更新日: 2019.12.04 16:33
MotoGPコラム:「各レースがビジネスのようだ」とロッシ。最終戦のアクシデントで告げられたカレンダー変更の必要性
Translation:AKARAG
このふたつのグランプリにおける双方のアクシデントは、MotoGPに単純な真実を告げている。良好な天候のもとでチャンピオンシップが開催されるように、カレンダーを完全に組み直す必要があるということだ。これは何よりも安全性の問題だ。
F1にできるのなら、MotoGPにもできるだろう。F1は3月から12月にかけて開催されるが、ヨーロッパでレースが行われるのは5月から9月の間だけだ。考えるまでもないことだ。
「11月の後半にバレンシアに来るというのは素晴らしい考えではないね」とバレンティーノ・ロッシ(モンスターエナジー・ヤマハMotoGP)は同意した。
「でもチャンピオンシップを運営している人たちはスペイン出身だから、彼らは最終戦をスペインでやることに大きな関心があるんだ。だがチャンピオンシップはヨーロッパではなく、もっと暖かい他の場所で終えた方がいい」
「もうひとつの問題はフィリップアイランドだ。冬にフィリップアイランドに行くのは本当に残念だよ。なぜならあそこは最高のコースのひとつだからね。だからこのレースも動かす必要があるだろう」
MotoGPのスケジュールは基本的には過去10年間同じ形式を取ってきているが、今となってはレースの順番は大幅に変更が必要だろう。チャンピオンシップは今年19戦に増え、2020年は20戦になる。2021年には21戦になり、おそらく2022年には22戦になるだろう。
「MotoGPが取っている方針はまるでアメリカのもののようだね。アメリカでは40戦以上のNASCARレースやNBAの試合がある」とロッシは語った。
「今では各レースがビジネスのようだ。21戦を開催すれば、18戦よりも儲かるわけだ。将来もこのような方向へ進んで行くのだろう」
新規のレースは東南アジアや南アメリカ、または世界中のどの場所も候補地になり得る。したがってMotoGPはシーズンを温暖な場所で始め、温暖な場所で終える必要がある。
チャンピオンシップの終わることのない拡張は他の問題も引き起こしている。MotoGPのパドックはすでに離婚経験者でいっぱいだ。彼らの家族はもうたくさんだという思いで、家に帰るか帰らないのかどちらかにしろと彼らに言っているのだ。レース数が増えれば、この状況は悪くなるだけなのは確実だろう。
一方でパドックの古顔たちは、チャンピオンシップが現在より短かったにもかかわらず、家を離れている時間がもっと長かった時代を覚えている。なぜならチームはレースとレースの間にほぼ毎回テストを行い、木曜日にはしばしば非公式のプラクティスを行っていたからだ。
また、メカニックたちはチームのトラックを運転してヨーロッパを周り、エンジンを再度組み立てるのに何日も費やした。今では、少なくとも資金の豊富なMotoGPチームにいる幸運に恵まれていれば、そうした仕事をする必要はない。彼らはレース会場へ飛ぶ。レース中の仕事時間は以前より短く、テスト回数も少なくなっている。
2019年のF1は21戦だったが、シリーズは今後数年で25戦にまで拡大されることが予想されている。イベントは3日間から2日間に短縮され、フリー走行と予選が土曜日に、決勝が日曜日に行われることになるようだ。MotoGPもこれにならうことになるかもしれない。
「レースを土曜日と日曜日の2日間に収めることは確かにできるよ。違ったものになるだろうけれど、不可能ではない」とロッシは語った。そうなった時、ロッシはまだレースを続けているだろうか?私は続けている方に賭ける。今夜の夢が私に何を教えてくれるのか待つことにしよう。