【フラガのニッポン・レース日記／第3回】クラッチトラブルに翻弄されたスーパーフォーミュラ・ライツ第1大会

　しかし、迎えた第1戦のスタートは2番グリッドからでしたが、大失敗をしてしまいました。実は、コースインの時点でクラッチの調子が悪かったのです。さらにこのクラッチの症状は、以前からときどき感じていたものでした。それが肝心のタイミングに出てしまい、スタートの瞬間うまくクラッチが働かず、エンストさせてしまいました。

　その結果、順位はほとんど最後尾へ落ちてしまい、なんとか挽回しようと追い上げにかかりました。ですが、前のクルマを1コーナーのアウトから抜こうとしたとき、内側のクルマがブレーキをロックさせたのだと思いますが、僕のマシンと接触してしまい、2台でオーバーランとなりさらに大きく遅れてしまいました。

　その遅れを取り戻そうと追いかけて走り続けたとしても8番手か9番手になれるだけだろうと予想し、チームからも指示があったので、そのままピットに戻ってリタイアを選択し、タイヤを温存することにしました。

　このレースウィークに使えるニュータイヤは、大会を通して3セットと制限があり、予選で1セット、第1戦で1セット、第2戦で1セットを使うとすると、第3戦には消耗が進んだタイヤで挑むことになります。なので、第1戦は早々にリタイアしてタイヤを温存し、そのタイヤを第3戦で使うことで、他の選手に対して少し有利な立場に立てるはずだと考えました。

　クラッチの不調については、残念ながらレースウィーク中に解決できるものではなかったのですが、日曜日の第2戦では慎重にクラッチミートして、うまくスタートができました。良いスタートが切れたので、3位を狙いましたが前に出ることはできず、第2戦は4番手のポジションを守るレース展開となりました。

　後方のマシンから攻められる場面はありつつも、僕のマシンはウィングを寝かした状態で走っていたためにストレートスピードが速かったので、それを活かしつつ自分のペースを守れば抜かれない、と自信を持って走ることができ、そのまま4番手のポジションを守って第2戦を終えました。

　問題は、日曜午後の第3戦です。第3戦のスターティンググリッドは第1戦の結果で決まってしまうため、僕は温存しているタイヤを使えるものの、スタート位置は最後尾です。

　しかし、スタート前に棄権を選択したマシンや、スターティンググリッドにうまくつけないマシンがいたため、実質10番手のポジションからのスタートとなりました。

　そして、その位置からうまくスタートを決めて、オープニングラップで6番手にまで順位を上げることができました。

　さらに、5番手の選手に接近してオーバーテイクを試みましたが、少し無理に仕掛けたため押さえ込まれてしまいました。そのスキを突かれて、後続車にオーバーテイクを許してしまい、7番手へと順位を落としてしまいました。

　そのまま7番手でのフィニッシュとなり、第3戦はポイントを獲ることができませんでした。SFLデビューとなる今大会は、予選では良い流れを作れたものの、クラッチのトラブルが起きてしまったことからだんだんとレースウィークが崩れてしまい、とても悔しい結果に終わってしまいました。

　ですが、課題がたくさん残ったので、チームとたくさん話し合いをおこなって、スポーツランドSUGOで開催される第2大会に向けしっかりと準備をすすめようと思います。その前に、スーパーGT第3戦鈴鹿が開催されます。精一杯頑張りますので、応援をよろしくお願いします。

<<プロフィール>>
イゴール・オオムラ・フラガ

　1998年9月26日生まれ。レーシングカートで数々のタイトルを獲得すると、2017年にブラジルF3でチャンピオンに輝く。2020年はレッドブル・ジュニア・チームに加入しFIA F3に参戦したほか、トヨタ・レーシング・シリーズのチャンピオンを獲得。さらにeモータースポーツでも活躍をみせ、2018年にグランツーリスモ世界王者に輝き、2022年にはスーパーフォーミュラのeモータースポーツ・アンバサダーに就任した。2023年はANEST IWATA Racing with ArnageからスーパーGT GT300クラス、B-Max Racing Teamからスーパーフォーミュラ・ライツに参戦する。