MotoGPの軌跡(6):リーマンショックの影響で活動休止を余儀なくされたカワサキ
2010年シーズンのMotoGPクラスは、マシンのエンジン使用基数制限がさらに厳しくなった。18戦で6基のエンジンで戦わなければならず、パフォーマンスと耐久性のバランスが課題となった。
この年の第4戦イタリアGPでヤマハのロッシが転倒、右足を骨折し、4戦を欠場することになった。この間にタイトル争いをリードしたのはチームメイトのロレンソ。ロレンソはシーズン通算9勝を記録、18戦中16戦で表彰台に立つ安定したレースぶりを見せ、MotoGPクラスで初のタイトルを獲得した。ケガから復帰したロッシは、通算2勝を記録してランキング3位でシーズンを終えたが、この年いっぱいでヤマハを離脱することになった。
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ランキング2位にホンダのペドロサ。ペドロサのマシンもこの年からオーリンズ製の前後サスペンションが装着され、これにより、ワークスチームのMotoGPマシンは、全メーカー、オーリンズを装着することになった。
ペドロサはシーズン序盤こそ出遅れたものの、シーズン終盤に連勝を飾るなどロレンソとタイトルを争ったが、日本GPのフリー走行1回目で転倒を喫し、左鎖骨を骨折、これでレースを欠場することになり、タイトル争いから脱落してしまった。
ドゥカティのデスモセディチは前年度からカーボンフレームを採用していたが、ストーナーをもってしても安定した成績を残すことは難しく、シーズン3勝を記録したものの、ランキング4位に終わった。
前年に250ccクラスのチャンピオンを獲得した青山博一はこの年からMotoGPクラスにステップアップしたが、シーズン中盤に転倒によるケガで6戦を欠場したことから不本意なシーズンを送ることになり、ランキング15位に留まった。
翌年に向けて、ロッシがドゥカティへ、ストーナーがホンダへと移籍することが決定。再び勢力図に変化が訪れることになる。