更新日: 2023.07.19 23:54
iCraft 2023スーパー耐久第3戦SUGO レースレポート
ENEOSスーパー耐久シリーズ2023 Supported by BRIDGESTONE
第3戦『SUGOスーパー耐久3時間レース』
2023年7月8~9日 スポーツランドSUGO(宮城県)
予選(土):曇り時々雨/ドライ・ウエット 入場者:2700人
決勝(日):曇り/ドライ 入場者数:4100人
OHLINS Roadster NATS(マツダ・ロードスター ND5RC)
金井亮忠/山野哲也/野島俊哉
予選・決勝ともに力強い走りをみせ、今季初のポール・トゥ・ウインを達成!
2023年のスーパー耐久シリーズも中盤戦に突入。アップダウンの激しいスポーツランドSUGOを舞台にした3時間耐久レースを迎えた。このコースは全⾧が3.6km弱と短く、コース幅も広くないことから全体をふたつのグループに分けて予選と決勝が行われる。ST-5クラスからの参戦となる72号車は、ST-4クラスとST-Qクラスの一部車両とともにグループ2に分類される。
第2戦富士24時間レースを終え、ランキング2番手につけている#72 OHLINS Roadster NATSは、前回の結果で15kgのウエイトハンデを背負って今大会に挑む。まずは首位にいるライバルとのポイン
ト差を縮めるため、彼らより前でゴールすることを念頭において、レースウイークに臨んだ。
公式予選
今年からAドライバーハンデというものが導入されている関係で、今回は金井がAドライバーとして登録し、山野がBドライバー、野島がCドライバーを務めた。梅雨の影響もあって金曜日の練習走行では雨模様となり、予選日朝のフリー走行もウエットコンディションのなかで周回を重ねることとなったが、予選前に雨が止んだことによりドライコンディションで公式予選が始まった。
まずは金井がAドライバー予選で好アタックをみせ1分41秒910を記録。クラストップ対して0.2秒差に迫る2番手につけた。続くBドライバー予選は山野が担当。雨がパラつくなかでのタイムアタックとなったが、山野はマシンのパフォーマンスをしっかりと出し切り1分41秒724を記録。クラス2番手につけた。両予選ともにトップを取ることはできなかったが、2人のタイムを合算した総合結果で2番手に0.3秒差をつけ、今季初のクラスポールポジションを獲得した。
金井亮忠
「金曜日まで厳しい部分がありましたが、セット変更したことが良い方向に行きました。アタックに関しても思ったよりフィーリングが良くてタイムが出ました。決勝レースも逃げ切れるように、優勝できるように頑張りたいです」
山野哲也
「木曜・金曜と走ってきて、ドライのセットが決めきれなかったのですが、土曜朝のウエットで試したセットを予選でも取り入れたらうまくいきました。ウエイトも積んできているし、そう簡単にライバルたちの前に出るのは難しいと思って臨んだ今週末で、このポジションにいられるのはすごく幸せです」
決勝
前日までの曇り空から一転し、決勝日は朝から青空が広がった。グループ2の決勝は午前中に行われるため、8時40分にフォーメーションラップがスタートし、3時間の耐久レースが幕を開けた。
ST-5クラスポールポジションの72号車は金井がスタートを担当。1周目はトップを守り切るがライバルのペースも良く、序盤から接戦模様となった。そこで金井は無理にポジション死守をせずにタイヤを労ることを重視。一時は6番手まで順位を落とすも、タイヤを労りながら逆転のチャンスをうかがった。
開始から1時間を過ぎて上位を走るライバルが続々と1回目のピットストップを済ませるなか、72号車はタイヤを温存する走りが燃費セーブにもつながり、ペース良く周回。スタートから1時間30分を迎えた54周目に入ったところでトップに浮上した。その直後の57周目に最初のピット作業を行い、左タイヤ2本を交換するとともに野島にドライバー交代。3番手に下がるものの、ここから野島が1分43秒台を記録するなど高ペースで周回し、上位を走るライバルとの差を縮めていった。
ライバルのピットインにより66周目に再びトップに立った72号車は、野島が引き続き安定したペースで周回を重ね、残り30分を迎える84周目に2度目のピットストップを敢行。ここで山野がマシンに乗り込んだ。
ST-5クラスの全車が規定の2回ピットを終えると、72号車は47秒もの大量リードを持ってトップに浮上。金井と野島、そして完璧なピット作業を行ったNATS の学生たちによって作り上げられたリードを有効活用し、暑さが厳しくなったレース終盤でタイヤを労る走りに徹した。最終的に39 秒差と大量リードを保ったまま、確実に72号車をゴールまで運び、念願の今季初優勝を飾った。これでランキングトップとの差を6 ポイントに縮め、後半戦での逆転を狙っていく。
2023年シーズンは鈴鹿で他車の接触を受け大クラッシュを喫するところからスタートした72号車。新しく作ったマシンで復活を遂げ、富士24時間で2位、今回のSUGO3時間で優勝を飾ったことで、チームの団結力はより一層深まり、チャンピオン獲得に向けて全体の士気も高まっている。
金井亮忠
「トップからのスタートで逃げたい気持ちもありましたが、予想以上に周りのペースが速かったです。そこで無理をしてタイヤを壊してしまっても仕方ないので、無理をせずにマネジメントしながら走っていました。その分、スティントの後半も取り返せたのかなと思います。今週末は守りに入らず、いろいろなセッティングにチャレンジしていったのが、今回良い結果に繋がったのかなと思います」
山野哲也
「他チームのピットワークやそのタイミングを観察し、我々には勝負権があることを確信しました。作戦についても、どのタイヤをいつ交換するかというのも念入りに考えて、結果的に最初のストップで左タイヤ2本を交換し、次のストップでは無交換でいきました。限られた時間でセットアップをして、限られた作戦のなかで、全員が良い仕事をした週末だったと思います。本当に勝てて嬉しいです」
野島俊哉
「僕に代わるときに左タイヤ2本を交換したのですけど、それがスティントの後半で路面温度が上がってきたときに、かなり良い方向に働いてくれました。そのおかげもあって、ずっと良いペースで走れたと思います。ピットワークも学生さんたちを含めてみんが良い仕事をしてくれましたし、ギャップを作って山野選手に渡せたのは良かったです。何より良いクルマを作ってくれたチームの皆さんに感謝したいです」
猪爪俊之監督
「レースは序盤の走りをみて『トラブルなのかな?』と皆さん思ったかもしれませんが、あれは急遽変更のタイヤ温存作戦でした。やはりタイヤを労っていかないと最後が厳しくなってしまいますからね。予定どおりなら野島選手のスティントで差を詰めて、最後の山野選手で逆転するという流れを想定していましたが、野島選手のペースが非常によく、最終スティントの山野選手にトップでバトンを繋げ、トップゴールまでお任せ状態でした。ここで勝った分、次のオートポリスはプラス15kgのハンデを背負うことになりますが、そこは現場に行ってチーム全員でセットアップを考えたいと思います」