更新日: 2023.08.09 02:58
TGR TEAM SARD 2023スーパーGT第4戦富士 レースレポート
2023スーパーGT第4戦『FUJI GT 450km RACE』(8/5〜6)
富士スピードウェイ(1周4.563km)
入場者数:予選2万200名、決勝3万200名、合計5万400名
8月6日(日)、第4戦『FUJI GT 450km RACE』の決勝が行われ、10番グリッドから進取果敢にスタートした関口は難しいコンディションのなか、猛チャージを見せ序盤7位に浮上。14周を終えドライタイヤに交換しさらにトップ狙うアグレッシブな走りでその時点でのファステストタイムを連発。トップから約3秒遅れの3位にまで巻き返した。
その後セーフティカー(SC)明け42周目に2位に浮上、トップに肉薄するファイターぶりを発揮した。47周を終えピットインし中山と交代。中山もドライタイヤでペースを維持しながらチャンスを窺う走りで2位を走行。だが67周目に赤旗中断に。レインタイヤへの交換が認められレースが再開。戦略上後半に非常に難しい状況となり、最終的に中山を92周を終えてピットインさせ、給油とタイヤをハード側レインに交換。そこから可能な限り中山は失った順位を挽回すべく他車から7秒も速いペースで追い上げ、9位でフィニッシュ。
前半に2位浮上と躍動を見せるも雨とSCや赤旗に翻弄されながら浮き沈みが激しく難しいレースとなったなかで、ドライバーポイントは2点を獲得しランキング14位(計8点)に、チームポイントは4点を獲得しランキング14位(計18点)となった。次戦第5戦は、8月26日(土)・27日(日)に鈴鹿サーキットにて開催される。
■事前情報
前戦鈴鹿から約2カ月のインターバルを経ての開催となる今季2度目の富士スピードウェイが舞台となる『FUJI GT 450km RACE』。ここまで思うような結果を残せておらず苦しい序盤戦となったDENSO KOBELCO SARD GR Supra。8月5日(土)午前に公式練習、午後にノックアウト方式(Q1、Q2)の公式予選で、6日(日)決勝は13時45分スタート。
レース距離は5月の第2戦富士と同じく450km(100周:約2時間半)で争われ、給油を伴うピットストップは2回が義務付け。ひとりのドライバーの最大運転周回数は66周まで。サクセスウエイトは現獲得ポイントの倍となる12kgを搭載する。重量増による富士でのタイムの落ち込みは、12kgだと約0.2秒弱となる。
今季の後半戦を占う重要な一戦で、各チームとも450kmレースを何度も経験済みなだけに様々な戦略プランを用意周到に準備して臨んでくると予想される。チームではレース中の状況に応じて臨機応変に対応できる、フレキシブルな戦略プランを立てている。ここまで苦しい戦いのDENSO KOBELCO SARD GR Supraはドライバーポイントでトップと30ポイント差と大きく離されてはいるが、この富士をターニングポイントに、ここから後半戦に向けて逆襲の狼煙をあげ巻き返しを図りたいところ。
猛暑が続いており、長丁場ゆえに波乱のドラマが起きやすく、天候や運も含めチームのレース戦略と総合力によって大きく勝負が左右される第4戦富士。脇阪寿一監督のもとチーム一丸となって勢い良く、強い決断力で冷静かつ大胆に振る舞い、進取果敢に勝利を目指していった。
■公式練習走行
「朝から気温が上昇し、暑さ厳しく気温31度/路面温度38度のコンディションのなか、5日(土)9時から開始された公式練習走行。まず最初の85分間の混走セッションではハード側ドライタイヤを装着して中山がコースイン。5周目に3番手タイム、6周目には1分29秒501とその時点でトップタイムをマークと良い走り出しを見せた。
若干リヤが軽いということで車高などバランスを調整。11周目からは関口が同じタイヤを評価しながら、クルマのセットアップを進めた。続いてロングランの確認を中心としたプログラムを9周ほど行い、好ペースで走行。最後に中山が再び確認のためステアリングを握って感触を確かめた。混走セッションはトータル30周を走行して、最初に中山がマークした1分29秒501のタイムで4番手となった。
10分間のGT500単独セッションでは、気温33度/路面温度43度に上昇。関口はハード側ドライタイヤで予選のアタックシミュレーションを実施。4周目に1分29秒488とタイムを更新。5周目さらにセクタータイムを削っていったがダンロップコーナー手前で突然エンジンに不具合が発生して車両をコース外に止めざるを得ない重大なトラブルが発生しストップ。公式練習走行ではトータル34周を走行。関口のGT500単独セッション4周目のタイムで6位となった。その後、公式予選までにエンジンを載せ替えるというハードな作業をすることとなった。
■公式予選Q1:エンジン交換が間に合うも10番手タイムに
5日(土)15時53分から開始されたQ1は、気温32度/路面温度43度の晴れで路気温とも若干下がったなか、コースオープンしてから約2分ほど待機してピットを離れた関口は、ハード側タイヤを装着。エンジン交換を約3時間ほどで完了させ公式予選に間に合わせたTGR TEAM SARDのメカニック達。公式練習走行では快調な走りを見せていただけに期待がかかり、コースインをするとスタンドからDENSO KOBELCO SARD GR Supraへの拍手が沸き起こった。
関口は熱い応援を背に、良いペースでタイヤのウォームアップを始めた。アタックを始めた5周目セクター1では自己ベストにコンマ1秒ほど届かず、続く100Rコーナーのあるセクター2で引き続き気合いの入った走りを見せる関口は、27秒3と自己ベストをコンマ3秒ほど削ってきたが、ここでライバル勢は26秒台に入れる速さを見せてきた。
つづら折れの登りセクションとなるセクター3で39秒0と自己ベストを再びコンマ3秒ほど関口は削ってきたが、ライバル勢は大きくタイムを更新する38秒半ばを叩き出す。1分28秒708と公式練習走行の自己ベストタイムを約0.8秒削ったが、ライバル勢は軒並み大きくタイムアップを果たし、最終的に10番手でQ1突破ならずとなった。
■決勝/ウォームアップ走行
「6日(日)12時15分から開始された20分間のウォームアップ走行は気温25度/路面温度31度で、天候は時々雨粒が落ちてくる不安定な状況。直前に雨が降ったが乾き始めるというコンディションのなか、関口がウエットタイヤの確認とベディング(慣らし)やドライタイヤのベディングなど精力的にこなし、最後に中山が別のウエットタイヤのベディングを1周実施して終了。ウォームアップはトータル8周を走行して。2周目に関口のマークした1分40秒320の12番手で、せわしなく終了した。
■決勝レース
第1スティント/第2スティント:関口がファイターぶりを発揮して2位浮上
6日(日)13時45分決勝スタート時点は気温26度/路面温度31度で雨が降ったり止んだりの不安定なコンディション。雨が降り続けスタート方法がSCスタートに変更。静岡県警先頭のパレードランも取りやめとなった。2周を終えてSC解除で実質のスタートが切られると、10番手スタートの関口は進取果敢にウエット路面の難しいコンディションのなか、猛チャージを見せて序盤に7位にまで浮上。雨が止み路面が乾き始めドライタイヤへのターンオーバーのジャストタイミングとなる14周を終えピットインし給油とドライタイヤに交換し、さらにトップ狙うアグレッシブな走りで、その時点でのファステストタイムを連発。トップから約3秒遅れの 3位にまで巻き返した。
その後35周目にGT300クラスの車両に火災が発生したことによりSCが導入され、後続との差が詰まったが再開後の42周目1コーナーで16号車を関口が仕留めると2位に浮上。トップ14号車との差をどんどんと詰めて肉薄するファイターぶりを発揮した。そして、前を行く14号車がピットインするやいなや、猛プッシュして次周の47周を終えてピットインして勝負を仕掛けた。
第3スティント/第4スティント:雨とSC・赤旗に翻弄され順位を下げるも中山が挽回
交代した中山は給油とドライタイヤを装着して戦略上ペースを維持しながらチャンスを窺う走りで2位を走行。だが67周目に再び別の GT300車両火災があったため赤旗中断に。これで築いた後続とのマージンが2度にわたってリセット。中断中の激しい降雨によりレインタイヤへの交換が認められた後にレースが再開。レースの終了タイミングによっては給油のためピットインが必要になるか、路面がまた乾いてドライタイヤへの変更のタイミングが再び来るのか、アクシデント等によるSC導入は再びあるのかと、非常に戦略上の判断と読みが難しい状況に陥ってきていた。
最終的にペースを守って走行していた中山を92周を終えてピットインさせ、給油とウエットパッチがコース上にあったためタイヤをハード側のレインタイヤに交換。他車はそのままピットインせずコース上に留まっていたため、そこから可能な限り中山は失った順位を挽回すべく、路面状況に合ったフレッシュなウエットタイヤで他車から7秒も速いトップペースで追い上げを図り、9位でフィニッシュとなった。
レース前半に2位浮上と躍動を見せるも、雨とSCや赤旗に翻弄されながら浮き沈みが激しく難しいレースとなったなかで、ドライバーポイントは2点を獲得しランキング14位(計8点)に、チームポイントは4点を獲得しランキング14位(計18点)となった。次戦第5戦は、8月26日(土)〜27日(日)に鈴鹿サーキットにて開催される。また26日(土)公式予選後には2019年末以来のTGR TEAM SARDファンミーティングを鈴鹿サーキット内レストラン『SUZUKA-ZE』にて開催する。
■関口雄飛
「走り出しから良い流れで来てたので、トラブルは出て欲しくはないが予選前でまだよかったとポジティブ捉え、気持ちを切り替えて追い上げを誓って臨んだ決勝レース。序盤に2位浮上とこれまでと比べてレースができていましたが、SCや赤旗が良くない方向に進んでしまい今回の結果は残念です。クルマは良いフィーリングだったので、次の鈴鹿に向けては引き続き優勝を目指して頑張っていきますので、変わらぬ熱い御声援をよろしくお願いいたします」
■中山雄一
「公式練習走行では走り出しから調子が良かったなか、トラブルが出てしまったことは残念でした。チームや関係者の頑張りで何とか予選は走行することができ不幸中の幸いでした。決勝日は難しいコンディションのなかで、2位まで上がりましたが天候やSC導入が自分たちにとって良い状況にはなく、難しいレースになってしまいました。しかしながら、手応えを感じられたレースでクルマに速さもあったので、鈴鹿では良い走りが結果に繋がって勝利を得られるよう準備して臨みたいと思います。引き続き御声援のほど、よろしくお願い申し上げます」
■監督 脇阪寿一
「課題のひとつであったクルマのスピードについてはこれまでの成果が出たと思っています。雄飛と雄一に覇気が戻ったのも嬉しかった。9位という結果は望んだ結果とは程遠いですが、そのプロセスとして満足いくレースとなりました。雄飛がファイターに戻ってくれたし、悪条件のなかで雄一も今までとは一味二味も違う走りを見せてくれた、大切な大切な富士戦だったと思います。ふたりが生き生きと素晴らしい走りを魅せてくれて嬉しかったです。とはいえ今回のレースも様々な疑問や課題が見えました。ひとつひとつ、しっかり分析して、答えを導き出し、次戦に挑みます。今回も応援をありがとうございました!」