更新日: 2018.10.26 17:23
MotoGPで5度の王者に輝いたマルケスに聞く強さの秘密・前編「スピンさせてプッシュし続ける」
マルケス:そうでもない。ミシュランタイヤでは、よりリヤグリップを使っていることは間違いない。一方でブリヂストンタイヤでは、フロントグリップをより使っていた。コーナーに差しかかる時にブレーキをとても強くかけるんだ。ミシュランタイヤではそれほど強くかけず、加速する時にリヤのグリップを使う。両方のタイヤでのコーナリングスピードはとてもよく似ている。ミシュランタイヤでは、加速する時はアクセルを開けてすべてのトラクションを使うんだ。
Q:今はどのようにコーナリングをするの? ブリヂストンのフロントタイヤはコーナリングの助けになったけれど、リヤブレーキかスロットルを使うの?
マルケス:それはバイクのジオメトリーを変更することにつきる。ブリヂストンからミシュランに変わった時、多くのことを試した。ライディングスタイルを変えたし、リヤブレーキをより使うようにした。アクセルを開けるのを早めたり遅めたり。コーナリングスピードを使ったり使わなかったりもした。だけどジオメトリーを変えるまでは、今までのコーナリングは不可能だった。今ではバイクのフロント荷重をよく使う。そうするとバイクのリヤ部分がより自由になる。そのおかげで感触は良くなったけど、他のホンダライダーたちの一部は逆のことをしているかもね。とにかく、フロント荷重を持ってくることで、バイクの態勢がすぐに整い、アクセルを早く開けられている。
Q:リヤの重量を軽くすることで、どのようにバイクは曲がりやすくなるの?
マルケス:ブリヂストンタイヤでは、リヤの荷重を使っていた。なぜならコーナーの進入と立ち上がりでリヤがよりスライドしたからだ。ミシュランタイヤではそのことは忘れていい。リヤのグリップは常に素晴らしいからね。だからリヤタイヤでプッシュして、それからフロントタイヤを気にすればいいんだ。これが、レースで僕がいつもフロントに硬いタイヤを選ぶ理由のひとつだ。
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Q:現在のトラクションコントロールはどのように感じる? 時々リヤタイヤから煙が上がっているのを目にするけれど、それはアクセルワークでやっていること?
マルケス:そう、前よりもアクセルを使うようになっている。共通ソフトウェアになる前は、スライドを止めるためにトラクションコントロールをより多く使うことができた。でも今では自分のコントロールにかかっているんだ。
だけど、ミシュランのリヤタイヤはブリヂストンのリヤタイヤとは完全に違うスピンの仕方をする。だからスピードを出すためには、ミシュランタイヤを少しスピンさせることを理解しなければならない。スピンをしてもバイクは前に押し出されるからね。でもスピンさせすぎると、煙が上がってしまう。だからトラクションコントロールなしで折り合いをつけなければならない。トラクションコントロールはあまり役に立たないんだよ。
Q:ということは、ミシュランのリヤタイヤがスピンしてもグリップして走行できるの?
マルケス:そうだよ。低い回転数からスピンし始めると、それでもタイヤはバイクを前に動かす。だから僕は低い回転数からスピンさせてプッシュし続けるのを好んでいるんだ。