投稿日: 2022.09.20 17:34
更新日: 2022.09.20 17:35
更新日: 2022.09.20 17:35
【F1コラム:利権と闘争】F1は自動車メーカーに運命を託すべきではないと、いつ学ぶのか
Nick Richards
autosport web/F1速報公式サイトで長年連載してきた「ホンダF1甘口コラム」「ホンダF1辛口コラム」の「辛口」パートの執筆者ニック・リチャーズ氏が記す、F1の政治問題をテーマにするコラム。独自のシニカルな視点で時事に切り込む。
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「暗い気分になるね」とつぶやくと、涙ぐみながらテレビを見ていた妻と家政婦がこちらを振り向いた。ふたりは、女王陛下の死を私も深く悲しんでいるのだと一瞬思った後で、「やはりそんなはずはない」とすぐに思い直したようで、自分たちだけで思う存分泣くために、リビングルームから出て行った。
私は善きイギリス国民であり、英国空軍の元パイロットで、勲章を授与されたこともある。だからもちろん、女王陛下が亡くなったことにはひどく動揺した。ただ、さっき口に出した言葉は、陛下についてではなく、4年ぶりにモンツァを訪れたという旧友からのメールについてのものだった。
そのメールは、短い挨拶の言葉で始まり、私の健康状態について丁寧に問い合わせる文章の後に、こう書かれていた。
「パドックでは、ポルシェはもう2026年にF1に参戦することはないと言われている。その上、アウディもグランプリ参戦を取りやめるかもしれないということだ。彼らは、アルファロメオとのスポンサー契約を失うザウバーに、2年間資金を提供することを望んでいない。ひどい状況だよ……」