGT第8戦富士 HOPPY Porsche(松井孝允/佐藤公哉)

松井孝允のコメント

「スタート直後の数周は何台か抜かれてしまい、ペースはよかったものの、そこでついた差が埋められなかったのが反省点です。しかし、持ち込みのセットアップもよく、今回選んだタイヤも機能しました。準備を入念にできたことが今回の結果につながったと思います。ピットタイミングについては指示を待っているだけでした。誰と戦っているのかもわからず、自分のペースで走っていました。ピットアウトした順位をみて、武士監督から聞いてはじめて状況を把握しました。ベストを尽くすことができました。来年につながる内容を残せてよかったです」

佐藤公哉のコメント

「ベストなレースができたと思います。トルク不足の面がありレース序盤は厳しかったと思うのですが、孝允さんがそこをうまく耐えてくれて、しかもペースを維持してくれたことがかなり効きました。後半は、フレッシュなタイヤで短い距離を前提に出してもらえたので、前を追いかけたのですけど、1分37秒7〜8ぐらいしか出せず自分自身の課題が残りました。そのあたり原因究明して今後につなげたいと思います。しかし超苦手な富士においてこんなところでゴールできたことには皆さんへ感謝しかありません。やれることはきっちりやることができたと思います。これからも頑張ります」

土屋武士監督のコメント

「オートポリス、もてぎ、富士とイメージしていた通りのレースができました。ボク自身は244号車のこと、来年のこと、エントラント協会のこととかいろいろ関わっていて、25号車のことはみんなに任せきりでした。それでも安心してみていられました。鈴鹿、SUGOと迷路にはまった時期もありましたが、あの2戦があったからこそ信頼が深まって、みんながひとつの方向を目指すことができるようになりました。もてぎにしても、今回のレースにしても展開に助けられて順位が上がっていますが、これはみんなが頑張ってきたことへのご褒美だと感じています」

「何のためにレースをするのか、自分がなんでレースをやりたかったのか、ボク自身一瞬わからなくなった時期も過ごしました。しかし、同じ志を持った仲間が集まって、ひとつの目標に向かって頑張ること自体が、ボクのやりたいことだと再確認もできました。若い子たちが集まって、指示を受けるのはなく率先して仕事をやっていくのを安心してみていられる環境が完成しつつあります。それによってボク自身のモチベーションも高められています」

「ボクはオヤジのようにひとりでクルマをつくることはできません。でも化け物のような職人をずっとそばでみてきたから、目利きには自信があります。本物の技術者を集めて支えていくことで、オヤジにも対抗できる気がします」

「開幕戦でオヤジが亡くなり、いまこうして最終戦を終えて自分が立っているこの場所を、開幕の時には想像できていませんでした。技術を、成長を、求めて集まる仲間に活躍する場を提供する、これがボクのやりたかったことなのだと気づかせてもらえたシーズンでした。チームにとっても、ボクにとっても色んな気づきを与えてくれたと思えるシーズンでした」

「そしてこの2年、ホピ輔がその道しるべになってくれたことは間違いありません。本当に、「さすがポルシェ」という感じで、我々にたくさんのことを教えてくれました。一度も表彰台に乗れなかったけれど、ホピ輔が教えてくれたことはチーム全員の肥やしになりました。来季以降、それを証明できるでしょう!」

「最後になりましたが、今シーズンもたくさんの応援を本当にありがとうございました!これからも前を見て、皆さんと一緒に走っていきたいと思いますので、また新しいシーズンもよろしくお願い致します! ありがとうございました!!」

石渡美奈共同オーナーのコメント

「2021シーズンも、厚くあたたかな応援をいただき、真にありがとうございました。開幕戦から大きな出来事に見舞われた私たちが、いつも安心してレースに集中できたのも、皆様が私たちに託してくださったかけがえのない想いより生まれた、皆様とのつながりが支えてくださったからと深く感謝を捧げます」

「共同オーナー2年目として、松井、佐藤両ドライバーを表彰台に乗せることができなかったことが、ドライバーを始めとするチームメンバーと応援団の皆様に、申し訳なかったと、自らの至らなさを心からお詫び申し上げる次第です」

「今年も不利な条件下での苦しい戦いの連続でした。しかしながら最終戦、最も苦手としてきたFSWにて、予選決勝戦ともに10位以内という結果は、つちやエンジニアリングの真の実力と底力を見せつけてくれたと感じます。最終戦の決勝では、さすが名門ガレージと唸り、大きな感動を味わいました」

「我らが土屋武士共同オーナー兼監督、偉大なる父を空に見送るという人生の大事業を経験し、飛躍的に成長されたなと感じています」

「この2年間を移行期とするならば、2代目に受け継がれた新生つちやエンジニアリング率いる『HOPPY team TSUCHIYA』の真の戦いは2022年シーズンからと言えるでしょう」

「2代目ホピ子と共に迎える2022シーズン。皆様とまた、共に熱く走り抜けたいと今から開幕の日が楽しみでなりません。しばらくお目にかかれず、寂しい日が続きますが、どうか開幕に向けて皆様も、心と体を整えてくださいますようお願い申し上げます! 開幕戦での再会を心から楽しみにしております」

「最後に、ホピ輔、どうもありがとう! 愛してるよ!!!」

2021スーパーGT第8戦富士 HOPPY Porsche(松井孝允/佐藤公哉)
2021スーパーGT第8戦富士 HOPPY Porsche(松井孝允/佐藤公哉)
2021スーパーGT第8戦富士 HOPPY Porsche(松井孝允/佐藤公哉)
2021スーパーGT第8戦富士 HOPPY Porsche(松井孝允/佐藤公哉)


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