更新日: 2019.03.02 08:17
MotoGP:マルケスを「倒せる方法が見つけられた気がする」。スズキライダーふたりに聞くマシンの現状
ミルの“先輩”にあたるリンスは、GSX-RRについてこう分析している。
「このマシンの長所はコーナリングスピードだ。コーナー中の安定性は非常に高い。そして僕自身のライディングスタイルはスムーズ。GSX-RRとの相性がいいから、タイヤが消耗するレース終盤になってからでも、高いパフォーマンスを発揮できるんだ」
2019年型はエンジンがパワフルになり、トップスピードもライバルに追いついてきた。GSX-RRの長所であるバランスのよさを生かしながら、地道なパフォーマンスアップが功を奏しつつある。
コーナリングスピードを高めるために、リンスが特に気にしているのはリヤタイヤだ。「コーナー出口でのスロットルコントロールは“チョット”(日本語で)難しい」とリンス。
「コンスタントにコントロールしないといけないし、スライドも“チョット”に抑えないといけない。それは電子制御の仕事でもあり、僕の仕事でもある。僕のやるべきこととしては、スロットルをコンスタントに、しかもゆっくりていねいに開けることだ。ゆっくりの度合いは……、コーナーや状況によるからね、それは僕の企業秘密だよ」と笑う。
2019年シーズンの目標についてリンスは「もちろん勝つこと」と力強い。2018年、最高で2位を獲得しているだけに、現実味もある。
「5、6回は表彰台に立ちたいね」と意欲を見せるリンス。だが彼は「勝つのはそう簡単じゃないってことも分かってるんだ」と気を引き締めている。
「マルケスやロッシのようなビッグネームと戦うことは大変なことだからね。でも、彼らを時々は倒せる方法が見つけられた気がするんだ。バイク、自分、そしてチームのすべてがパーフェクトに機能しなければならない。でも、かなり強くなったと思うよ。自信はある。ベストを尽くすよ」
一方、ミルの目標はいち速くMotoGPマシンに慣れることだ。そのために彼は、多くのことを真剣に学び取ろうとしている。
「学ぶことは、もっとも大事なことだと思う。すべてのレースでたくさんの経験を積み重ねようと思っているんだ。スズキはマシン作りに全力を尽くしてくれてるし、僕も浜松(スズキ本社)によりよい情報を提供したい」
リンスとミル、ふたりのスペイン人ライダーはスズキとの良好な関係を強調する。「スズキスタッフとの関係はまるで家族みたいなんだ。ピットの雰囲気はパーフェクト。コミュニケーションもうまく行っている。だからスタッフは僕に、そして僕はスタッフにと、お互いにハイレベルで困難なことも要求し合えるんだ。そうやってチーム全体がレベルアップしているんだよ」とリンス。
ミルは「チームスタッフとの関係は最高だよ。これは僕にとって最大の誇りだし、ハッピーなことでもある。チーム内の雰囲気がいいということはモチベーションにつながるし、速く走るためにもすごく大事なんだ。アレックスとの関係も、過去のチームメイトのなかでも最高だよ! 今は彼から学ぶことばかりだけど、いずれは僕もチームの助けとなってスズキをトップの座に就かせたいんだ」