更新日: 2020.06.08 20:37
MotoGPの軌跡(7):800cc最後のシーズンで2度目のタイトルを獲得したケーシー・ストーナー
2012年よりマシンレギュレーションの変更で排気量の上限が1000ccに引き上げられ、同時にCRT(クレーミングルールチーム)という新たなマシンカテゴリーが設定された。CRTはコストの低減とそれによるエントラントの負担減、エントラント数の確保をねらった施策だった。CRTのマシン規定はフレームはオリジナルのプロトタイプでなければならないが、エンジンは量産車ベースでも構わないというのが大きな特徴で、エンジン使用基数や最低重量などで、ファクトリーとのバランスを取る優遇措置が取り入れられた。2012年はARTやスーターBMW、FTRホンダなどのCRTマシンが加わった。
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ファクトリーの1000ccマシンは先行して開発テストが行なわれていたが、2011年の末に突然、最低重量が153kgから157kgに引き上げられるなどの混乱があった。CRTではARTを駆るアレイシ・エスパルガロが最上位となるランキング12位を獲得したが、ファクトリーマシンとのポテンシャルは歴然としていた。
1000ccMotoGPマシン1年目を制したのはヤマハだった。ロレンソがシーズン6勝、18戦で16回表彰台に立ち、1000ccMotoGPの初代チャンピオンとなった。
シーズン最多の7勝を記録したホンダのペドロサはオーストラリアでの転倒が響き、ランキング2位。チームメイトのストーナーは転倒によるケガで3戦を欠場したためタイトル争いから脱落、ランキング3位でシーズンを終えた。
ホンダ勢はシーズン序盤にタイヤのチャタリングに悩まされたが、シーズン終盤にはそれを解決、ライダータイトルはロレンソが取ったが、コンストラクターとチームタイトルはホンダが獲得した。そして、ストーナーはシーズン序盤の記者会見で宣言した通り2012年シーズンを最後に現役から退いた。
ロッシはこの年もドゥカティのマシンに苦戦して、ランキング6位、サテライトのアンドレア・ドビジオーゾ、アルバロ・バウティスタにも先行されてしまった。