iCraft 2021スーパー耐久第5戦鈴鹿 レースレポート
今回の決勝レースも全クラス混走で、5時間で競われる。日曜日の鈴鹿は、まさに台風一過の好天に恵まれ、上空には鮮やかな青空が広がっていた。午前には20分間のフリー走行が実施され、ここで山野が唯一2分36秒を切る、2分35秒692をマークしてトップに立つ。まわりがどういう状態なのか分からないものの、今回の「TRES☆TiR☆NATSロードスター」は勝ちに来ていると認識させたに違いない!
その山野がスタートを担当。2周目に2台に抜かれ、4番手に退くも、それは長丁場ゆえ無理は禁物との判断による。実際、後続は徐々に引き離しつつ、前を行く3台には食らいついていく。そして、隙あらば!9周目のS字で3番手に浮上する。そのままポジションキープで周回を重ね、ほぼ1時間半経過した32周目に、猪爪と交代する。
やはり3番手につけたまま46周目には、金井にスイッチ。2回目のピットストップは59周目で、金井はWスティントに打って出てロスを最小限としたこともあり、やがて2番手に浮上。
さらに、ピットタイミングの違いもあって、76周目に金井は待望のトップに躍り出る。その直後の78周目に、山野が再び乗り込むことに。残すは、ほぼ1時間半。間もなく2番手に返り咲いた山野は、83周目の1コーナーでトップに並んで、S字でオーバーテイク!そして山野もまた、残り1時間を切った92周目からWスティントを敢行する。
99周目にはトップに再浮上し、しかもその時点でのリードは10秒以上に及んでいた。そのままゴールできれば初優勝、しかも圧勝となるのは間違いなし。だが、その一方で最後までガソリンは保つのかという思いも……。 そんな不安は的中してしまう。ゴールまで15分となった107周目に、予定外の給油を行うことに。
その間に4番手まで後退するも、最後まで諦めず走り続け、3番手の車両に3秒差にまで詰め寄った山野ではあったが、無情にもチェッカーが振り下ろされてしまう。あと一歩のところで初優勝が、そして鈴鹿で表彰台の夢も潰えてしまうも、大いに収穫を得た一戦でもあった。残るは最終戦だけとなり、11月13〜14日に岡山国際サーキットが、その舞台となる。今季ラストレースを集大成とできるか、是非とも注目していただきたい。
金井亮忠
「レースって、難しいですね……。今回は山野選手のおかげでスピードが手に入ったのですが、その分ちょっと燃料を使ってしまいましたね。前回も今回も、一時は自力でトップを走れる状況になってきているので、そういう意味では確実にポテンシャルは上がっていると思います。耐久はそんな甘くないですけど、戦える位置には来ているので、また細かいところを詰めて最終戦に臨めたらと思います。最後は優勝で終われるようにまた頑張ります」
山野哲也
「面白いレースだったね。表彰台には上がれなかったけど、後半でトップを走ることができたし、いいバトルもできたし、そういう意味ではやりがいのあるレースでした。監督が本当に透察力と想像力のある人なので、すごくチームをまとめてくれるというか、すべてお見通しの中でやっている。そういう意味では、今週末できることは精いっぱいできました。また、スーパー耐久に出たくなりましたよ」
猪爪杏奈
「レース時間残り15分までトップだったのに、こんなドラマがあるなんて本当に悔しいです。しかし山野選手にスポット加入頂いたことでチーム内では様々な化学変化が起こり、今後に繋がる貴重なデータや財産が残りました。私にとっても刺激的な4日間で、成長に繋がる時間を過ごすことができました。これをチームの真価に変えて、次に繋げる事が1番大事だと思っています。失敗を経験に、経験を勝利に繋げる地道な努力を怠らなければ、このチームで勝てる日が必ず来ると信じています。次も諦めません」
猪爪俊之監督
「私のせいです、負けたのは。燃費が悪くなるのを承知でドライバーに無理させていましたからね。ラスト15分で僅かに燃料が足りなくなり無念のPITインでした。でも、チームにとって山野選手のスポット加入も有り、初めての鈴鹿走行にも関わらず良い経験となりました。勝つためにやることは解かったので諦めません、諦めの悪さには自信あるので次戦の岡山に全力で臨みたいと思います」