MotoGPの軌跡(4):990cc時代の最終年に一矢報いたホンダ
2006年は990ccMotoGP最後の年だった。この年からダニ・ペドロサ、ケーシー・ストーナーが250ccクラスからステップアップ。ストーナーが2戦目でポールポジションを獲得、ペドロサが4戦目でポール・トゥ・ウインを飾るなど、序盤から若手ライダーの勢いが感じられるシーズンとなった。
開幕戦ではドゥカティのロリス・カピロッシが優勝、ロッシはシーズン前半に問題を抱え、出遅れてしまう。最終的にヘイデンとロッシによるタイトル争いとなるのだが、残り2戦となったポルトガルGPで、ペドロサがタイトルを争うチームメイトのヘイデンに突っ込み転倒させてしまう。
これでロッシがポイントリーダーとなり、最終戦バレンシアGPでヘイデンも前でフィニッシュすればロッシのタイトルとなるはずだったが、スタートで出遅れたロッシがまさかの転倒。3位表彰台となったヘイデンが5ポイント差でMotoGP初タイトルを獲得した。ヘイデンはアメリカ人ライダーとして初のMotoGPクラスチャンピオンに輝き、990ccの最終年を締めくくった。また、ホンダのタイトル獲得は2003年以来となり、3冠を獲得した。なお、2006年のホンダは990cc最終年にタイトルを奪還するために、2種類のマシンを投入している。ヘイデンが駆ったのはニュージェネレーションと呼ばれる次世代に向けたRC211Vだった。
ロッシはランキング2位に終わり、4ストロークMotoGPとなって初めてタイトルを失った。それでも年間勝利数は最多の5勝を記録した。2006年はチャンピオンのヘイデンが2勝、ランキング3位のカピロッシが3勝、メランドリは3勝するなど、勝ち星が複数のライダーに分散しており、混戦のシーズンだったと言えるだろう。
ドゥカティにとっては、カピロッシのランキング3位はMotoGPベストランキングとなった。ドゥカティは前年からタイヤをブリヂストンにスイッチ、2年目を迎えてマシンとタイヤのマッチングが進んだことが躍進の理由だ。
若手勢のペドロサは2勝を記録してランキング5位、ストーナーはランキング8位を獲得した。玉田誠はランキング12位、オランダGPでMotoGPクラスのベストとなる2位表彰台を果たした中野真矢はランキング14位を獲得した。