更新日: 2017.11.02 12:43
革新的装備満載の新型実験車両、『フェラーリFXX-K Evo』世界初公開
そのダウンフォース発生に貢献しているのは、リヤに装着されたツインプロファイルの固定ウイングと、アクティブ・リヤスポイラーのシームレスな連携によるもの。
可変スポイラーは制御ユニットとその可動範囲を緻密に解析・設定することで、 ダウンフォースとドラッグの最適化を図る役目を担い、ツインプロファイル・リヤウイングを支持するセンターフィンはふたつの仕事を担当。ひとつはヨー角が小さい時のスタビリティを確保するバーチカルフィン。 もうひとつは、3枚のデルタ・ボーテックスジェネレーターのステーとしての機能となる。
このボーテックスジェネレーターは、 ラジエターからボンネットに抜ける排熱気流よって発生する乱流を整え、ウイングへ理想的な気流を供給。同時にここでダウンウォッシュ(吹き降ろし)を生成して、ツインプロファイル・ウイングで発生するダウンフォース量を10%も増加させている。
その他、ディフューザーの性能に関連するホイールアーチ後方のバイパス・エアベントも拡大され、ホイールからの後流を確実に引き抜くことで乱流を効果的に処理し、ロスを削減することでここでも5%のダウンフォース増を達成した。
増大したリヤのDFに最適化するためフロントエンドの造形も見直され、ヘッドライト下のエリヤを深く内側にえぐったフォルムに変更し、ここに垂直ターニングベーンを備えた2つのフリック(フィン)とフロントホイール前方の追加エアインテークを装備。FXX-K比で10%増のDFを獲得し、このノウハウはGTモデルとも相互にフィードバックされている。
さらにプロトタイプを彷彿とさせるキャビン内には、F1由来のパドルシフトを装備した新型ステアリングホイールにKERSマネッティーノが設けられ、コクピット右側のリヤ・ビデオカメラ・スクリーンも大型の6.5インチ仕様に。
ここにはより明確かつパフォーマンスに直結するデータおよび車輌状況など、 最新バージョンのテレメトリーシステムのデータが表示され、ドライバーは多彩なスクリーン・オプションを選択することで、 KERSの状態、 計測タイムなどを確認できるようになっている。
5000kmに及ぶ開発テスト、そして1万5000kmの信頼性テストを経て、2018/19シーズンのXXプログラムでの主力として走行を開始する予定の『フェラーリFXX-K Evo』は、2018年3月から10月までの間に9回のサーキット走行を予定。来季の”フィナーリ・モンディアーリ”にも参加し、その成果も発表される予定となっている。