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投稿日: 2023.05.25 00:55
更新日: 2023.07.11 00:57

B-Max Racing Team 2023スーパーフォーミュラ・ライツ第1大会 レースレポート


国内レース他 | B-Max Racing Team 2023スーパーフォーミュラ・ライツ第1大会 レースレポート

木村選手が開幕3戦を完全制覇、最高のシーズンスタートを切る

 B-Max Racing Team(チーム総代表・SFLチーム代表 組田龍司)は、5月20~21日、オートポリスで行われた全日本スーパーフォーミュラ・ライツ選手権第1~3戦に参戦し、参戦2年目の木村偉織選手が3戦すべてでポール・トゥ・ウイン+ファステストラップを記録し、これ以上ない完璧なかたちで2023シーズンをスタートさせました。

 今回がSFライツデビューとなったデビッド・ビダーレス選手とイゴール・オオムラ・フラガ選手は、ともに最高位は4位と望んだ結果は得られませんでしたが、随所で速さを見せ、上位で争うポテンシャルが十分あることを示しました。

 マスタークラスは、今田信宏選手が1勝、DRAGON選手2勝と星を分け合い、今シーズンも2人による好バトルが続くことを期待させる結果となりました。

■第1、2戦予選(5月20日(土)11時30分~12時)
天候:晴れ、コース:ドライ、気温:16度、路面温度:20度

 第1戦予選(10分)→インターバル(10分)→第2戦予選(10 分)という慌ただしいスケジュールで行われた予選は完全に一発勝負。抜きどころの少ないコースなだけに、予選の重要性は言わずもがなです。

 第1戦予選は、残り3分から各車が一斉にアタックに入るなか、木村選手が1分38秒748と他を引き離すタイムをマークして幸先良くポールポジションを獲得。2位以下は僅差の勝負になりましたが、フラガ選手が制して B-Maxがフロントローに並ぶことになりました。

 第2戦予選も木村選手が速さを見せ1分38秒742と第1戦とほぼ同タイムをマークして連続ポールポジションを奪取。決勝に向けて最高の結果で予選を終えました。

第1/2戦のポールポジションを獲得した木村偉織(HFDP WITH B-MAX RACING)
第1/2戦のポールポジションを獲得した木村偉織(HFDP WITH B-MAX RACING)

■第1戦決勝(5月20日(土)16時~21周)
天候:晴れ、コース:ドライ、気温:23度、路面温度:40度

 ポールポジションの木村選手は、好ダッシュから序盤プッシュして後続との差を一気に2秒にまで広げます。一方、フロントロー2番手スタートのフラガ選手は、エンジンストールで順位を大きく落としてしまい苦しいスタートとなりました。

 トップを快走する木村選手は、2周目に1分40秒台をマークすると、その後は41秒台、中盤からは42秒台とタイムを揃え、2位平良選手との差を僅かずつ開いて21周を走り切り、通算4勝目のチェッカーを受けました。

 スタートでポジションを4位に上げたビダーレス選手は、順位をキープしたまま日本での初レースを終え、ルーキー最上位を得ました。スタートで遅れたフラガ選手は、順位を回復すべくプッシュしましたが、その過程で今田選手と接触。ポイント圏内まで順位を回復するのは難しいと判断し、タイヤを温存のため4周でレースを終えました。

2023スーパーフォーミュラ・ライツ第1大会 レース1のスタート
2023スーパーフォーミュラ・ライツ第1大会 レース1のスタート

■第2戦決勝(5月21日(日)9時~14周)
天候:晴れ、コース:ドライ、気温:18度、路面温度:28度

 木村選手は、ややスタートで出遅れ2番グリッドの小出選手に並びかけられますが、なんとか抑えてトップで1コーナーへ。しかし、危うかったのはこの場面のみ。

 その後は第1戦と同じく、序盤にプッシュして3周を終え2秒のマージンを築くと、2位小出選手との差を保ちながら安定した走りで今季2勝目のチェッカーを受けました。

 4番手スタートのフラガ選手は、レース折り返しまで野中選手の執拗なプレッシャーを受け続けますが、これを抑えて4位フィニッシュ。

 ビダーレス選手は、エンジンストールで大きく遅れてしまったため、第1戦のフラガ選手同様に、第3戦のためにタイヤを温存する作戦を取り、4周を終えたところでピットインしレースを終えました。

野中誠太(PONOS Racing TOM'S 320 TGR-DC)から順位を守るイゴール・オオムラ・フラガ(FANATEC-GRAN TURISMO with B-MAX)
野中誠太(PONOS Racing TOM’S 320 TGR-DC)から順位を守るイゴール・オオムラ・フラガ(FANATEC-GRAN TURISMO with B-MAX)

■第3戦決勝(5月21日(日)12時25分~14周)
天候:晴れ、コース:ドライ、気温:22度、路面温度:42度

 第1戦の結果がグリッドとなるため、木村選手は今大会3度目のポールポジションからのスタートになりました。ただし、規定により1大会に使用可能なタイヤは2セットであり、このレースでは第2戦で使用したタイヤで出走。

 このため、前2戦のような展開は難しいと思われました。さらに2番グリッドの平良選手は温存したタイヤを使用し、路面温度も上昇するという、木村選手にとっては厳しい条件のなかでスタートを迎えました。

 ところが、レースが始まると、その心配は杞憂に終わりました。木村選手は周回を重ねる毎に、2番手平良選手との差を僅かずつ開いていき、6周目にはこのレースのファステストラップとなる1分42秒179を記録。第1戦、第2戦に続き、完璧なかたちで開幕大会を締めくくりました。

 4番グリッドのビダーレス選手は、前を走る古谷選手に最後までプレッシャーをかけ続けましたが、守りは堅く、ポジションをキープしたままフィニッシュを迎えました。

 最後尾スタートのフラガ選手は、1周目に6番手までジャンプアップ。5番手集団のなかでレースを続けますが、4周目にトゥルーリ選手に先行を許してしまい7番手でチェッカーを受けました。

開幕3連勝を飾った木村偉織(HFDP WITH B-MAX RACING)
開幕3連勝を飾った木村偉織(HFDP WITH B-MAX RACING)

■50、51号車チーム監督 高木真一 コメント

「偉織選手は出来過ぎの結果ですね。この素晴らしい結果を出せた要因は、やはりチーム力だと思います。もちろん木村選手の努力と速さがあってのことですが、特に3戦目のレースではタイヤに関して優位だった平良選手を抑えきり、尚かつファステストまでマークできたことは、ドライバー、チームともに自信に繋がったと思います」

「3戦すべてでポール・トゥ・ウイン+ファステストという完全勝利はなかなかできるものではありませんし、すべてが完璧だったということだと思います。次のSUGO大会から厳しい戦いになると思いますので、この結果に甘んじることなく、気を引き締めていきたいと思います」

「デビッド選手は、初めての日本のレース、またオートポリスの難しさもあったと思いますが、それらを考えると良くやったと思います。第2戦は出遅れて作戦を変更しましたが、このレースのレギュレーションのなかで、タイヤの使い方も含め、どう戦えば良いかを学んだと思います。でも、速さはありますので今後に期待しています」

■52号車チーム監督 松浦孝亮 コメント

「イゴール選手にとって初めてのSFライツのレースでしたが、4月のテストや今大会の専有走行がすべて雨で、ドライで走ることのできる機会がない状況で開幕を迎えたのは厳しかったと思います。でも、そのなかでフロントローを獲得しましたし、予選まではすごく良かったと思います」

「ただ、第1戦のスタートでエンジンストールしてしまい、このレースを落としてしまったのが勿体なかったですね。第2戦、第3戦は彼なりにリカバリーできたと思いますし、まだまだ伸び代は十分ありますので今後に期待しています」

「このレースは特に予選とスタートが重要ですので、次戦はそこにフォーカスして、偉織選手との差を埋めることができるよう頑張りたいと思います」

■50号車ドライバー 木村偉織選手 コメント

「オフシーズンにいろいろと準備をしてきましたが、それがきちんと結果に繋がるのかすごく不安でした。でも、開幕大会を完全勝利というかたちで終えて、自分のやってきたことが間違っていなかったことが証明できたので、本当に良かったです」

「チームも新たに今関エンジニア、米永チーフメカとなり、ふたりとたくさんコミュニケーションをとってきましたし、このタッグなら絶対チャンピオンを取れると思っています」

「次のSUGOは今回のようには勝てないと思いますが、しっかり結果を残して、チャンピオンに向け前進したいと思います」

■51号車ドライバー デビッド・ビダーレス選手 コメント

「木曜と金曜の専有走行はずっと雨で、予選の行われる土曜日に初めてドライコンディションを経験することになりました。事前にテストをしていない状態で、バランスの良いセッティングを見つけることは難しく、予選は6番手、5番手と望んだ結果にはなりませんでした」

「第1戦はスタートでポジションを2つ上げることができ4位、第2戦はスタートでミスをしてしまったので、第3戦のためにタイヤを温存することにしました。第3戦はペースがとても良かったのですが、このトラックでオーバーテイクすることは本当に難しく4位という結果でした」

「開幕までの数カ月、ベストを尽くしてくれたチームにはとても感謝しています。次のSUGOでは今回以上の結果を出せるよう頑張ります」

今回がデビューレースとなったデビッド・ビダーレス(B-MAX RACING 320)
今回がデビューレースとなったデビッド・ビダーレス(B-MAX RACING 320)

■52号車ドライバー イゴール・オオムラ・フラガ選手 コメント

「2年ぶりのフォーミュラのレースでしたが、予選ではまずまずのスピードを見せることができました。ただ、第1戦のスタートでは、操作の手順を把握していなかったことで、エンジンストールさせてしまい、これで今大会の流れがすべて決まってしまったように思います」

「第2戦は4位と悪い結果ではありませんでしたが、表彰台の一歩手前ということで自分としては物足りない悔しい結果でした。第3戦は5位争いまで追い上げましたが、踏ん張りすぎて逆にポジションを落としポイント圏内から脱落してしまいました」

「次戦に向けては、感覚的に自分のドライビングに合わせたクルマづくりをして、予選に自信を持って臨めるようにしたいと思います。強いイゴール・フラガを見せるために、それが重要と感じています」

マスタークラス

■第1、2戦予選

 今シーズンは、畑選手の久々の参戦、またDRAGON選手の使用エンジンがスピースからTOMEIに変更になるなど、マスタークラスを面白くする要素が増えることになりました。予選では今田選手の速さが際立っており、第1戦ではDRAGON選手を1秒以上引き離しました。

 第2戦でもその速さは変わりませんでしたが、1分41秒台をマークした次の周にスピンしてコース上にストップしてしまい、赤旗提示の原因をつくったとして規則によりタイムが抹消されました。この結果、第1戦より着実にタイムアップを果たしたDRAGON選手がクラスポールを獲得、計測最後の周にベストタイムをマークした畑選手がクラス2位のグリッドを得ました。

■第1戦決勝

 スタートから逃げの態勢を築こうとした今田選手でしたが、2周目に後方から追い上げてきたフラガ選手と接触し、順位を落としてしまいました。

 追われる立場になったDRAGON選手のラップタイムは1分44秒台後半、一方、追い上げる今田選手は44秒台前半と、その差は周を重ねるたびに縮まり、13周目にDRAGON選手のミスに乗じて今田選手が逆転。そのまま差を開いてチェッカーを受け、アクシデントを乗り越えて開幕戦を制しました。

■第2戦決勝

 畑選手は別の外せない予定があり、この日の2レースは欠場。お馴染みの今田選手とDRAGON選手の一騎打ちとなりました。

 第1戦の状況から、今田選手がすぐにクラスPPスタートのDRAGON選手に迫るものと思われましたが、第1戦からセッティングの見直しを行ったDRAGON選手は本来の速さを取り戻し、予選タイムに匹敵する1分43秒台を刻みながら、今田選手に付け入る隙を与えずに逃げ切りました。

■第3戦決勝

 セッティングの方向性を見出したDRAGON選手は、第2戦の勢いそのままに、3周目に今田選手をオーバーテイク。1レースを走ったタイヤで序盤1分44秒台を連発して、45秒台の今田選手を徐々に引き離しました。

 10周目には5秒というマージンを築き安全圏内へ逃げたDRAGON選手は、終盤はややペースダウンしましたが、今田選手と3秒の差を保ってチェッカー。今田選手にダメージを与える2連勝を飾りました。

バトルを繰り広げる今田信宏(JMS RACING with B-MAX)とDRAGON(TEAM DRAGON B-MAX 320)
バトルを繰り広げる今田信宏(JMS RACING with B-MAX)とDRAGON(TEAM DRAGON B-MAX 320)

■4号車ドライバー 今田信宏選手 コメント

「3連勝する予定が1勝2敗に終わってしまいました。第1戦ではエンジンの差はあるように感じていましたが、第2戦では直線でも追いつけませんでしたから、差はないのかもしれません」

「予選、第1戦と速さでは勝っていたので、これなら3連勝はできると思ってしまった、その慢心が敗因だと思います。恐らくDRAGON選手は第1戦を終えて必死でセッティングを見直したのだと思います。次のSUGOは今回のようにならないよう頑張ります」

■30号車ドライバー DRAGON選手 コメント

「土曜日までは、ドライに関して良いセッティングがまったく見つからなくて、今田選手に対して明らかな完敗状態でした。第1戦の後、桑原エンジニアと菅波コーチがかなり遅くまで原因を探ってくれ、そこでたぶんこれだろうというポイントを見つけました」

「また、他のドライバーとのデータを比較しながら、少しでも速く走れるよう改善をしました。それが第2戦、第3戦の結果に繋がりました」

■53号車ドライバー 畑享志選手 コメント

「言い訳になってしまいますが、2年ぶりのSFライツ、ほとんど走行経験のないオートポリス、加えて、専有走行はずっと雨で最初のドライだったときに6周しか走らず……そんな状況でいきなりニュータイヤを履いて予選に臨みましたので、安定してタイムを刻むことすらままならない状態でした」

「決勝は走るにつれて慣れてはいきましたが、追い上げることはできずに終わりました。今田選手、DRAGON選手よりかなり若手ですので(笑)、体力的には問題ないのですが、完全な練習不足です」

「今シーズンは全戦参戦することは難しいのですが、SUGO、鈴鹿、岡山は出る予定です。次のSUGOはSFライツでの参戦経験もありますので、ふたりと勝負できるよう頑張ります」

2023スーパーフォーミュラ・ライツ第1大会 畑享志(A-NeKT with B-MAX 320)
2023スーパーフォーミュラ・ライツ第1大会 畑享志(A-NeKT with B-MAX 320)


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