更新日: 2021.05.05 16:06
【レースフォーカス】ミラーが乗り越えた時間に流した涙。一転の結末に失意のクアルタラロ/MotoGP第4戦スペインGP
決勝レース前、スペインGPの優勝候補筆頭だったのはクアルタラロだろう。予選ではポールポジションを獲得し、ペースも安定していた。決勝レースでは4周目にトップに立つと、1分37秒台のタイムを連発。ファステストラップのレコードを更新した。
しかし、レース中盤に突然失速する。ラップタイムはそれまでよりも2秒、終盤には3秒以上も落ちた。原因は右腕の腕上がり。レース中にまったく力が入らなくなったというのだ。
腕上がりはライダーが抱える宿命のようなもので、多くのライダーが手術を余儀なくされている。例えば今大会で優勝したミラーも第2戦ドーハGPのレース中に右腕の腕上がりに苦しみ、第2戦後に手術を受けた。
クアルタラロは2019年のシーズン中に右腕の腕上がりの手術を受けている。2020年の最終戦ポルトガルGPではレース後半に腕上がりに悩まされていたが、今季については問題なかった、とクアルタラロは語った。
「僕は(ミラーに対し)1秒リードしていた。でも腕の力がなく、1秒差をキープするのに痛みをかかえながら6周以上走っていた。それは不可能だったし、力がないから危険だったけれど、止まりたくはなかった。1ポイント、2ポイントがチャンピオンシップには重要だと知っているから」
腕上がりの原因について問われると「わからない。2020年は、問題なかった。(昨年のヘレスで)25周、痛みはまったくなかった」と語る。
「でも今年は反対で、4本の指でブレーキングしないといけなかった。通常、僕は1本指でのブレーキングなんだ。ストレートではスロットルを全開にできなかった。最終ラップを除いてね。シーズン終盤のために、数ポイントでも獲得しようと思ったから」
クアルタラロは苦しみながらも13位でチェッカーを受け、3ポイントをもぎとった。チャンピオンシップを見据えたレースだった。失意のなかでも得た3ポイント、このあとどんな意味を持つことになるだろうか。
なお、決勝レース後の取材の時点では、手術の可能性については「まだわからない」と言う。スペインGP後の月曜日に行われた公式テストは参加を見送った。